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Verger ―果樹園―

アタシの読んだ本(主にBl)の感想を 雑然とたらたらとつぶやいております

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メランコリック・リビドー (砂原 糖子)

メランコリック・リビドー (幻冬舎ルチル文庫) (文庫)
砂原 糖子 (著)
ヤマダサクラコ(イラスト)



(内容)

中沢千夏史には好きな人がいる。九つ年上の売れっ子カメラマン日和佐明。日和佐は男も女も来る者拒まず、だが「子供は嫌い」と千夏史を相手にしてくれない。九歳のときに出会った日和佐は亡き兄・由多夏の恋人で、千夏史が恋心を抱いても叶わない存在でもあった。そして、二十歳になっても、千夏史の想いは募る一方だが…。




「センチメンタル・セクスアリス」の続編というか、スピンオフ作品ですが

全くと言っていいくらい前作の話はかかわりがないので

これ一作で楽しく読めました(笑)

なんといっても記憶能力が悪いのでなかなか前作を思い出せないどころか

その居場所すらはっきりしないときが多々あるんですもの・・・



子供の時にあこがれていた兄の恋人を好きになってしまった男の子のお話なんですけど、

兄は脳腫瘍で22歳の若さで夭折してしまったのです。

その兄と高校時代から付き合っていた9つも年上の売れっ子カメラマン日和佐と

幼い時に遊んでもらっていたというか、

優しい時間を共有していた思い出もあります。

なにより兄と日和佐が一緒に過ごして唇を重ねていたキラキラしたその瞬間に

兄の思い人に初恋を奪われていたのだと思います。



兄の死後男女かまわず遊び歩いていてふらふらした生活を送っている日和佐

大人になったらと関係を保留にされていた千夏史でしたので

二十歳の誕生日には勢い勇んで日和佐のもとを訪れるのですが

そうそう急には関係も心情も変えられるものではありませんよね・・・


兄の写真を大事にというかもう無意識に神棚に保存していた日和佐でしたが

その革箱のなかの写真数枚見ただけですが、

兄と日和佐がどんなふうに時間を共有していたか、

どんなふうに想いをつなげていたかとっても良くわかる優しい写真ばかりだったのです。

その写真を見られたと思っただけで日和佐は大人の態度を簡単に脱ぎ棄てて

千夏史を抱いちゃうのです。

大人の手練手管にかなわない・・・

肉体は簡単に喜びに堕ちちゃうのです。

兄を好きなままで抱かれたことに傷つく千夏史でしたが

日和佐もまた千夏史の兄を失った痛手に囚われたままだったということに

気がつくのです。


やがてほんとうに千夏史は大人になって、日和佐を包み込めるようになっていくのです。

もうこうなったらどっちがどっちを振り回していくかは・・・

一目瞭然ですよね(笑)

切ない片思いと、昇華できないままの想いを抱えた大人の疵を楽しみたい方いかがでしょうかw?






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「風と木の歌」に触発され
juneで開花w?
一時はこの世界から脚を洗っておりましたが
またどっぷりとつかっております


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