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Verger ―果樹園―

アタシの読んだ本(主にBl)の感想を 雑然とたらたらとつぶやいております

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光さす道の途中で (杉原 理生)

光さす道の途中で (幻冬舎ルチル文庫) (文庫)
杉原 理生 (著)
三池ろむこ(イラスト)



(内容)

真野は、親友の栗田に紹介された高東のことが自分でも不思議なほど苦手だった。奇妙なバランスのまま、仲のいい友人として高校生活を送る3人。その後、他県に進学した栗田とは次第に疎遠になり、同じ大学の真野と高東は距離を縮めていく。ふたりは互いの気持ちに気付くが、高東は時折見せる態度とは裏腹に、何故か真野と一線を越えるのを拒んでいるようで…。




杉原さんらしい抒情的な繊細な文章でした。

男の子が成長の過程で感じる青春の恥ずかしさとか、せつなさ

あの時にしか経験できない感覚の共有そういうものすべてひっくるめて

恋に近い友情か、

はたまた友情を伴う恋なのか

3人の男の子たちの感情が螺旋のように絡まりながら、解きほぐされながら

時間が少しづつ成長とともに変化を強いていく・・・・




末っ子の真野は人見知りが激しくて新学期を迎えるとか

新しい環境になるとかいうたびにいわれのない緊張を感じていた。

高校になって初めてできた友人栗田はそういう真野のシャイな性格とか

気質をよく理解してくれて、付き合いやすい相手だと心を許していたのだけど

栗田には中学時代からの親友がいて、自分には共有できない思い出を持つ

高東が苦手だった。

高東もそういう真野の懐かない猫のような気質を知っていて心許してほしいと願っていたのだけど

真野にはなかなかそういう高東の配慮が伝わらなかった。

三人が三人でいることにアンバランスな居心地の悪さを感じているようだったけれど

ある出来事をきっかけにして、真野は高東と意外な思い出を共有していたことを知る。



やがて時は流れて、三人はお互いの進路とともに離れ離れになる。

栗田は父親の母校をという理由で関西の大学をえらび

真野は高東と同じ大学に

寮生活を選んだ高東は風呂を理由に頻繁に真野のアパートに押しかけてきたり

同じ時間を共有することによりますます濃い思い出を積みかさねてゆく。




高校生だった二人がどういう風に時間を重ねて心を重ねてゆくのか

もう引き込まれて楽しい時間を過ごすことができました。



真野と高東の思い出のエピソードがどこかで見た文章だということで

鳥頭で必死になって考えていましたが思い出せないので

過去の杉原先生の本をひっくり返して気が付きました。

J庭で今回新刊として発売されていた同人誌でした・・・

まさか、同人誌で先行販売されていたなんて・・・・思い出せないのもあたりまえ・・・だよね。(いいわけです)

これは攻めの高東からの視点で書かれていたので、また違った楽しみがありました。


恋しいと思う気持ちに偽りはないのだけれど、

その思いだけ貫けるわけじゃないのだけれど

でも好きだという気持ちが受け入れられたのなら離したくなくなるものもある

人間の感情に綺麗なものだけではないけれど

それでもなお人間が愛おしいと作者さまは思っているのだろうなという

静かな読後感が楽しめました。

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シンプルライン (杉原 理生)




シンプルライン (幻冬舎ルチル文庫) (文庫)
杉原 理生 (著)
亀井高秀(イラスト)

(内容)

連れ子同士で、一時期血の繋がらない兄弟だった圭一と孝之。10年後、大人になって再会した二人は、改めて兄弟のような、友人のような、不思議な関係を築き始める。弟だった孝之への恋心を自覚していながら隠す圭一と、兄だった圭一へ想いをストレートにぶつける孝之。しかし、圭一にはどうしても孝之を受け入れることができない理由があって―。



連れ子同士・・・・

つい昨日読んだ「子連れオオカミ」が頭をよぎりましたが

内容はまたちょっと違うんですよー(当たり前

一時期血のつながらない兄弟として仲良く暮らしていた圭一と孝之

家名の違いとかで、いったんは引き離された恋人同士が

また結婚したのはいいものの、

心無い親戚の仕打ちというか攻撃に耐えきれずに

引き離されていくことでこの恋は始まっていきます。

家族として暮らしていたころからほのかに思いは募っていたようなのですが

家族でもなくなるという晩に想いをつのらせて圭一は孝之と触れ合うのです。


これが最初で最後の触れあいになるとも気がつかずに孝之は懸命に思いを伝えるのですが・・・




それから月は流れて・・・

母とともに家をでた圭一は母とも死に別れて一人で刹那的に生きていました。

以前付き合っていた恋人が離婚すると聞かされた時に

思いがけずに孝之と再会し・・・

また恋心を募らせていくのですが二人の間にはというか

圭一にはどうしても孝之を受け入れられない理由が存在してて・・・

というのも、母は孝之の父といったん別れさせられてから圭一を身ごもり

一人で生きてきてまた、孝之の父と結婚に至るのですが

もしかしたら二人は異母兄弟かもととの疑念がなかなか消え去らなかったのです。


普段腐りきっているあたしが読んだなら、

男同士だもん、子供ができるわけじゃないんだから、そんなことで悩まなくってもいいじゃんねー

とさらっと流しちゃうんでしょうが

たぶん・・普通の感覚で読んだ方なら

男同士だし兄弟なんてとんでもないんでしょうねぇ

になるんだろうなぁとわが身を振り返り、反省しつつ

杉原さんの独特の叙情的な文章に身を浸っておりました。



書き下ろしの「昨日・今日・明日」では失いたくないかけがえのない存在としてともに努力するふたりに甘甘さが楽しめます。





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恋の記憶 (杉原 理生)



恋の記憶 (SHYノベルズ) (新書)
杉原 理生 (著)
山田 ユギ (イラスト)

(内容)


『淋しいだけじゃ、俺はひとを好きにはならないよ』
姉の結婚式の日、理也は数年ぶりに従兄弟の高成と再会した。
高校にあがるまで、ふたりはとても仲のよい従兄弟同士であり、
理也にとって高成といる空間はひどく居心地のいいものだった。
けれど、ふたりの間にはなにか曖昧なものが忍びこみ、いつしか距離をおくようになっていたのだ・・・
結婚式の夜をきっかけに再び一緒の時間を過ごすようになったふたりだが、
曖昧だったなにかが露になってゆき!?




言葉の一つ一つが丹念に描かれている作家さんなのだといつも思います。

前作の「37℃ 」では

宗教的な禁忌に強く縛られていた自分自身に気がついてはいたけれど

この恋を捨てることができなかった大人の恋でしたが

今回はいとこ同士という禁忌に支配されながら

いつか恋は失うものだという気持ちを持ちながら

望むことをやめれなかった大人の恋でした



男女の間でさえいとこ同士の恋というのは

けっこう厄介なものなんではないかと思います。

幼いころからの想いが優しく包まれているだけでは恋はできても

結婚は周囲の思惑とか人間関係がいろいろ絡んできてしまう。

なおかつ男同士とあればその困難度はいったい・・・・


それでも心から望んでいるのなら陰ながら応援をしていきたいと思わせる

カップルたちのお話でした。

相変わらず杉原さんの書かれる攻めクンは忍耐強いです・・・

恋の関係を望んでいないと思うなら従兄のままでいいとさりげなく離れ

人恋しさにやりきれなさを感じていたらさりげなくそばにいて

怖いと感じられるなら優しさだけで包みこもうとしています。

こういう人は放したらいけませんよと受けクンに説教したいのは

あたしだけw?



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硝子の花束 (杉原 理生)



硝子の花束 (幻冬舎ルチル文庫 す 2-4) (文庫)
杉原 理生 (著)
佐倉ハイジ(イラスト)


(内容)

大学生の瑛は、兄の恋人だった脩一と一緒に暮らしている。数年前、兄・雅紀の死に落ち込む脩一と一時期関係を持っていたが、今はお互いそのことには触れられずにいた。昔から脩一を好きだった瑛は、脩一と恋人同士になりたいと願っていたが…。ある日、不思議な均衡を保ちながら暮らす二人の前に、雅紀がかつて家庭教師をしていたという青年・本宮が現れ―。



「37℃」ですっかり杉原さんにはまったあたしですが

これにはあまり萌えませんでした・・・

何が原因なんだろうと考えるにあたっておもいついたことは・・・




全般的にやさしい繊細な人たちが

詩のように綺麗な世界で暮らしているという感触があったせいでしょうか・・・・

幼いころ母が男を作ったということが原因で父の実家に身をよせることになった瑛

捨てられたという心の傷を癒してくれたのは

隣家のやさしい老婦人と

その老婦人の孫でやはり両親に離婚され、父の海外出張に伴って一緒に暮らすことになった脩一

同じような境遇でもあり、同じような感性をもった二人が出会い引かれていくのは当たり前とでもいいましょうか

兄が母の元から父の元に引き取られることになり

そのさまざまな悲しみを背負った3人が

仲良く生きていくことになるのですが

脩一と雅紀が恋人同士になり、やがて別れのときが来て

雅紀の死により決定的に別れることになり、

心が壊れてしまった脩一を癒したいと瑛は体を許すのですが

ある日それにも破綻がき、

体の関係があったその瞬間をお互いに忘れたかのように

ともに暮らす穏やかな時間・・・・・


雅紀の家庭教師をしていた本宮の出現により

過去がまた鮮やかに浮かび上がり、今を見つめなおし

未来にかわっていく・・・






綺麗な切ない恋心に萌えなくなったというか、共感できなかったのは

あたしの今の気持ちがエロなのかもと放置しておりましたが

熟成しても萌えそうにはありません・・・

またピュアな気持ちになれたら読み直そう・・・



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37℃(杉原 理生)

37℃ (SHY NOVELS 206) (新書)
杉原 理生 (著)
北畠 あけ乃 (イラスト)



(内容)

「悪いんだけど、俺をしばらく 泊まらせてくれないか」

銀行に勤める野田に突然掛かってきた数年ぶりの電話。
それは、大学時代の野田の秘密を共有する男、若杉からだった。
泊めることを了承してしまえば、面倒なことになる・・・
そうわかっていながら、野田は頷かずにはいられなかった。
とっくに終わったはずの関係だ・・・それなのに・・・?
静かな熱病のような恋が始まる!


銀行に勤めている野田は新居を建てたばかりなのに

妻を抱くことができず、別居中だった

妻は子供がいないことで周囲からの有言無言の批判に耐え切れず

心を病んでいた

野田は両親ともに敬虔な信仰をもっているために、

自身の性癖を罪のように心に重く持っているけれど、どうしても妻を抱くことができない

それでも、普通のように生きて区ことを課していたけれど

ある日若杉から電話がかかってきてしまう

恐れながら、でも今の彼がどういう風に年を食っているか見たいという

気持ちをこじつけて彼に会う理由にしてしまう

会えば過去なんて幻想にしか過ぎないと思い込みたいと思っていたのだと思う




宗教的な教義というのはけっこう自分自身が生きていくことの核となっているのだとおもう

その核が罪と決めており

贖いきれるものではないように教え込まれていることゆえに

自身の性癖についての野田の罪という感情は大きく

若杉との性行為にあたってもまるで、罰を欲するがごとくのものを望んでしまう

そういう野田を可哀想で救ってあげたい変えてやりたいと

若杉もがんばるのだけど、徒労にちかい日々に二人は疲れ別れ

お互い別の人生と生活を築き上げていく

その後の二人は再び出会い

確執というかお互いに生きることを積み重ねていくことをはじめていくのです

いろいろな問題を解決しても、

また新たな問題が浮上していき

これからも安穏とした生活はなかなか送ることはできないだろうと

思われる最後で終わっておりましたが

愛でお互いに手を取り合って乗り越えていくだろうと思われます

乗り越えて欲しいと期待していたいです







「人は憎しみでは変われない

変えることができるにはただ愛のみ」
という言葉を思い出しました

若杉との愛によって、

自身の罪の意識より大事と思えるものを大切にしたいという

気持ちになることができた野田のこれからに祝福を送りたいです




しっとりーとした大人の愛を楽しみたいかたいかがでしょうか?




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Lianha
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「風と木の歌」に触発され
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一時はこの世界から脚を洗っておりましたが
またどっぷりとつかっております


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