相思喪曖―二重螺旋4 (キャラ文庫 よ 1-6) (文庫)
吉原 理恵子 (著)
円陣闇丸(イラスト)
(内容)
常識や道徳を捨てても欲しかった、実の弟・尚人(なおと)の心──。それを手に入れた今、雅紀(まさき)に怖いものは何もない。ところがある日、父の愛人の妹・瑞希(みずき)と尚人が面識があったと知らされた上、尚人が怪我をしてしまう!! 嫉妬と心配で苛立つ雅紀は、「二度と俺に隠し事はするな」と初めて尚人に弱音を曝して…!? 尚人が雅紀の仕事場を訪ねる、原作書き下ろし番外編まんが「情愛のベクトル」も同時収録!!
あたしがまだJuneを買っていたあの頃デビューされていたと思います・・
日陰の仇花としてひっそりと咲いていたと自分では思っていたのですけど
それがいつのまにか、ジュンク堂でもアニメイトでも
どーーーんと平積みされるような日が来るなんて(笑)
あの頃から独特の文体で異彩をはなっていた方ですが
その独特の文体はいまだかわらずのまま、
この小説でも生かされていると思います。
内容的には、
ある日父が母と4人の子供を捨てて愛人とともに生きていくことを選んだことで
さまざまな波紋が引き起こされました。
ひとりは家とか、家族のすべてを背負いながら世間の荒波にもまれ大人になった青年と
ひとりは家事と学業に専念することで現実と向き合い
もうひとりは引きこもることで自分を守りながら、生きることに悩みあぐねておりました。
壊れてゆく家族の重荷に耐えきれず、祖父母とともに生きていくことを選んでいる子もいます。
もはや父の影とか波紋なんて感じたくもないし、関わりも持ちたくないと思っておりましたが
父の愛人であった妹が「父と愛人の結婚を許してやれ」などといいがかりはつけてこられるは
妹が実は自分は家庭放棄した男の金で生きていた事実をしり愕然としたことで
妹の幼馴染から暴行をうけるは
借金で首が回らなくなってきた父親に家にかってに入られ権利書を奪われそうになるわ
その父親を発見した、かって一番父親を愛していた三男から暴行を受けて腕の骨をおられるやら
もうね、
このシリーズはこんどはなんですかいといった事件がてんこもりなんです(笑)
↑は三巻までのお話なんですけど
その事件を主軸として二男の学校でもある事件となって波紋はひろがっていくし
ますます社会から弾かれた父親は暴露本をだすことを計画し始めるし・・・・
またまたわずらわしことになっていきますが雅紀と尚人の恋はなんとなく順調に成長気味ですし
引きこもることで自分を守っていた弟も成長していっておりました。
これは、幼い時から長男として生きることを強いられた少年が
ほんとうに求めているのは
無垢で愛おしい少年を手に入れることの必要性を問うているお話だと思うのです。
執着に近い思いに苦しみながら
恋が芽生え、愛となり
生きていくために必要不可欠な存在
たとえそれが禁忌といわれる兄弟での関係だったにしろ、男同士の関係だったにしろ
それすらも乗り越えて今の穏やかで温かい情熱のある生活とか人生があるのなら
悪くないものだと思えてしまえそうなそういう一冊です。
[1回]
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