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Verger ―果樹園―

アタシの読んだ本(主にBl)の感想を 雑然とたらたらとつぶやいております

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ぎこちないけど愛だろう(深井 結己)

ぎこちないけど愛だろう (バンブー・コミックス 麗人セレクション)
深井 結己 (著)





(あらすじ)

重くて、苦くて、せつなくて・・・
そういうあんたが好きなんだ。

忘れもしない去年のクリスマスイヴ、手ひどい失恋の直後でボロボロだった俺は、あのひとに拾われた。そしてお互いの冷えきった肌をあたためあいながら、あのひとはこう言ったんだ……。「遊ぼうよ、おれと…おれも重いの苦手だからさ」
それ以来、その呪文のような言葉に縛られたまま、割り切った関係を続けてきた俺たちだけど、いつしかそれじゃあ、どうにも納得できない自分がいて――?
愛することに傷つき怯える男たちの葛藤と再生を、やさしく慈しむように…そして情感豊かかつノスタルジックに描き出し、通称“東京タワー・トリロジー”としてファンの間で至高の名作の呼び声高い表題シリーズ他、センシティブ・アルチザンの面目躍如、ハートにしみる感動満載で贈る、深井結己待望の最新ドラマチック作品集!!



雑誌のぶんは本屋さんでパラ読みしているくらい好きな作家さんですが

こうして一冊の本となってまとまるとまた感慨深いお話となっております。

絵柄に癖があるというか、お話にも癖があるのですが

甘さも苦さも旨みもほどよく含まれている

ブラックコーヒーのように、また飲みたくなるそういうお話たちでした。


「そろそろ気づけよ」

サラリーマン湯元×喫茶店店主赤羽


 雪の日に行き倒れていたサラリーマン湯元を拾ってしまった
彼の心の傷を知り
身体だけの関係でいいと誘われ、お互いに冷え切った身体を温め合い
心の傷をなめ合う日々
名字で呼びあい、お互いのことにはなにも聞かない日々
それでも少しづつではあるのだけど、心が魅かれていく。

少しづつ感情が変化していっていくさまがよかったです。

一夜限りの関係に慣れた大人の男のつもりでも
実は一目ぼれしちゃった男に、自分の感情を知られたくなくて
わざと蓮っ葉なふりしちゃうんですが
身体だけは心を裏切ってどんどん湯元に従順になっていってしまいます。

エロシーンもふたりの感情と言うか想いにあふれきっていました。

これが規制されちゃうんだとしたら
全く違うお話になっちゃうんだろうなと
変な方向に考えていくところも(笑)



「ぎこちないけど愛だろう」

その後の2人
リーマン湯元のつき合っていた相手は結婚することになり
なんと結婚式に招待どころか。友人代表の挨拶まで強いてくる始末

彼女と二股しちゃったあげく湯元を捨てておいて・・
まぁそういう男の悪い魅力にひかれていたんでしょうかね。

疲れ切った時に思い出すのは喫茶店店主の赤羽の綺麗で優しい顔で
彼のことを身体以外にも知りたくなっているのに
なかなか彼の心の深奥にまでも触れさせてはくれなくて・・・

さよならしかないのかなと想う日々

だけど、そういうときに喫茶店のなじみのお客であり
議員秘書でもあるミネから彼の様子がおかしいと聞き
慌てて駆け付ける。


赤羽の心の傷や痛みを知り、彼にその傷をつけた過去を許せない
けれど、彼の傷をえぐりたい
自分のために血を流させたいと思う
そういう自分の執着さを知ってしまったのなら
もう十分幸せになれるんじゃないかと・・



「めぐりくる白い朝」

クリスマスの夜に東京タワーに上りたいという赤羽
湯元の心の痛手になっている部分を自分との思い出で上書きしたいと想うのだが
いかんせん重度の高所恐怖症で・・・

たんなる焼きもちラブです・・・(笑)


「正直スイッチ」

個人的にはこのカップルたちが面白かった(笑)
喫茶店カップルたちの邪魔のような味方のような…
一見ちゃらい男の振りをしている米倉峰夫

その正体は・・・

議員であり、愛人である彼を怒ったふりをして怒らせて気合いをいれたり
優しく甘えてなだめすかして頑張らせて
自分の掌の上でうまくコロガしていく。

ある意味悪い男(笑)?

「赤い糸、絡まれ」

深井さんの執着愛の原型のようなお話です。
幼馴染が両親のことで引き離され、愛し続けてはいるのだけれど
愛し合うことはできない・・・

バイブレターを入れての羞恥プレイやら緊迫・・・針を使われたり暴力をふるわれたり
嫌いな人にはお勧めできないかな。



「あいのともしび」

自分がいることで、彼から幸福を奪ってしまう

彼が愛して止まない彼の育った家族と
将来彼が築くはずだった幸せな家庭を

自分が彼に与える幸せと
彼から奪う幸せはどちらが多いんだろうと考え

自分が彼をあきらめるのが一番いいときめ
彼の別れのメールを打ちながらもそれを送信できない自分

居酒屋にて優しい表情で話を聞いてくれる初老の男に自分がゲイであること
今別れのことで悩んでいることを打ち明けてしまう。

エロはまったく全然ありません。
家族へのカミングアウト、家族との思い
自分たちの将来
そういう現実にも起こりえる様々な問題が凝縮されています。

でも、いいお話でした。
一番せつなくて好きです。



そして、カバーを外したら
な、なんと喫茶店のカップルとミネがくつろぎながら
お客を迎えるというシーンが書かれております。
優しい感情をきたお客さんたちにもと言う笑顔が素敵でした。

こういう読者サービスは好きです

本を買われている方・・・カバーをめくってみてくださいませ♪

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Lianha
性別:
女性
自己紹介:
「風と木の歌」に触発され
juneで開花w?
一時はこの世界から脚を洗っておりましたが
またどっぷりとつかっております


好きな作家さん
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