忍者ブログ

Verger ―果樹園―

アタシの読んだ本(主にBl)の感想を 雑然とたらたらとつぶやいております

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

是 (8)  (志水 ゆき)

是 (8) (ディアプラス・コミックス) (コミック)
志水 ゆき (著)

(内容)

琴葉はお披露目の席で初めて言霊を使う。
自分の言霊が、このを…近衛を傷つけることになるとは知らずに。
傷ついた近衛を守るために、琴葉がした決心は──。
慈しみが愛に変わる近衛×琴葉篇クライマックスと、
全員集合のお正月を描いた雷蔵×紺篇&注目の新展開に繋がる彰伊×阿沙利篇を収録!

 

この方の作品は長く続ければ続くほど面白みが増していくと思います。
 
「LOVE MODE」のときもそうでしたけど
 
序盤にありとあらゆるお話の種をいっぱいばらまいていて
 
読者を楽しませるというか、

おおよそは困惑させているいろいろな仕掛けが魅力的なんですけど

それがお話の展開とともに葉が生えて茎が伸びて

やがてつぼみになり大凛の花を咲かせてくれる。

そんな魅力がある作品だと思いますし、力量のある方だと思います。
 
かといって、「レシピ」のような短編を書かせてもうまいんですよねぇ

才能と努力のかたなんでしょうか・・・
 

今回は刷り込まれるかのように近衛に守られ育まれてきた琴葉が初めて当主として

小うるさい御親戚の長老がたにお披露目されることになりました。

琴葉にとって初めて出る外の世界です。

けれど・・・いままで見たことも聞いたこともない外の世界は琴葉にとっては不安なものでした

外の自由さなどもそれを必要としなかった人間にとってなんの意味もないもののようです。

初めてのお披露目は悪意を持った親戚の方々にとっても脅威でしたが

琴葉自身にとって脅威でした。

自分の言葉によって大切な存在である近衛が傷つく結果になるなんて・・・

そこで初めて言霊使いと紙様との関係を知る琴葉。

傷心の琴葉に向かって和記はいいはなちます。

仕事をしろと・・・

近衛が傷つくならできなという琴葉に

仕事ができないなら近衛が消えることになるというルールを教える人形使いの和記

それならば・・・・

すべての災厄は自分自身にと言霊を使う琴葉

守られるだけの存在であったあの動物のような小さな子もここまで成長したんだ・・・

なんか感慨深いです・・・


赤い花が咲いて紅梅となり

次は瞬時に椿に変わり

あれよというまに牡丹がごとく大輪の花になり

その花を両手に受けて血に濡れる琴葉のカラーの絵はほんとうに綺麗でした。

いまさらながらだけど、この号だけでも雑誌でかっといたらよかったかなぁ・・・

もうじき「志水 ゆき全集」が出る予定なんですけど

このお話が収録されるときにはカラー原稿のままとお願いしたいです~

う、

ということは全集も買う気があるんだ・・・(笑)


このが大事、消えたらいやだーと泣いてすがられて落ちないなんてことはなく

無事このカップルはまとまるのですけど

最後に最大の大手カップルの登場なんですけど、これがまた

焦らしプレイですかーーーと叫びたくなるようなとこで終わっております(笑)

いろいろなカップルの蔭でささいな行き違いがあり、

喧嘩したり仲直りしたり静かなようで騒がしいこの二人だったんですけど

お話の当初から阿沙利が消えていくようになってたんですよね。

それがふたりの気持ちがこのふたりのとっては最大限に素直になれたそのときに

阿沙利が涙を流し紙に帰っていくのですよ・・・

うーん

この続きはじれじれしながらコミックスをまつか、はたまた雑誌を追いかけるか・・・・

楽しい悩みはつきぬようです(笑)


さぁ読んでみたことがない方

もしいらしたら全巻大人買いで読んでみてくださいませ♪



拍手[1回]

PR

「夏の子供 」(榎田 尤利)

夏の子供 (SHY NOVELS 234) (単行本)
 榎田 尤利 (著)
茶屋町 勝呂 (イラスト)

(内容)

大切な人を事故で失った魚住真澄は死を意識し、自分にとって久留米充がどれほど特別な存在かを知る。出会いと別れをくり返し、人は生きていく。自分の居場所を探しながら。誰かの幸福を願いながら。大切な人を得た時、世界が広がる---。
 
★書き下ろしを含む、「榎田尤利」初期の名作「魚住くん」シリーズ、上製本にて上下巻同時発売。

上巻→夏の塩
下巻→夏の子供
 



この巻では書き下ろし「ハッピーバースデイⅡ」が最後についておりました。
 
あとがきは上下ともにありません。

最後にこれをまとめた榎田先生の気持ちをちょっとほしかったような気もしますが・・・・


「ハッピーバースデイⅡ」

魚住がアメリカに留学して3年後のお話です。

アメリカでの生活は思ったより魚住にとって住みやすい生活のようで生き生きと?

というかあいかわらず魚住らしく生きているようです。

研究のほうもうまくいっているようで博士号を取るための試験も順調に進んでいるようすですが

今回は魚住の養母である実家の父

そうあのちょっとへんくつで可愛らしいおじいさんが亡くなっておりました。

病を得て手術しても完治することはないと知ったその人は静かな時間を過ごすことを選んでおりました。

容体が悪くなり入院した時点でいったん帰国し祖父と話し合っていた魚住はあんがい落ち着いており

濱田と語っておりました。

魚住の周囲にはあんまりにも突然の死が多く

今回の祖父のように覚悟のきく死は数少ないのだけど

それでも悲しみは変わらない・・・・・

悲しいことがことが多いのは好きな人が多いからと言う魚住

もしかしたら榎田先生がこの作品でいいたかったのはこれなのかなと思う。


葬儀の式典も終わり今は火葬場で皆が集まっている。

おじいさんの思い出話に花が咲く

魚住はなぜか泣けない

泣くまでに時間がかかる自分を知っている。

けれど久留米の顔をみた瞬間涙がぶわりと溢れてくる・・・


そしてその三日後

あいもかわらない面々が集まって楽しい時間を過ごす。

その最中にマリからのメールが・・・(笑)

相変わらずマリらしく生きているようで、半年ばかりみんなの前から姿を消していたようで

はじめましての件名とともに画像が添付されていたそのメールには・・・

そう可愛い赤ちゃんの写真が。

サルみたいでかわいいその子のためにマリは魚住に

「あんたみたいな優しい子になれるように名前を付けて」と言う。

死ぬものがいて、生まれてくるものがいて

幸福があり、不幸がある。

でも人生ってそう悪いものではないんだよとちょっと泣けました。


拍手[2回]

「夏の塩」 (榎田尤利)

夏の塩 (SHY NOVELS 233) (単行本)
榎田 尤利 (著)
茶屋町 勝呂 (イラスト)

(内容)

味覚障害の青年・魚住真澄は、学生時代の友人・久留米充のアパートに居候をしている。味覚を失ったのは、生きる意味を見失ったから? インド人の血を引く隣人サリームに、久留米の元恋人のマリ。日常に潜む生と死、悲しみと喜びの物語。
 
★書き下ろしを含む、「榎田尤利」初期の名作「魚住くん」シリーズ、上製本にて上下巻同時発売。

上巻→夏の塩
下巻→夏の子供 


 
もうたぶん説明なんかいらないと思えるこの作品です。

読むのなら文庫本があるので買うのはやめようかなと思っていたのですけど

書き下ろしが読めないように包まれておりましたので

あいも変わらず堪えしょうがないので買っちゃいました(笑)

「夏の塩」に書き下ろしはハッピーバースデーⅠがついておりまして「プラスチックとふたつのキス」と

「彼女のWine、彼のBeer」のあいだにそっと載っておりました。


「ハッピーバースデーⅠ」


少しずつ少しづつ家族と暮らした幸福な日々を思い出していっている魚住

サリームとホームセンターに買い物にいったあと暑さに閉口してはいった小さな喫茶店で

想い出のシフォンケーキと出会います。

おかあさんの作ってくれたケーキは

きめが細かくてふわふわですかすかで雲みたいな味わいだったと思いだす魚住

今はいない家族の笑顔とともに思い出すことができたケーキの味を作ってみたいと言う

サリームの協力も得て魚住ががんばる魚住

そしてそれを試食するのはやはりいつもの面々で(笑)

味噌汁すら作れない魚住のケーキを試食する勇気ある方々とお呼びしたらいいのでしょうか、

久留米にマリに響子ちゃん、そして製作指導者のサリーム、濱田さん

いつものメンバーがそろったらなぜか飲み会で始まっていきます。

卵白がなんでかたまるか理論的にすらすら説明できる魚住ですが

ケーキはなかなか悪戦苦闘しているようで十日間のうちに失敗すること3回・・・

4回目の挑戦の今日不器用に切り分けられ生クリームで飾られたシフォンケーキを目の前に

魚住はクラッカーをはじけさせます。

「誕生日おめでとう」の一言を添えて・・・・

ほんとうの誕生日は正確なところわからない魚住

乳児院のひとたちによってたぶんここらとつけてくれた日ではあるのだけど

みんなに誕生日のケーキを食べてほしかったと無邪気にいう。

いままでたとえ誕生日だろうといい思い出も何もなくたんなる記号でしかなかったかもしれない

けれど今日はおかあさんや家族の思い出とともにみんなで幸福を分かち合いたい日となれた。

ささいな幸福ではあるけれど

心ひそかに誰よりも魚住が生まれてくれてよかったを喜び盛大に祝ってくれる男もいる

素直には口にだせないけれど

ケーキをもう一個を請求しながら魚住の柔らかい笑顔を幸福と感じれる久留米です。



本自体は文庫本が手軽で読みやすいし、

汚れなども気にしなくていいんですけど

買ってよかったと思わせる一冊です。

拍手[2回]

A・KI・RA~路地裏の迷い猫~ (中原一也)

A・KI・RA~路地裏の迷い猫~ (プリズム文庫) (文庫)
中原一也 (著)
楠本弘樹 (イラスト)
 
(内容)

「うち来るか?飯くらい喰わせてやるぞ」繁華街で拾った少年・明良に、つい親切心を起こしたフリーライターの葛城。居候となった明良は人懐こくて遠慮がなくて、アパートの個性的な住人達ともすぐになじんでしまう。しかしある日、葛城が入手した写真―そこには、男達に弄ばれる明良が…。動揺を抑えられない葛城に、明良は部屋を出て行く。そこに現れたのは…!愛に不器用な男と、愛を知らず彷徨う少年の胸に迫るラブストーリー。



あのエロとじで中原さんのおっさん同士の 濃厚でねちっこい愛と肉弾戦を拝見しちゃったので

中原さんの新刊ということで事前に内容を調べもせず・・・

裏のあらすじを見ることもなく購入に・・・

いやいやいや

さすが中原さんなんですよ。

でもねぇ・・・

中身がおっさんじゃないんです・・・・・・

せつなくて可愛い?恋を堪能していた遠すぎる過去にめまいが(笑)


中身は施設でセクハラされるめに会って施設を飛び出して自分ひとりの力で生きている少年明良

食い逃げをしていたところを奇特なおっさんに拾われて

なぜか養ってもらって・・・・

お礼に自分の体を差し出そうとしたら叱られて・・・

初めて人の情に触れてやっと本当の年齢らしく生きることを許されるのです。

餌付というか、刷り込みというか

初めて優しくされた大人に懐いていく明良がほんとうに可愛らしかったです。

おんぼろアパートに住んでいる人々もこれまた個性的で賑やかな人生を生きているようです。

もともと対立していた組のやくざであった二人は

真っ当に生きていこうとがんばっているんですが、

なぜかいつもあったらけんか腰で会話しているんですが

慣れてきた明良にとってはそれすらも仲の良い証拠に思えてくるのです。

夜のお商売をしている美紅は母親にうとまれ、

それでもなお昔の家庭的で幸福な家というものに憧れを抱いている。

インドの国からやってきたそのひとはみんなからマハラジャと呼ばれていて

御馳走になる料理はやっぱりカレー(笑)

笑ったことのない大家さんんが食べるお茶受けの一枚700円もするお煎餅を平気でぽりぽり食べながら

明良という少年がほんとうにいい子であどけないということがみんなに伝わってきます。


明良の昔していたことが葛城にばれたときとか

誘拐されちゃったこととか

葛城の甥をちょっとの間子守していた時に明良が感じる孤独感とか

ほんとうに楽しく読ませていただきました。


でも、おっさん同士じゃないのよ・・・と一言つぶやかせてください(笑)


拍手[0回]

リベットThe departure (天野 瑰)

リベット (プラザCOMIX Hollyシリーズ) (プラザコミックス)
 天野 瑰 (著)
 

(内容)

お前のそばがいちばん安心する。
俺はもう逃げないって決めたんだ。

「嫌だったらキスもセックスもしなくていい。お願いだから俺と付き合ってください」乾武則に告白された初芝公平は、自分の感情に自身が持てずにいた。乾が好きなのか、一人で生きるのが辛いのか、寂しいだけなのか、それとも過去の体験が怖いだけなのか。乾と一緒だと、切ないぐらい幸せになれる。けれど初芝はゲイではなかった。乾の優しさに甘え、曖昧な態度を取り続けていた初芝は、偶然、別の男と抱き合う乾の姿を見てしまう。ショックを受ける初芝は…。小説「リベット」を原案に、その後の二人がハッピーエンドになるまでの物語を、天野魂が独自の視点から描いた、オリジナル・ハートフルラブストーリーvラブな描き下ろしも収録!



 
木原さんの小説「リベット」を原案として、その後のお話です 。

木原さんの本というよりは天野さんの思う木原さんという感じがいたしました。

乾に想われて。一途に愛されて居心地の良い関係をつくるにいたっておりましたが

いざ、恋人らしい関係をとおもっても過去の恐ろしい体験が痛みとなって受け入れれない・・・

乾の幸福を思うならば

自分のような男ではなく、平凡に恋愛していける可愛い子がいいのではないかという危惧もある。

そう思っていたある日

乾のもとに教育実習生としてかなり個性的な男がやってきて

乾に気持ちを突き付けながら

初芝のあいまいなまま置いておいた気持ちに整理をつけろとばかりに行動で示してきた。

嫌なやつというのは木原作品には往々にして存在していましたが

脇役でいやなやつというのも、ちょっと木原テイストとはちがう感じかなという感じです。


その後も初芝が入院に至る事件があったり

乾の車の事故があったりなんかめまぐるしく展開があって

初めて初芝の気持ちが乾に追いついてきて

ふたりで幸福になる道を選んでいきます。

あのとき、小説には描かれていなかったその後の未来を堪能できてよかったです。

さらにマンガの方では数年後のふたりも書かれておりました。

自分の気持ちがわからなくって・・

というか認めたくなくってぐるぐる悩んでいただけの初芝が

ただ静かに見守っていてくれた乾にどれだけ支えられて手放すことができない存在になっていたことを

自分自身にも認めるとすっかり気持ちも生き方も楽になっていたようです。

そして、そういう日常があたりまえになっていくことで

実は乾のいつかは別れを切り出されるんじゃないか、

これは夢なんだろうかという不安を持っていたことに気がつくのです。

恋をしたらみんなどこか不安でタイトなロープの上を歩くように

どこか不安定な生き物になるのだと思います。



木原さんの小説のその後という読み方ではなく、

天野さんの思う木原さんのその後漫画だと思ったら逆に楽しんで読めました。


拍手[0回]

カレンダー

01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28

プロフィール

HN:
Lianha
性別:
女性
自己紹介:
「風と木の歌」に触発され
juneで開花w?
一時はこの世界から脚を洗っておりましたが
またどっぷりとつかっております


好きな作家さん
木原音瀬さん・可南さらささん・水原とほるさん
水壬楓子さん・ふゆの仁子さん・華籐えれなさん
剛しいらさんなどなど・・・

コメント・トラックバック等大歓迎です

Twitter

カテゴリー

カウンター

最新コメント

[01/09 suuny]
[01/09 suuny]
[11/23 Lianha]
[11/22 さなえ]
[11/07 Lianha]

最新トラックバック

ブログ内検索

BL×B.L.People