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Verger ―果樹園―

アタシの読んだ本(主にBl)の感想を 雑然とたらたらとつぶやいております

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あめの帰るところ (朝丘 戻。)

あめの帰るところ (ダリア文庫) [文庫]

 朝丘 戻。 (著)

テクノサマタ (イラスト)



 



(あらすじ)

 

「離れたくないって想ったら、寂しくなったよ」

そう告げたのは、飄々として不躾で、

どこか寂しげな予備校講師の能登先生だった。

高校生の千歳は、優しすぎる彼の恋心に翻弄されながらも、

幸福な時間を積み重ねた。

ふたりきりの教室、一緒に見た花火、朝焼け……。



けれど、それは一瞬にして千歳の中から消失した――…。

恋を初めて知った能登と、恋を忘れた千歳の抗えない想いは……。

 

こんな別れのためにキミと恋したわけじゃないのにー
前回ダリア文庫で出された「君に降る白」が静謐なイメージで



淡々とお話が流れて行きましたが



これはそのあとに出た「猫のためいき。」 の攻めさんと同じく饒舌に語ってくれるので



とっつきやすいです。



コバルト時代の朝丘さんを彷彿とさせるように初めてであった大切な宝物のような恋は



あっけないほど簡単にある出来事によって壊れて行きます。



大切な人の幸福のためにとなにもかも諦観して静かに悲しみを迎えて行くお話は



コバルトの時そのままでした。



けれど、諦めるだけではなく不幸を甘受するだけではなく



生きて行く不幸すらも楽しんで生きて行くという、その姿勢がいままでになく共感をよびました。



良いお話でした・・・





「先生へ」



この題名の「あめ」というのは受けの名前が千歳なので



それにかけてあめちゃんと彼を読んでいたのです。

 

この題名の付け方と言い、



名前の呼び方でその時の彼の状態をうまく言い表せているんですよ~



生きることが下手な予備校講師の能登先生は



受け持ちの先生の名前すら覚えない、筆記用具も持たないという



講師としても人間としてもちょっと不器用な生き方をしておりました。



そんな彼が高校生の千歳と出会うことにより初めて生きると言うことを知っていくのです。



これが恋と気がついた能登は精いっぱいのやさしさと愛をこめて



千歳とともに過ごす時間を楽しんで人生や生活の歓びを得て



どんどん良い自分を出せるようになるのです。



やがて大学生となった千歳は自分の夢をかなえるために留学を決意します。







「きみのなか、あめがなく」



留学したあめちゃんから突然連絡が取れなくなり不安なる能登



気になって大学の事務局を訪れた能登が知った事実は・・・



留学先で事故にあい記憶のすべてをなくしたあめちゃんのことでした・・・・



自分のことを忘れて可愛い女の子と二人で並んでいる姿をみて



もう千歳の中にはあのころのあめちゃんはいないと気付き悲しみに暮れる能登



能登が選んだ決断は千歳が幸福でいてくれたらそれでいいということでした。



過去を必死で探ろうとしている千歳は能登とかかわりを持つことを選ぶのです。



「あめちゃん」ではなく「ちいさん」として新しい千歳と触れ合いながら



少しずつ別れを決意していく能登の心情はほんとうにせつなかったです・・・



ひとり「あめちゃん」との想い出を糧にして京都に旅立つのです・・・



が、



千歳は記憶は取り戻すことは最後までないのですが



身体がおぼえている自分を支えてくれた腕は



彼女ではなく能登だと言うことに気がついて



京都の能登のもとまで追いかけてくるのです(笑)



あめちゃんとちいさんが千歳となってまた新たな恋を積み重ねて行くふたり



なのでした。



読後感すごくよかったです。







これにも小冊子がついておりまして、京都からたった一週間で帰ってきたふたりが



予備校の同僚で以前能登に片思いをしていた講師の秋津と食事をしながら



惚気ております。



明日千歳の両親と会うことになりちょっと緊張気味のふたり



食事会が終わってタクシーを探しにいく能登



残された秋津は能登のことを一匹オオカミだったと評し



千歳はさびしがりやだと評するのです



そこまで能登のことをちゃんと理解できている千歳とならもう大丈夫と判断した



秋津はふたりを応援はしないといいます。



なぜならふたりはもう別れないからです。



無意味な応援なんていらないでしょうと言い切る秋津



今回このお話にでてくる能登も千歳も好感がもてるのですが



そのふたりを取り巻く女の人たちの潔さが印象的でした。



もし買われるならぜひぜひ小冊子つきをどうぞーと勧めたいです。⇒小冊子配布書店リストです



ダリア公式サイトに短いお話も載っております。



興味がある方はどうぞー ⇒朝丘戻。SS


拍手[5回]

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猫のためいき。 (朝丘 戻。)

猫のためいき。 (プラチナ文庫) (文庫)
朝丘 戻。 (著)
井上 ナヲ (イラスト)




(あらすじ)

どうしよう。この人がとってもとっても好きだ。
雑貨店でアルバイトする坂上雅は、なにかと絡んでくるので嫌っていた店長の灰原志郎から突然「好きです」と告げられた。嫌悪されることを覚悟しながらも、恋情と欲を抑えられないと泣く志郎が切なかった。過去の恋にたくさん傷ついてきた志郎は格好いいのに泣き虫で、雅は彼をその孤独から守りたいと思い始める。心をほどきながら、ふたりは少しずつ想いを寄せていくが……。


プラチナはすごくリニューアルしちゃったんですね。

エロだけに特化していたものよりは内容が濃くて読みたいものが

増えたような気がします。

いまさら感ありありのコメントですね(笑)

ということで、コバルトで本を書かれていたときから読んでいる朝丘さんの一冊です。

やたら悲しみを内包していて、

未来に閉塞感を感じさせていた今までのお話を想像していたら

良い意味で裏切られます。

出会いから、時と生活を重ねて行って

ほんとうに大切な存在になるまでの時間が

二人の会話で十分に楽しめた一冊でした。

しかも、根底には愛してごめんねと泣きだすくらいゲイである自分に疵がある志郎が

ほんとうに優しくてわがままで強引で横暴で

でも悲しいほど他者の傷に敏感なんです。

それは彼の過去、生きてきた歴史に関係することでもあり

恋の歴史も関係しているんですけどね。


過去があるからこそ、

今があって、そして未来に不安と歓びを感じているふたり

その恋を邪魔と言うわけではないんですが、

脅かすような事件も組み込まれておりました。

それがちょっとお話の展開に必要だったのかどうか悩むというか

後味の悪さがありました。

でもふたりの感情の機微が繊細な言葉で丹念に描かれておりますので

せつなささん好きのかたいかがでしょうか?



コメントレスです♪

ゆうみさん
7月・・こわいくらい買いたい本が多いのでできるだけ減らしていきたいですよね・・
お財布が壊れない程度に楽しむということでがんばりましょうね(笑)
いとうさんの本は過去にビーボーイノベルズで出ていた本です。
展開に無理とかこじつけはあるんですが
いとうさんらしい切ない本であたしは十分にたのしめましたよー
でも、書きおろしがないと買わないつもりです(笑)
コメントありがとうございました!



拍手[3回]

君に降る白 (朝丘 戻。)

君に降る白 (ダリア文庫) (文庫)
朝丘 戻。 (著)
麻生ミツ晃(イラスト)
 
(内容)
 
高校を卒業してから二年。芹田藍は昼は古本屋、夜は身体を売るバイトをしていた。淡々としている藍を玩具のように扱う客が多い中、愛情を教えてくれたのは自分の身体を一切求めてこない客、成瀬恵一だった。平凡なサラリーマンで、温かく純粋な成瀬。だが彼に心惹かれるも、過去の出来事から自分自身を認められない藍は、遠ざかることしかできず―。切なく心揺れるラブストーリー。
 
以前からコバルト文庫でちょっと一味違うBLを書かれる方だな

と思って読ませていただいていたのですが

最近は本の出版が無いなと残念に思っていたのですが

今回はダリア文庫でだされたせいでしょうか
 
コバルトとは雰囲気が違うなという感触です。


コバルト文庫での朝丘さんは・・・

薄い記憶の中では曖昧な不幸に覆われてお話が終わっていることが多く

絶対的な幸福とかハッピーエンドを崇拝しきっているかたには

ちょっとつらい内容だったと記憶しております。


今回のこのお話は自分の常識を非常識と考えてみることで生まれたそうです。

人の価値観はそれこそ人の数だけあって、
 
その価値観を理解しないまでもただ感じようとした時、

初めて人をおもいやれるんじゃないか。

視野が広がって、自分の人間としての幅も広がるんじゃないか。
 
吐き出せる言葉も増えるんじゃないか。

そんなふうに作者さまが思われたおかげでこの作品が生まれたせいでしょうか

どこもかしこも心優しく懸命に生きている人たちばかりだと思いました。


 
幼いころの不幸(自分が幼い時に養子にだされたこと・養子として大事にされたけれどどこか幸福になれなかったこと)ゆえに孤独にさすらっている少年芹田藍
 
自分の性癖ゆえに悩み傷つき、それでも懸命に人を愛あうることを欲しているサラリーマン成瀬

藍が昼間働いている古本屋さんの店主佐藤店長

同じ本屋で働いている気さくで人間味あふれた野宮

みんなが自分たちの常識で息苦しく生きていて

どこかせつない悲しみを感じてしまう。

でも、ちょっと視点を変えて生き方や考え方や

呼吸の仕方すら変えていけることができるようになれたら

昨日までの不幸が

じつは幸福のかけらだったということに気がつけれると感じたお話でした。






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プロフィール

HN:
Lianha
性別:
女性
自己紹介:
「風と木の歌」に触発され
juneで開花w?
一時はこの世界から脚を洗っておりましたが
またどっぷりとつかっております


好きな作家さん
木原音瀬さん・可南さらささん・水原とほるさん
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剛しいらさんなどなど・・・

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