耳をすませばかすかな海 (角川ルビー文庫) (文庫)
崎谷 はるひ (著)
おおや 和美 (イラスト)
(内容)
謎めいた年上の男は、どんなに強く抱きしめても、心だけが―遠い。全てに秀でている事が、逆にコンプレックスになっている大学生・宮上和輝。何もかもに鬱屈していた高3の夏、ただ一度勢いで肌を重ねた年上の男・笙惟と偶然再会する。和輝の矜持や兄・瀬里への執着を、子供の甘えと鼻先で笑う彼の、甘い毒のような色香に翻弄されるのは、いっそ心地よかったが、だからこそ真面目に向き合おうとする和輝に、彼は底の見えない瞳で笑うばかりで―。
崎谷さんの作品の中で一番好きな作品はなんなんだろうと考えてみたら
初期の「ミルククラウン」シリーズで崎谷さんというかたに出会った のですが
一番気に入っていたのはこれかなと思って再読してみました。
思えば娘が神谷さんにはまって、
「CD買おうと思っているんだけどどっちがいいかな?」と聞かれた作品は
「しなやか」シリーズとこれでした。
もうなにも考えずにこれをお勧めして購入したあのころ・・・
ロングロングドライブで思いっきりこれを聞きましたね(笑)
あのときもし事故でもしていたら・・・・
えんえんと事故現場で神谷さんの色っぽい声が周囲に流れていたのではないかと
(事故しなくてよかった・・・・)
CDのなかでも一番好きな作品です。
年上のプライドが高くて傲慢で傲岸ででもどこか自分を貶めていた笙惟
謎めいていた大人の男の魅力にはまってじれじれしていた年下の大学生宮上和輝
自分を振り回すだけ振り回してなおかつ大人の余裕さと狡猾さをみせつけるかのような笙惟の
本心が見えなくて不安とか焦燥感にいらだっていました。
気になるときが恋の予感とでもいいましょうか
体はいくらでもくれても心はつかめない笙惟に気になって、じれて、ぐるぐる考え込むというのは
何でも出来て頭のよい和輝にとっては初めての経験であったのだと思います。
ある出来事から自分の気持ちにはっきりと気がついた和輝は
もう本領発揮とばかりに言葉で笙惟を押せ押せで押していき
ほんとうは純情でかわいい笙惟の真実をさらけ出していくところもほんとうに読んで美味しかったです。
何度読み返しても新しい発見があるこの作品
夏の疲れた頭にぴったりの一冊ではないでしょうか?
[1回]
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