執愛の契り (ビーボーイノベルズ) (単行本)
華藤 えれな (著)
北畠 あけ乃 (イラスト)
(あらすじ)
「逆らうな、お前の躰は俺のものだ」美貌の柏倉流能楽師・颯希は、誤解が元で別れた恋人で青年実業家の喬一郎と再会する。颯希は戸惑いつつも再会を喜ぶが、それは喬一郎に仕組まれた復讐の始まりだった!!資金面で悩む柏倉流への援助を条件に愛人契約を要求する彼に、颯希は忘れられない恋心を隠し、流儀のために躰を差し出す。だが官能に溺れるほど責め立てられ淫らになっていく躰と、愛する男に陵辱される日々に苦しみ…。
華藤さんの本では「和」物を一番最初に読んだせいか
和の美しさが好きです。
それに加えて今回は北畠さんの美麗な絵ということで期待感満々で購入したしました。
挿絵がほんとうにいいです!
着物の乱れ具合といい
椿の花の華麗な赤と言い表紙だけでも十分に満足できる一冊でした。
あ・・内容がない。
お話はけなげな受け君(颯希)は美貌の能楽師です。
攻めの喬一郎は青年実業家として成功しており、
柏倉流えの援助を約束してくれるということで再会するところからお話は始まります。
美貌と能楽の才能に満ち溢れていた颯希でしたが
幼いころに両親を失い、叔父(宗家)のもとに引き取られ
能楽の才能を見いだされ、宗家の跡取りである真弓の後ろ盾となって
柏倉流を守るために奮闘しております。
それなにに真弓から持ち出された話は・・・
柏倉流のために援助してくれる喬一郎の愛人となれと攻め立ててくるのでした。
真弓の身代わりとなって、
喬一郎の父親の愛人と言う汚名を着たまま颯希は再会し
その復讐と執着の限りを毎日の交情で受けるのです。
まぁけなげな颯希えの誤解は溶けていつのまにか良き理解者となり後援者となり
良き伴侶となるのですが・・・
今一歩颯希のけなげさが堪能できませんでした。
というのも、脇役であるいじめっ子真弓のほうが魅力的に書かれているんですもの・・
宗家になるために幼いころから厳しい稽古に耐えてきたのに
周囲が認めるのは従兄の颯希ばかり
宗家となっても、つねに自分を守る立場のようでいて
颯希が宗家になりかわろうとしているんじゃないかという疑心暗鬼が抜けず
誰も本当の意味で真弓を知ろうとはしてくれず
宗家らしくしろとか
ちゃんと練習しろとか真弓にとっておもしろくないことばかり言ってくる
天衣無縫で純粋な一面をもつゆえに
舞台で成功を収めた颯希をみてとうとう心壊してしまい
衣装ごと颯希を燃やしてしまおうとしてしまう。
その真弓の情念のようなものが妙にあたしを引きつけてしまい
颯希のけなげさとか、せつなさの世界に入りきれませんでした。
華藤さんが書かれる能の世界はこれでおわりということでしたが
リンクスからでている他の能のお話とちがって
ちょっとちょっという感じでした。
[3回]
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