眠る兎 (幻冬舎ルチル文庫) (文庫)
木原 音瀬 (著)
車折 まゆ(イラスト)
(内容)
冗談のつもりで書いた一通の手紙。
その手紙に返事がきた事をきっかけに、高校生の里見浩一は年上の男と付き合うことになってしまった。
本当の年齢も職業も隠し、そして相手の嘘にも気づかない振りで―。
嘘で固めた付き合いを続けるふたりは、それでも不思議と惹かれあっていく。
しかし、たくさんの「嘘」がお互いにばれてしまい…!?書き下ろし短編も収録。
以前ビブロスさんで出ていた作品でしたが、今回は書き下ろしも加えて
文庫で新装されましたね。
寝転がって読みやすいので文庫化はほんとうに大歓迎なんですけどー
今回は挿絵さんのイメージがすごく違っているので最初は違和感が大きかったです。
以前のはこれなんですけど
こっちのほうがタイトルでもある「眠る兎」のイメージでもある
(とあたしが勝手に思い込んでいるだけなんですけど(笑))
ゲイである自分におびえひたすら縮こまって生きてきた遠藤のやぼったくて
そして大人であることにどれだけ劣等感をもっていたかなどの卑小感が若干薄められていたような気がします。
高校生であるはずの攻めもなんかもうすでにおっさんかしているし・・・(笑)
でも、絡み合っているというか・・・二人が愛し合っているイメージはこれはこれでなかなかよかったです
筋肉も骨格もしっかりと書かれてあったのであたしとしては大満足かな(笑)
どれだけ筋肉が好きなんだというセルフ突っ込みはもうしません・・
今回書き下ろしは里見の高校の時の仲の良い友達であり、親友と言えるべき存在の柿本が主人公でした。
親友の無謀ととも思える恋に終止符を打たせようと
ふたりに話し合いの場を提供したものの仲直りの事後の場面を見せられ
男同士というかそこまでして親友をはなせなかった高校教師でもある遠藤の想いの濃さになんとなく相容れないものを感じてはいたけれど
親友の大事な人とのスタンスで微妙な関係をもっていた
親友が養子縁組を行い、あまつさえマンションまで共同名義で購入したことを驚きはしたものの受け入れはしていたが
そのことになんとなく心から納得していない柿本
なぜならば彼もまた遠くに転勤する後輩の志田に抱かれた記憶があり
背徳の喜びを感じていたからだ。
志田に抱かれてからは誰とも付き合ってもいないし抱いたり抱かれたりの肉体関係は持っていない。
志田に対して操を立てているわけではないのだけど
転勤から帰ってきた志田に再び抱かれながら、いままでにない喜びを感じながら
自分の想いをうまくつかめない柿本
心のなかではおそらく志田に魅かれているのであろうし体の面でも離れがたいものを感じてはいるのだけど
でも、どうしてもあのふたりに感じていた思いが盾になり気が付きたくないと思っているのかもしれない。
このふたりがこれからどうなって恋や時間を積み重ねていくのか読んでみたいと思う。
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