秋色 (ダリア文庫) [文庫]
朝丘 戻 (著), 小椋 ムク (イラスト)
秋色 (ダリア文庫)(内容)
あの雪の日から五年。美里は作家になり、秋山はお絵描き教室を開いて、
そして少し大人になった。
二人は再会し、お互いを深く想い合いながらも、それぞれの人生を歩もうとする。
次に会う約束はしない。それは二人にとって暗黙の決まりだった。
けれど、歳月を経て変化したことが、二人の絆をより強いものへと繋いでいき―…。
優しい色彩を塗り重ねる、無二の愛の物語。
五年の月日が経っておりまして・・・
ふたりは少し大人になっておりました。
「
春恋」では
初めての恋人を得て有頂天になりながらも、彼は自分のものではないという
悲しい初恋のあの日々から
ふたりの気持ちがひとつになってけっして失いたくないものになっていたのに
まだまだ大人未満の二人にとって
大きな社会という力には叶うものではなく・・・
大人に近づいていた秋山だけには見えていた
このままではこの恋は消えるだけという未来予想図が
美里にとってはけっして理解したくないもの
この思いさえあれば叶えられるはずのものなのに何故?という想いでしかなくて・・
愛しているという気持ちは同じなのに
年齢とか社会経験とかそんないろいろなもので見えるものも
見えないものもあった・・
お互いのために別れを選んだふたりのその後のお話です。
再会したふたり
あのときと少しも気持ちは変わらないのに、いえ余計に愛情は深まっていたのですけど
美里には秋山との別れの傷を癒してくれた彼シーナがいて
秋山には愛せないと知っていてもつきあっている彼女がいて・・・
秋山には美里を愛していて、
美里が大事だから
会うことはしても美里に無理に恋を仕掛けたりしない。
美里の彼としてにシーナの存在も認めているからこそ
シーナに対して大人になって美里を守る存在になってほしいと
成長を高めるように忠告すらしてしまうのです。
そんな秋山の深い愛情に気が付き美里も成長していきます。
お互いの中心が自分である
そんな存在であったということに気がつく美里
シーナに誰が一番好きか聞かれて
「一番なんてそんな安っぽい順位で語れる相手じゃ、ない」と言い切ってしまうのです。
「アキは自分の人生の軸だから、アキがいなかったら生きていけない」と
いつか恋人になりたいと願っていたシーナにとって残酷な言葉でしたが
そうであった美里こそ好きだったので・・あるいみしょうがない失恋ですよね。
ようやくほんとうの意味で大人になったふたり
お互いに仕事を持ち、独立した大人同士ということで
美里の両親にも理解してもらってようやく一緒に暮らすようになります。
あの別れを納得して受け入れることは
10年前のあたしにも難しかったのですよね・・・
それでもアキが決めたことだからと別れを受け入れて
大人になって少しでもアキに近づこうと頑張っている美里だからこそ
手に入れれた幸福であったんですよね。
このお話を読めるまで生きていてよかったなと想うあたしがいます。
そして、このあとの二人が読めるペーパーにはちょっと笑わさせていただきました(笑)
あんなに手に届かないくらい大人になっていると思っていた秋山のわがままな一面が
あのペーパーにはあふれておりました。
一緒に暮らし始めて9年
まだまだ一緒に寝ているふたり
美里が先に起きたりしたのが嫌なようで
おもいっきりの怒鳴り声で美里を呼んでいるのですが・・
それが「みーー!」でした(笑)
可愛すぎるぞ秋山!(笑)
[2回]
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