一穂ミチ(著)
竹美家らら(イラスト)
(内容)
中学受験も高校受験も失敗し、父の母校に進学する約束を果たせなかった志緒。今は、 来年編入試験を受けるため、じりじりする気持ちを抱えながら勉強漬けの毎日を過ごしている。五月雨の降るある日、志緒は早朝の図書室で、いつも飄々としている担任・ 桂の涙を見てしまった。あまりにも透明な涙は、志緒の心にさざなみを立て——。静かに降り積もるスノーホワイト・ロマンス。
題名にある北原白秋の歌のような、切ない哀しさと綺麗な想いがあふれているようなお話でした
父親の母校を受験しようとしては思いがけない病気に阻まれて
失敗をしてしまったことがまじめで一本気な志緒にはたまらないくらい辛いことなのでした
今度は編入を目指して毎日毎日勉強にがんばっているのに
両親はそこまでの思いもなく、
15年ぶりの妊娠にうかれているように感じてやりきれない思いをかかえていました
そういう青い気持ちを抱えたまま日々をすごしていた志緒が
自分の子供じみた感情に気がつくのは担任である教師桂との出会いからです
飄々と生きているようで
その実人一倍苦い思いを抱えて苦しんでいる大人と出会い
成長しやがて恋を芽生えさせ
愛を育てていくことの大切さをしっていくのです
淡々と雪がつもるように愛を重ねていくお話でした
脇役にちょい人間が壊れたような存在の当て馬くんもおりまして
なかなかに読み応えがあります
ディアプラスのHPにある「
SS」もよかったです
気になる方一読お勧めです(笑)
「好きだから、好きでいる」
教師と生徒、ただそれだけの関係だった。----あの涙を見るまでは。
恋に揺れる心を切なく綴る、一穂ミチのデビュー文庫
[1回]
PR