meet,again. (ディアプラス文庫) [文庫]
一穂 ミチ (著), 竹美家 らら (イラスト)
meet,again. (ディアプラス文庫)
(あらすじ)
大学構内の生協で働く嵐(あらし)は、
飲み会の席で栫(かこい)という学生と知り合いになる。
どこか冷たい静けさを纏い、独特な言動をする栫と嵐はまったくタイプが違ったが、
つかず離れずの友人関係は意外なほど長く続いている。
そんなある日、嵐は心の内に抱え続けていた、
母の死にまつわる秘密を栫に暴かれて──?
ゆっくりと落ちてゆく心を計る砂漏の恋。
その後の二人を描いた「hello,again.」も収録。
発売日に読みたくてコミコミさんで通販で買って
とうに読みきっていたのだけど感想がなぜか書けなくて放置のまま(笑)
「
雪よ林檎の香のごとく」が好きで、
その当て馬という役割だけでは 収まりきれなかった印象的な存在は栫(かこい)でした。
この作品では栫という人間についてより深く書かれていて
その壊れかげんがとても静かで怖い・・と感じてしまいました。
幼いときというか、母の胎内にいるときからふたりでありひとりであった存在
体の一部も結び合わされて生まれてきたけれど
心もなにもかもがふたりでひとりのような、ひとりでふたりのような存在を
事故か事件かはっきりしないまま・・
ただ失われてしまったことにより様々な出来事の布石となってしまう。
心から共鳴できる存在を失ってしまった不幸を鏡の向こうから眺めているだけのような栫
愛する息子を失ってしまった喪失感に耐え切れず、もうひとりの息子を自分に縛り付け
様々な人や土地をさまよい歩いている栫の母
失ってしまった人やモノを探すことができる能力を持っていた嵐の母
その母を失う直前にひどい言葉を投げつけてしまった息子嵐
栫と嵐の恋のお話なのにちっとも甘さとかラブさはないので
そういうお話を読みたい方のはすすめられないのだけど
どこまでも割り切れることのない人生や生活を生きている人には・・
勧めれる・・かもというお話でした。
ありていに語ればどこまでも美しくって頭の良い子供が心を壊してしまい
初恋の少年に対して素直に愛を語れなかった物語・・とでもいいましょうか(笑)
初恋とも思わずについいじめてしまったお話かな・・(っ◞‸◟c)
[3回]
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