唇にふれるまで (ルナノベルズ) (単行本)
可南 さらさ (著)
街子 マドカ (イラスト)
(あらすじ)
逃げないと―雨の降る夜、家を飛び出した悠は、不注意から荘志に怪我をさせてしまう。責任をとるため、彼がシェフを務める店で手伝うことになったのだが、無愛想な荘志に悠はなかなか馴染むことができないでいた。けれど、家に帰りたがらない自分に何も聞かずごはんを作り、猫の世話を任せてくれる荘志の優しさに触れるうち、もっとそばにいたいと思うようになってしまう。少しずつ恋心を自覚する悠だったが、どうしても素直には言えない理由があって…。
新しく創設されたこのルナノベルズ
正直創刊ラインナップに可南さんの名前をみたときは嬉しかったです。
去年はこの作家さんにしては・・
怒涛の文庫化・書き下ろしの雑誌発表がありましたので
今年は、もうないかもと考えていたからです。
発売予定の日よりちょっと遅れてはでましたが
読んでみればもうそういうことはどうでもいいことなんです(笑)
せつなスキーのあたしを十分に満足させてくれた一冊でした。
主人公の悠は家族に恵まれておりません。
大きな家の堅苦しさに耐えきれず家をでた娘が水商売をしながら
子供を産んだものの育てきれずに、実家の母に預けっぱなしのまま大きくなります。
祖母に大切に育てられましたが
心のどこかに喪失感を抱えて母と言う存在にあきらめたまま高校生になります。
祖母に先立たれたいまは叔父の家の離れに住んではいますが
従兄に暴力をふるわれます。
逃げるために必死になっていた悠にはバイクの存在とか信号とか目に入らず
バイクを運転してた荘志をけがさせてしまいます。
高校生で叔父の家に世話になっている身では弁償したりすることはできない
けれど、なにもしないままではいけないと荘志の手伝いをするという悠。
バイトをし、その帰りは荘志の家により猫の世話や家事をすることで
大人に大切にされることとか
美味しく食事をいただくことで幸福感を知る悠は
徐々に荘志に恋をしていくのです。
荘志の恋人になれなくてもいい
猫のように可愛がってくれればいいと
小さな胸に精いっぱいの思いを込めて告白するのですが・・・
可南さんらしい一冊でした
せつなスキーにお勧めしますが、
猫とのふれあいとかお食事の献立が実に生き生きと描かれているので
猫好きサンにもお勧めできると思います(笑)
[3回]
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