暁に堕ちる星 (リンクスロマンス) [新書]
和泉 桂 (著), 円陣 闇丸 (イラスト)
暁に堕ちる星 (リンクスロマンス)(内容)
清澗寺伯爵家の養子である貴郁は、抑圧され、生の実感が希薄なまま日々を過ごしていた。
やがて貴郁は政略結婚し、奔放な妻と形式的な夫婦生活を営むようになる。
そんな貴郁の虚しさを慰めるのは、理想的な父親像を体現した厳しくも頼れる義父・宗晃と、
優しく包容力のある義兄・篤行だった。
だがある夜を境に、二人からそれぞれ肉体を求められるようになってしまう。
どちらにも抗えず、義理の父兄と爛れた情交に耽る貴郁は、次第に追い詰められていくが―。
雑誌掲載作を本屋で必死になって読んだ記憶があるこの本です(笑)
雑誌よりは書きおろし作が掲載されている文読み応えがあるのはともかく
あちらこちらと書き足していただけているようで内容もボリュームもUPされているような
感じが致します。
戦争下、清澗寺伯爵家の養子である貴郁も例外でなく戦火に駆り出されていくことに
なりました。
冬貴の落とし胤として清澗寺和貴の養子として引き取られて
初恋の人和貴にあこがれて渇望していたものの
和貴の情人であり、従者であり、想い人である深沢がそれを許すはずもなく
けっして貴郁のものにはならないと思い知らされるのです。
おまけに自分は清澗寺には似ていないという呪術にもにた言葉に囚われて
誰よりも冬貴ににている淫欲さを自分自身にすら隠し通して生きてきたので
自分自身生きているという感覚も喜びも悲哀もなく死んでしまうことに
虚しさだけを感じています。
そうした夜にであった二人の存在は貴郁の隠されていたなにかを引き出ていくのです。
そうして戦争も終わりを告げやがて貴郁は政略結婚することになるのです。
女性として自分の芸術性を一番に生きている妻との蜜月はそう長くもなく終わり
貴郁は理想的な父親像を体現した厳しくも頼れる義父・宗晃と、
優しく包容力のある義兄・篤行に抱かれるようになり喜びに打ち震え
隠して生きてきた自分自身をさらけ出し、
ある意味素直に自分自身を受け入れ生きていくことを実感します。
もうね・・ものすごくエロエロしいです(笑)
でもそのエロを凌駕して自分自身をさらけ出していきていくことの実感って
すごく大事だなぁと思うのですよ。
誰よりも冬貴ににていて、肉の喜びに弱い体をもちながら
心は誰よりも自由に愛することを求めている
貴郁のいじらしさが萌えでした。
これはシリーズ10作目にあたるのですが、別に他のシリーズを読んでいなくても
内容には特に支障もないと思われるので
このシリーズに興味がなくて読んでいないという方
シリーズが長すぎてついていけないわと恐れている方チャレンジしてみては
いかがでしょうかと誘惑してみますね(笑)
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