異母兄のいる庭 (CROSS NOVELS) (単行本)
水原 とほる (著)
あじみね朔生(イラスト)
(内容)
「やめてくださいっ。兄弟なのに」
「おまえを弟だなんて思ってない」
母の死により、代議士である父の屋敷へ引き取られた志乃。
愛人の息子である志乃は、そこで、父の正妻や異母兄の慎一郎との関係に悩みながら暮らし始めた。
閉鎖的な町で息を潜めるようにして生きる志乃だったが、ある夜、慎一郎に無体な関係を強いられる。
大学受験を控えた慎一郎にストレスの捌け口のように扱われながら、いつしか志乃の体は溺れていく…。
すれ違う切ない兄弟の愛は…?
うーん
水原さん好きな作家さんなんです
人間の痛みや弱さや哀しさを書かせたら天下一品です
言葉での暴力や体にくわえられる暴力というのは好きじゃないんですが
水原さんとか木原さんなら不思議に許せれるというか
そういうマジックというか魔力を持っている作家さんです
愛人であった母が癌でなくなり、父の元に引き取られるのですが
母も異母兄も一見は穏やかに受け入れてくれるのですが
その実心の中で消化できない悲しみや苦しみを昇華できないままでした
やさしい愛情を持ってはくれるものの仕事で忙しい父
受け入れてはくれるものの無関心な父の妻
受験だ、代議士の長男だというストレスを志乃に直接ぶつけてくる兄
慎一郎・・・・
心の中では義理の兄弟なのにとおびえながらも
体は異母兄を受け入れていく・・・・
人間の哀しい弱さがこんなにもきれいに書けるのは
さすが水原さんという感じです
異母兄との禁忌の関係におびえ戸惑いながらも成長していく志乃の姿を楽しみたい方いかがでしょうか?
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