はな咲く家路 (ディアプラス文庫)
一穂 ミチ (著)
松本 ミーコハウス (イラスト)
(内容)
高校生のかずさは、生まれた時からずっと母・弓子と二人で生きてきた。ある日、弓子から「結婚したい人がいる」と告げられ、木工作家の慎一と自分と同い年だという息子・葵と顔合わせをすることに。初めて会う葵は、真面目で臆病なかずさと違い、まっすぐで自由で―夜空を取り込んだような黒い目で、健やかに笑った。そして、弓子と慎一は結婚し、二人は兄弟になるが…。心を溶かす、初雪色の恋物語。
書き下ろしかなーと読んでいってなんか妙に記憶にあるような・・・
と思っていたら雑誌掲載作に書き下ろしがついた作品でした。
記憶がまったくもって薄いのでまるで初めて読むかのように
初恋にぎゅうぎゅうしながら
家族とか、人とのつながりについて考えていくお話でした。
高校生のかずさはある日母から「結婚したい人がいる」と告げられ
生まれ故郷の都会を後にして広島のかなり田舎にやってきた。
父ができるということは違和感がないと言えばウソになるのだけれど
いまさら母親の独占欲に苦しい年齢でもなく
むしろ母が幸せになれると思い賛成したのだが
同い年の兄弟ができるということにとまどいがちだっった。
全般的にかずさ視点で描かれていいるので
初めて葵にであって、
彼がまじめで臆病な自分と違って
まっすぐで自由で____ 夜空を取り込んだような黒い眼で、健やかに笑った
そんな彼に魅かれていく描写はほんとうにみずみずしく描かれていた。
お互いが魅かれていく日常の描写もさりげなく清冽な文章で書かれており
一穂さんの魅力が最大限に引き出されていたと思う。
魅かれていくにしたがって
せっかく家族としての絆が深まっていくのに
もし恋人になってしまって、別れたりしたら
この家族としての温もりすら失ってしまうんじゃないかと 不安になったかずさは
家族にしか思えないというひどい言葉で葵の想いを退けるのです。
今現在とふたりが出会って時間を重ねた過去とが交互になって 書かれているので、
ちょっとふたりの心情がわかりにくいと 思えるときがありましたが
青春の甘酸っぱい恋の香りは十分に堪能させていただきました。
結婚式の日に花婿が来なくて、
ひとりシングルマザーとなる決心をした かずさのお母さんが妙に印象的です。
ひとりでがんばって生きていき、子育てもこなしながら
それでいて、やっと出会った運命のひと(葵の父)との出会いにより
今までのがんばった記憶も想いでも棄てて
新しい出会いに乗り込んで、
ほとんど異国ともいえる土地で根を張って生きていっています。
母を支えた葵パパも朴とつで職人肌で、
でもなによりも家族を大切にしていることが 言葉のはしばしにうかがわれます。
こんな夫婦に・・・・なれないとおもうあたしです(笑)
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