蛍火 (ガッシュ文庫) (文庫)
栗城 偲 (著)
麻生 ミツ晃 (イラスト)
(あらすじ)
大学教授の宮地洸一と小説家の塚原千里は、学生時代から連れ添って二十年の「恋人」。しかし、ここ数年は一緒に暮らしながらもセックスどころかまともな会話もない日々。ある日、些細な諍いから洸一は煙草と財布だけを手に家を飛び出し北へ…。一方、千里は独り残された部屋で互いを想い合っていた頃を思い出す。かつてはあんなに愛しく想い、添いとげようと決めた相手だったのに…。二十年の歳月を経て、凍りかけた想いに再び火が灯る―。不器用な男たちのラブ・クロニクル。
いまさら感満載なのですけど~
もう開き直りきって、自分のための覚書だからと書いちゃいます(笑)
大学教授の宮地洸一と小説家の塚原千里はもう連れ添って長いカップルです。
最初のころのときめきとかきらきらした愛情とか恋情が薄れかけていくというか
自分でも流されてゆくのをとめきれなかったふたりです。
BLの世界にはなかなかなかった出来上がったふたりの世界が丹念に描かれております。
丹念過ぎて・・・
現実に夫婦として時間が流れきっているあたしとしては
うーんと思わされることもあり
突き付けられたくないという気持ちまで感じてしまいました(笑)
BLに関してどこまで求めているのか、
自分自身考えてみるにもいい一冊だったんじゃないかなと
想ってみたり・・・(笑)
本編は洸一サイドから書かれた現実からはじまっております。
倦怠期というか、
関係に慣れ切ってふたりに関係とか時間を大事にできなくなりつつあるふたりの
すれ違いが書かれております。
ふとやりきれなくなって洸一は家を出てしまいます。
そこで出会ったのは・・・
昔の千里に恐ろしく似た青年健太です。
健太とふたりで恋の逃避行というか、道行の旅行にでていき
健太と時間を過ごすことにより
なにが自分たちふたりに足りなかったのか気づく洸一です。
千里サイドから書かれた過去の自分たちの出会いと
魅かれていくその瞬間が書かれております。
ふたりでいることがあたりまえになって
そのことの大切さを忘れていくことによって
ふたりがぎくしゃくしていく時間が描かれております。
けれどふたりでいることを選んだ瞬間の思いは忘れきれるものではなく
ふたりでいることの大切さをやんと思いだすことができたふたりは
ちゃんと過去の自分たちを整理して
また2人でいること
2人で生きることを選んでいくのです。
最後は健太サイドから書かれた未来編とでもいいましょうか
あの旅行と出会いによってさんにんがさんにんとも
ちゃんと自分の気持ちに整理をつけて
これからを考えていくお話になっていました。
現在と過去と未来かけて、三回同じ話を繰り返されるので
そのことがくどく感じることもありましたが
麻生さんのあっさりとした挿絵の効果もたかく
読後感はいいお話でした。
[3回]
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