リベット (プラザCOMIX Hollyシリーズ) (プラザコミックス)
天野 瑰 (著)
(内容)
お前のそばがいちばん安心する。
俺はもう逃げないって決めたんだ。
「嫌だったらキスもセックスもしなくていい。お願いだから俺と付き合ってください」乾武則に告白された初芝公平は、自分の感情に自身が持てずにいた。乾が好きなのか、一人で生きるのが辛いのか、寂しいだけなのか、それとも過去の体験が怖いだけなのか。乾と一緒だと、切ないぐらい幸せになれる。けれど初芝はゲイではなかった。乾の優しさに甘え、曖昧な態度を取り続けていた初芝は、偶然、別の男と抱き合う乾の姿を見てしまう。ショックを受ける初芝は…。小説「リベット」を原案に、その後の二人がハッピーエンドになるまでの物語を、天野魂が独自の視点から描いた、オリジナル・ハートフルラブストーリーvラブな描き下ろしも収録!
木原さんの小説「リベット」を原案として、その後のお話です 。
木原さんの本というよりは天野さんの思う木原さんという感じがいたしました。
乾に想われて。一途に愛されて居心地の良い関係をつくるにいたっておりましたが
いざ、恋人らしい関係をとおもっても過去の恐ろしい体験が痛みとなって受け入れれない・・・
乾の幸福を思うならば
自分のような男ではなく、平凡に恋愛していける可愛い子がいいのではないかという危惧もある。
そう思っていたある日
乾のもとに教育実習生としてかなり個性的な男がやってきて
乾に気持ちを突き付けながら
初芝のあいまいなまま置いておいた気持ちに整理をつけろとばかりに行動で示してきた。
嫌なやつというのは木原作品には往々にして存在していましたが
脇役でいやなやつというのも、ちょっと木原テイストとはちがう感じかなという感じです。
その後も初芝が入院に至る事件があったり
乾の車の事故があったりなんかめまぐるしく展開があって
初めて初芝の気持ちが乾に追いついてきて
ふたりで幸福になる道を選んでいきます。
あのとき、小説には描かれていなかったその後の未来を堪能できてよかったです。
さらにマンガの方では数年後のふたりも書かれておりました。
自分の気持ちがわからなくって・・
というか認めたくなくってぐるぐる悩んでいただけの初芝が
ただ静かに見守っていてくれた乾にどれだけ支えられて手放すことができない存在になっていたことを
自分自身にも認めるとすっかり気持ちも生き方も楽になっていたようです。
そして、そういう日常があたりまえになっていくことで
実は乾のいつかは別れを切り出されるんじゃないか、
これは夢なんだろうかという不安を持っていたことに気がつくのです。
恋をしたらみんなどこか不安でタイトなロープの上を歩くように
どこか不安定な生き物になるのだと思います。
木原さんの小説のその後という読み方ではなく、
天野さんの思う木原さんのその後漫画だと思ったら逆に楽しんで読めました。
[0回]
PR