ラブセメタリー (木原音瀬) 小説すばる9月号掲載作
小説すばる 2013年 09月号 [雑誌]普段は全く買わないというか・・
見向きもしなかった・・小説すばる9月号を購入したのは
木原さんの作品が掲載されたためです。
崎谷さんが大人の男女の恋愛モノを描いたのとは違って
この方の作品はどこまでもブレなく木原作品なのだなという認識がありました。
男同士の恋愛を書いているようで
どこまでも人間というものを描いているような気がします。
精神科というか心療内科に勤務する看護師の町田
ある日診察に訪れた久瀬は背は高くて姿勢がいい男
それだけでゲイの町田からしたら心惹かれる存在なのに
10年ぶんくらいの不幸を一気に濃縮したような表情だったのが残念に感じる。
診察が始まると町田は診察室の横にある薬品備品庫にひっこむ。
それは過去診察中に普通に話していたのに急に豹変した患者に殴られ
鼻の骨と、前歯が三本も折れたうえに首を絞められ気を失った経験をもつ医師が
患者とふたりきりで診察室にいることに恐怖感を持つために
診察室の横にカーテンで仕切られた部屋つくり誰かが居てくれるという
安心感を作るためだ。
ゲイである町田の性癖を知っていてもなにひとつ代わりのない飯田の存在が心地よく
町田もこの医院で居心地よく業務をしていた。
心惹かれた男の診察が始まっていく。
眠れないと訴える男はいつもセックスのことが気になると訴える。
自慰で満足していればいいのだが、衝動が強くなると犯罪をおかしそうになる。
犯罪の手はずを考えてしまう・・
といつか実行してしまいそうな自分に恐れおののいている。
セックスのパートナーにそういった擬似行為をおこなってもらい
双方ともに満足できるようにすればという医師の提案に
久瀬は小児性愛者だと答える。
そして運命の出会い・・
友人の引っ越しの手伝いに行った帰りの早朝
道で酔いつぶれていた男を助けるとその男はあの心惹かれていた久瀬だった。
助けて介抱してやっりお財布を盗まれた男にお金を貸してやり
そのことがきっかけとなってふたりの時間がからみ合っていき
どんどん久瀬に惹かれていく自分を抑えきれなくなっていくのです。
小さい男の子しか愛せないゆえに愛することができる年令になってしまったら
もうその存在はあいすべきものではなくなってしまうという不幸
久瀬のその悲しい悩みを知っている看護師としての自分に
悩みながらも惹かれていく過程が丁寧に描かれていました。
そして訪れる破局
久瀬は再来した医院で町田が看護師として働いていることを知ってしまうのです・・・
話がしたいという久瀬は冷静に怒りを蓄えていたようで・・
自分と付き合っていたのは何故と詰め寄ってきたのです。
ゲイだからと姉にしか告白していない性癖を晒してしまう町田
自分の秘密を語った町田の心の弱い部分を言葉というナイフで斬りつけてくる久瀬
裸になれという久瀬の要求に恐る恐る応じたのに
久瀬はその汚いものをしまえと言い放つのです・・・
決して絡みあうことにない感情って悲しいです。
ましてや町田は久瀬に好感以上の感覚をもって接していたのに
それすらも嫌悪の対象になるなんて・・・
人間ってほんとうに怖い悲しくて弱い生き物なんだなぁと再認識いたしました。
ここまで手ひどく恋しい人に傷つけられた町田がほんとうに可哀想でした。
この二人の思いがうまく重なる時がくればいいのにと願わずにはいられません。
セメタリーの意味は定員過剰の基地を有効活用する目的で生まれた
コントロール要素を搭載したビートダウンデッキだそうです。
男しか愛せない町田
少年しか愛せない久瀬
ふたりの想いは自分たちの性癖だけではけっして重ならないけれど
コントロール要素が発動していつかビートダウンデッキで重なりあった想いを
大切に生きていけるように・・・なってほしい。
ということで続編希望したします~
そして、今月発売の小説現代にも木原さんの作品が掲載されるという
噂を聞きつけたので本屋に走って行くつもりです(笑)
コメントレスです♪
まるさん
11月もいろいろ楽しみがあってうれしいですよね。
特に楽しかった作品のスピンオフなんて喉から手が出るほどうれしいですよね~
年末の大掃除もですが、庭の準備もあって
春の準備のために種まきから肥料からありますが
台風のために延期しておりましたらこの寒さです。
寒さに弱いのでつらい時期がきました・・
といういいわけでもう掃除は見ないふりというギアスを発動させます(笑)
黒崎さんは挿絵が高星さんなんなのでたぶんお嫁さんシリーズなんだと
思っておりますが、間違っていたら申し訳ありません。
崎谷さんの本「
戀愛 -koiai-」は薄かったですよね・・
いつものあんいもかも調べて綿密に書き込んでありますという感じはなく
突発的にあれやこれやがあるので唐突感がありましたが
逆にシンプルでよかったですよね。
無理に急がなくてもBL読みは待つのが仕事ですので
生きている限り待たせていただきますよねー(笑)
>崎谷さんにはゆっくり休養して、新作を書いていただきたいと思います。ほんとほんと
刊行される作品が少なくてもいいんです。
いや、本音はたくさん読みたいですが(笑)
お体大事にして読み応えのある作品に期待ですよね!
コメントありがとうございました!
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