さみしさのレシピ (新書館ディアプラス文庫) [文庫]
一穂 ミチ (著)
北上 れん (イラスト)
(あらすじ)
フードスタイリストの卵・知明は、ある雨の日、叔母の夫だという男・慈雨からの電話で叔母の死を知らされる。墓参り代わりに家を訪ねると、そこで出会った慈雨は、華やかだった叔母とは対照的に、もの憂い翳りを宿していた。同棲中の彼女に裏切られた知明は、慈雨宅に居候することに。生活を共にするうち、慈雨に心惹かれ始める知明だが…?
ふたりぼっちのレイニー・ロマンス、オール書き下ろしで登場。
受け攻め両方ともというか、
周囲にいる人たちもほんとうに寂しいひとたちが多いお話でした。
攻めは愛情の薄い両親、特に母親から育てられていて
世間的なことはしてくれるものの愛情には薄く生きてても死んでもどうでもいいという
雰囲気の中で育てられ
もしかしたら自分は母の実子ではないのかという疑心に囚われていました。
冷たい感触の親戚の人たちの中で唯一愛情と優しさを与えてくれた叔母
その叔母の夫であった慈雨もまた寂しい人でした。
ゲイであることに理解と愛情を示しているつもりの母は慈雨はかわいそうなこだからと
一方的な愛情を寄こされて育てられたようです。
恋しいと思っていたひとからも結婚して子供をほしいからと一方的に別れを告げられます。
藍も憎しみも経験し永い年月で熟成させているうちに恋に似た友情で終わりを告げたのです。
寂しさを分け合うように出会って共にくらした叔母実華子とも
病により共に生きることができなくなりました。
実華子の死を告げる慈雨の電話によりふたりは出会います。
まったくもってネタばれになっているのですが
寂しい人がやたらてんこ盛りで
とても重いもの、テーマを突きつけてくれるのですが
そこに萌えがないとBLじゃないような気がします・・・・
ふたりがであって、ともに暮らすうちに情がわいてきてのお話の主軸自体は
とてもよくわかります。
愛されたい人・愛したい人のその思いで暮らすうちにまとまっていくふたりの会話とかは
テンポがよくてよかったです。
百合のふたりの愛情も
ゲイの2人の濃い友情もよくわかります。
家族間の問題とか、
その周囲のひとたちの寂しさというか受け入れられないことへの困惑とか
いろいろなものを詰め込んだお話にしてはちょっと取り上げ方が薄いようなきがします。
これだけてんこもりのお話は文庫よりも新書で、しかも二段組みでがっしり書いたら・・・
ドロドロした人間模様の昼のメロドラマになっちゃうんだろうなぁ(泣)
それとも、こんなドロドロの人間関係の中で芽生えた恋をこんなに
センチメンタルにかけたことに感服するべきでしょうか(笑)?
一穂さんのブログにこのお二人の後日談が載ってます。
興味がある方はどうぞー ⇒
♪♪
[3回]
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