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Verger ―果樹園―

アタシの読んだ本(主にBl)の感想を 雑然とたらたらとつぶやいております

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未完成   ( 凪良 ゆう )

未完成 (プラチナ文庫) [文庫]
凪良 ゆう (著), 草間 さかえ (イラスト)

未完成 (プラチナ文庫)



(内容)

さよなら、先生。

教師の阿南が男とキスをするのを見た高校生の瀬名は、学校とは違う艶めいた表情を見せる彼に興味を持つ。
素っ気なくあしらわれても阿南の傍は居心地良く、瀬名は彼の部屋に通うようになる。
そして自覚した恋心。
がむしゃらに迫り阿南を抱くことはできたが、その心を手に入れたとは思えなかった。
「俺のこと好き?」懇願するような瀬名の問いに、いつも阿南の答えはなくて……。

文庫未収録の『Young Swallow』と書き下ろし『さなぎ』を加えた完全版!!




以前に購入はしていたのだけど、大人と子供の恋愛はうまくいっているときはいいのだけど

子供の成長とともに考え方とか生き方とか変化が大きいから

なんとなく今は幸福でもいつかは大人が身をひかなきゃいけなくなるんじゃないだろうか・・

なんて考えながらドナドナしちゃったと思います。

今回挿絵が草間さんということと文庫未収録が入っているということで

またもやゆるゆるの財布をゆるめて購入いたしました。

ああ・・BLマジック(笑)



教師と学生の恋の物語でも有り

学生の成長物語でも有り

幸福な人生という時間を楽しんでいるふたりのお話です。

以前の作品の感想はこちらです→☆☆

草間さんに挿絵が変わっただけで小説の内容もワンランクアップしたんじゃないかと

思いました。

挿絵って重要なファクターですよね。



そして書き下ろしはドラマCDの小冊子である「Young Swallow」です。

遠距離恋愛をふたりのささやかな努力と愛情で続けております。

けれど美容師である不定休の瀬名と高校教師である阿南とは

なかなか休みが合いません。

貴重な休日、大切なふたりで過ごす時間

丸腰で自分の全てでもって愛を挑んでくる瀬名

若さの特権と理解している阿南はもう教師ではないけれど

大人としてどこか自分の心にブレーキをかけております。

そして唐突にかかってきた瀬名への電話

二人の時間を大切にしていきたいけれど、

大人として受けなければいけない雑事もありまして・・・

後輩からの相談にのっていたという瀬名に成長のかけらをみつけて

これは俺の男、自分の育てた男と思う気持ちで若いつばめと評してしまうのですが

もしかしたら、いつかは成長してどこかに飛んでいってしまうのじゃないかと

不安に思ってしまうこともあるみたいです・・・



そしてもうひとつの書き下ろしは「さなぎ」

さなぎから蝶にかえった、つまりは大人の男になった瀬名を実感し

大人になったからこそ二人でいる未来を選びとりたいという瀬名に感激しました。



若いツバメを育ててみたいいかた読んでみてくださいませ。

いい味出しているスルメのような感じで何回も何回も楽しめる一冊です。

拍手[1回]

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おやすみなさい、また明日  ( 凪良 ゆう )

おやすみなさい、また明日 (キャラ文庫) [文庫]
凪良 ゆう (著) 小山田あみ(イラスト)

おやすみなさい、また明日 (キャラ文庫)



(内容)

「俺はもう誰とも恋愛はしない」。
仄かに恋情を抱いた男から、衝撃の告白をされた小説家のつぐみ。
十年来の恋人に振られ傷ついたつぐみを下宿に置いてくれた朔太郎は、
つぐみの作品を大好きだという一番の理解者。
なのにどうして…?戸惑うつぐみだが、
そこには朔太郎が抱える大きな闇があって!?

今日の大切な想い出も、明日覚えているとは限らない
記憶障害の青年と臆病な作家の純愛!!




事故により高次機能障害を発症してしまった青年と

作家の恋のお話でした。

脳損傷に起因する認知障害に対しての世間的なアピールは

まだまだ少ないのでこういった疾患に対する理解は少ないかもしれないけれど

この本が起因となって知るてがかりになれたらいいなと思います。


お話としてはほんとうに在り来りな内容なのです。

けれど凪良さんの綿密な文章に心惹かれて最後まで読み通してしまう

そんな一冊でした。


十年来の恋人に子供がほしいからと別れを告げられた売れない作家さんであるつぐみ

その本のファンであるという何でも屋さんである朔太郎と偶然知り合い

下宿先を紹介してくれて

あれやこれやと世話をしてもらう。

おだやかな日常を重ねていくにつれだんだんと知り合っていき

心を重ねていくエピソードを重ねていくうちに

心が朔太郎に惹かれていることに気がつくのです。

ですが、朔太郎はある理由により恋はしないとかたくなに思いつめていて・・・

実は朔太郎は大きな会社に勤めていてバリバリと仕事をこなしていき

順調に社会生活を歩んでいたのですが

横断歩道をわたっていた時にバイクにぶつかられ

頭の怪我をしてしまうのです。

怪我は幸いにも軽く、彼の隠された脳の損傷に気がつかないまま

またもとの日常に戻ろうとがんばるのですが

なぜかそうした彼をあざ笑うかのような出来事が次々を起こってしまい・・・

忘れていく自分に気がついて、その会社をやめてしまうのですが

そのような自分の境遇に似たつぐみの本を読んで救われるのです。

心と心が重なっていく瞬間瞬間がすごく綿密に書かれていて

さりげない日常を積み重ねて人は心を惹かれていくのだなということを

実感できました。

恋はしたくないという朔太郎の思いを尊重して

離れて生活することを選んだつぐみ

別々に生きてはいても心はいつも朔太郎とともにあって

毎日毎日朔太郎についての短いお話を書き上げていくのです・・・

そして一緒に最後まで生きることを選んだ二人

あいかわらず記憶は流れていくものもありますが

心のどこかに流されていないものもたしかにあって

つぐみと優しい時間をすごした朔太郎の想いが書かれておりました。

こんなふうに最後の時間までも優しい思い出に散らばられているからこそ

つかの間の別れに耐えれるのかもしれないし

ひとりという悲しみすら楽しめるのかもしれないと思える一冊でした。


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あいのはなし ( 凪良 ゆう )

あいのはなし (ショコラ文庫) [文庫]

凪良 ゆう (著), 小椋 ムク (イラスト) 

あいのはなし (ショコラ文庫)




(内容)

愛する男を失くした岸本波瑠は、彼の9歳の息子・桐島椢とあてのない旅に出た。
奇妙なことに、椢は自分の中に父親がいると言い、
そして時おり本物の彼のように振る舞った。
不思議で幸せな三人での生活。
だが、幼い椢と他人の波瑠が長く一緒にいられるはずもなく、逃避行は悲劇的な結末を迎えた。
――それから10年、あの日姿を消した波瑠を、椢はずっと捜し続け…。
時をかけ、三人の想いが絡み合う不思議な愛の物語。




初恋の人裕也とであったのは波瑠が9歳の時

売れない役者であったというか、才能があっても舞台人であろうとしていた裕也

はじめて自分自身を見てくれて、受け入れてくれて

楽しい思いをくれた人。


それは幼い時から心が弱く仕事をやめてしまい

家に引きこもってしまった優しい父親をもっていた波瑠

父親の優しさを知っていながら

父に似てきたと母親に言われるたびに不安になる波瑠

母親とさえうまく関わることができずに閉じきっていた自分の孤独を

初めて癒やし、安寧さを与えてくれた人。


裕也に恋をしていると気がついたのですが

亡くなった弟への思いを重ねて自分を見ている裕也に恋心を伝えることはできませんでした。

けれど二人の気持ちはたしかに重なっていて

裕也と裕也の息子である椢との三人の時間は幸福なものだった。


けれど


裕也はある日海でなくなり

その葬儀の日に何もかも捨て去ってしまいたいような虚無感でいっぱいだった波瑠を

救ってくれたのは裕也の息子の椢だったのです。

自分の中に父親の裕也がいるからと訴え

ほんとうに裕也であるかのような振る舞いをみせるのです。

奇妙な三人?の逃避行はなんだか

モノクロのフランス映画のような悲しみと幸福に彩られておりましたが

その幸福は長くは続かず

誘拐された子どもと

その父親を愛していた誘拐犯として終わりを告げたのです。


そして不思議な絆で結び付けられていたふたりの再会と

恋はゆっくりと回転していきます・・・

波瑠の心の再生と癒やし物語であったと思います。







波瑠の孤独を癒やしきる強さを椢がもっていてよかったと呟かせてください。

悲しみはいつかは癒やされる

そう信じて生きていきたいと願う方におすすめしたいです。

拍手[2回]

お菓子の家: ~un petit nid~ (凪良 ゆう)


お菓子の家: ~un petit nid~ (プラチナ文庫) [文庫]
凪良 ゆう (著), 葛西 リカコ (イラスト)

お菓子の家: 〜un petit nid〜 (プラチナ文庫)



(あらすじ)

大事なものはひとつでいい
リストラされた加瀬は、強面なパン屋の店主・阿木に声を掛けられ、バイトをすることに。
無愛想で人との付き合い方が分からない加瀬にとって、店の温かな雰囲気は馴染みがなく、
戸惑うばかりだった。
けれど火事に遭って阿木と同居することになり、彼の優しい手にどうしようもなく惹かれていく。
優しくされればされるほど阿木に依存してしまい、溢れそうになる感情に加瀬は……。

 

夜明けには優しいキスを (白泉社花丸文庫BLACK) のリンク作

読んでる記憶がないなぁと思っていたのだけど、実は読んでいました(笑)

自身の記憶の薄さには感嘆!しかねません(笑)

というのも、主人公はある理由で自分自身を傷つけるような生き方をしておりまして

その彼である加瀬も傷つけられて生きてきた過去ゆえに

大事にしたいものがすこしでも離れそうになる不安を感じるとそれを暴力でしか

表現できない哀しい人でしたので

離れることによって幸福になれる道を残したんだよね・・という終わり方でしたので

主人公たちはちゃんとハッピーエンドなんですけど

なんか救いの薄さに悲しくなっていた本でした・・・





今回は愛されたがりやの迷い猫加瀬の救済物語でありまして

そして、そんな加瀬をメロメロに愛して愛されている阿木もまた過去の傷跡ゆえに

人を愛することを放棄してきてきた人でしたが

加瀬を愛すること・大事にすることによって自分自身も救われていくので

題名通り甘くて美味しい話でした。


お話はリストラされてハローワークに通う途中で見たパン屋さんから始まります。

幼い頃に両親を事故で亡くし、

慈悲の名のもとに親戚の家をたらい回しにされ生きてきた加瀬は

愛想が悪く、目つきの鋭い嫌な感じを他人に与えてしまう大人になっております。

それでも懸命に過去の疵を忘れて、もう二度と人を傷つけづに生きていきたいと願って生きております。

そしてパン屋さんで見た若い母親と子供たちの情景は幸福そうで

それでいて自分には縁がない、似つかわしくないと腰が引けてしまうのでしたが

そのパン屋の一見ヤクザのような風貌の男から声をかけられ

仕事を紹介されるのです。


親がいないため施設で育ち、他人に養ってもらうということで理不尽な扱いを経験し

幼馴染とともに極道の道にすすむが大切な人を失ってしまったことを契機に

パン屋のオーナーになり地道に生きることを選んだ阿木

そしてその友人であり、幼馴染じみであり極道として出世している武藤

元ホステスでだらしない男に惚れっぽい知世

そして知世と譲の忘れ形見の里央


この子供の存在がまたこのお話の中でいい味でした(笑)

ちょっと勉強ができなくて学校でいじめられていて

それでいて他者に対する優しさを知っている子ですよ~

人に優しくされて生きていることのありがたみを知っている子供というのは

人にも優しくできるんだなと思いましたね!

一癖も二癖もある人たちに囲まれて、阿木の優しさに触れて

あの頑固なほど無愛想で閉じきっていた加瀬がどんどんどんどん可愛くなっていくので

阿木でなくても尻に敷かれなきゃしょうがないでしょうと思わずにいられません(笑)

甘くて悲しくて切なくて美味しいお菓子の家を堪能なさりたい方いかがでしょうか?




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散る散る、満ちる(凪良 ゆう)


散る散る、満ちる (ショコラ文庫) [文庫]
凪良 ゆう (著), 海老原 由里 (イラスト)

散る散る、満ちる (ショコラ文庫)



(あらすじ)

美形だが人のよすぎる如月春水は、部下である里見幸一に密かな想いを寄せていた。
叶わぬ恋だと諦めていた如月だったが、皮肉にも、里見もゲイで片思いに苦しんでいることを知る。ヤケ酒に付き合い里見を送り届けた如月は、勢いに押され彼と一夜を共にしてしまう。しかし翌朝、何も覚えていないと焦り謝る里見に対し、如月は傷ついた心を押し隠し彼の恋に協力することを申し出るが…。書き下ろし番外編も収録。
ショコラノベルズで出ていた「散る散る、満ちる」に書下ろしがついて文庫化されました。

正直ちょっと文庫化が早すぎると思うのですが

ショコラノベルズが文庫化になって手に入りにくい状況だったそうで

みんなで萌えと楽しみを共有したいと思ったら

ちょっと早い文庫化もしょうがないですよねー。


今回の書下ろしはノベルズ版の本編後のふたりが

ショコラの小冊子にでていたのですが

そちらでは里見が上司の移動により順調に行くはずだった仕事がうまくいかず

そのうえ、同期は出世していく・・

サラリーマンの悩みとか苦しみをこれからのふたりがどうやって乗り越えていこうか

お互いが好きだという想いが一番大事というところで終わっておりました。



その後の二人が今回書下ろしとして付いていたのですが

これもなかなか初々しくていいのですよ。

大阪から帰ってきた里見と一緒に暮らし始めて長いようなのに

今だ呼び名は「主任」と「里見」なのですよ~

如月の淡い恋心はあったけれど、里見は別の人が好きだったし

肉体関係から始まった二人だから、急には変えれないものがあって・・

でも、如月の課長就任祝にかこつけて里見は「春さん」と呼ぶのです(笑)

そのときの如月の心境はもう天国にも登る心地という感じで

そして如月も家では里見のことを「幸一」と呼び返して・・

そんな些細な幸福を一杯積み重ねてどんどん幸福になって欲しいと

思える一冊でした。

書下ろし自体は短いので、本編をもってない方は是非読んでみてくださいね!

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Lianha
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女性
自己紹介:
「風と木の歌」に触発され
juneで開花w?
一時はこの世界から脚を洗っておりましたが
またどっぷりとつかっております


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剛しいらさんなどなど・・・

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