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Verger ―果樹園―

アタシの読んだ本(主にBl)の感想を 雑然とたらたらとつぶやいております

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交渉人は嵌められる ( 榎田 尤利)

交渉人は嵌められる (SHYノベルス) [新書]
 榎田 尤利 (著)
奈良 千春 (イラスト)


(あらすじ)

俺はなにをしているのだろう。俺はなにを・・・失おうとしているのだろう・・・

下町は両国に芽吹ネゴオフィスとして事務所を構える芽吹章は、
嫁姑問題以外ならなんでもござれの交渉人だ。
そんな芽吹の恋人は泣く子も黙ると評判のヤクザ兵頭寿悦だ。
仕事も恋も順調! のはずの毎日だったが、ひとりの男が現れたことにより、
芽吹の過去が露になっていく。
それはかつて自分を救ってくれた親友への罪悪感であり、
芽吹の忘れることのできない傷でもある。
俺を選ぶのか、それとも―― 芽吹と兵頭が選んだものは……!?
まず声を大にしていいたい(笑)!
 
奈良さんの挿絵があ んまりです漫画チックに変容しているのです。

カバーの絵はお話の全容を現している感じで芽吹と兵頭の関係性を

じゅうぶんに意味を含めて描いてくれていると思います。

海の見える大きな樹の下でのロープをつるす芽吹といい

このお話をすごくよく読んだ上で描かれていると思うのですが

あの重厚な質感が・・・・どこかに霧散したかのようです・・・

白黒の挿絵が特に漫画化に変容しつつあるのが顕著に表れております。

ここまでの過去を投げ打って変容を遂げて新しいものにチャレンジできるって

奈良さん自身に強さがあるということと

変化しつつあるものに対して自信があるということなんでしょうね。

これからどういうふうに変化していくのか楽しみのようであり

せめてシリーズものは絵柄を変わってほしくなかったという希望があります(笑)


お話のほうはあたしがいまさら感想を書くほどの物は残っていないと思うのですが

備忘録を兼ねて書かせてください(笑)


今回のお話で芽吹の過去の全容がでてきました。

悲しい過去のせいで大きくて厚い殻を被ってうつむいてただ生きてきた芽吹

その殻を壊そうとやっきになって焦って強姦しちゃった兵頭

それにより傷ついてますます人生を後ろ向きに生きていた芽吹を

日の当たる世界を見せてくれた親友若林

その若林が巻き込まれた事件で

無罪を信じようとしてどこか信じ切れていなかった芽吹は

若林の自殺と言う結果を得てしまう・・・・・

それにより人を信じたいと思い、

常にそうあるべきと努力している芽吹であったことがよくわかった。


今回はふたつのまったく関係のないUSBと事件によりお話は進んでいく

そのふたつはまったく無関係ではなく、ある人物が主軸となって起こっており

その人物の思いを受けてお話は進んでいく

芽吹の人を信じたいと言う気持ちが根幹から揺るがされあえいでいる姿は痛々しい・・・

けれどその弱さこそ芽吹という人間の根幹であると思う。


今回は兵頭と言う男の不思議な弱さもかいまみれている。

昔の親友の夢を見てなく芽吹に告げる言葉は

「昔話にも嫉妬する。俺はあんたの明日には関われても、あんたの昨日には関われない」

という。

夢で泣かせた男を殴りたいとまで言われたら愛されている幸福に浸れるでしょうねぇ(笑)



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はつ恋  (榎田 尤利 )

はつ恋 (ビーボーイノベルズ) (単行本)
榎田 尤利 (著)
小山田 あみ (イラスト)
 
(内容)

事故が原因で2度目の高校生活を送る久我山。大人びて冷めた瞳の久我山に、担任の曽根は親身になってくれる。うっとうしい教師だったはずの曽根を知るにつれ、その甘い声をもっと聞きたくなってしまう久我山。胸が痛むほどのこの想いに名前があるとすれば―恋。しかし曽根には恋人がいるうえ、自分はただの生徒にすぎないと知り…。それでも彼を守りたい。未来を変えるために、今、恋をする。
 


 最初あらすじを読んだときは、事故でダブっちゃった男子学生が二度目の高校生をしているうちに

教師と禁断の恋に落ちちゃったのねと思いこんでおりました。

でも~

なんか読んでいくうちに違和感があって、

あらすじでは初恋の教師であるはずのお葬式に行こうとしているのに

その教師のことをロクに覚えていないない・・・

しかもー、その教師の曽根に対する印象もよくなくて

なんで??

なんで???と脳内疑問に振り回されながらも読み進めていくうちに

やっと二度目の高校生活の意味と

曽根にたいしてアンバランスな反応をみせてしまう理由がわかりました。

これは・・・

この話を思いついた榎田さんの発想と文章力にも驚かれされますが

このあらすじを書いた編集さんもセンスが良いと思います。

ビーボーイにふさわしくない名作がまた一冊でてきたと思います(笑)





↓以下はネタばれ満載でもかまわないわというかたのみお読みくださいね

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蛇とワルツ ( 榎田 尤利)

蛇とワルツ (SHY NOVELS 236) (新書)
 榎田 尤利 (著)
志水 ゆき (イラスト) 
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(内容)

●Pet Loversシリーズ完結

「俺はあんたを甘やかす、優しいペットだ。まるで恋人のような」

『Pet Lovers』のオーナーである仁摩遙英は、仕事が恋人というワーカホリックだ。
そんな仁摩は、問題児のペットを躾け直すため自宅のマンションで預かることに!
カテゴリー爬虫類の蛇、竜巳杏二だ。
命令しても動かず
読んでも振り向かない扱いづらい蛇に、仁摩はうんざりする。だが、
不遜なばかりではない杏二を知るうちに、
まるで恋人のように惹かれ始めていくのだがある裏切りを知り・・・

Pet Lovers至上の恋、登場!!

第1弾:犬ほど素敵な商売はない
第2弾:獅子は獲物に手懐けられる
第3弾:秘書とシュレディンガーの猫
いよいよPet Loversシリーズも最終を迎えたわけで・・・

最終巻はさすがの読み応えでした。

Pet Loversというものがなんでできたのか

Pet Loversが求める癒しというものがなぜ必要なのかということがよくわかるお話になっておりました。

オーナーの仁摩遙英は幼い子供のころ母の心の病により愛されることのないまま育ちました。

叔母の家で何不自由のない育ちをしたからといって

幼い子供の喪失感は決して埋められるものでもなく・・・・・

やがて子供は大人になるけれど

孤独感は癒されることなく、

いえ・・表面に簡単に出せなくなった分だけよけいに隠された孤独は深くなっておりました。

そんなときに出会ったのは「蛇」の問題児のペット杏二

最初はお互いが歩み寄りこともなくただただ暮らしてるだけというか

問題を解決する気もないまま野放図に生活をしておりましたが

ともに暮らすうちに杏二の本質を知り癒されている自分に気がつく

ただそれは裏切りという名前の甘い罠でもあったのだけど・・・


もしかしたら杏二が自分を裏切っているのではないかといろいろ行動を起こして

危機に陥ったとき

やっぱりお話のセオリー道理助けに来てくれたのは杏二で・・

実は仁摩を陥れようとしていたのも二重スパイの役目もあったようです。



すべての事件が終わり仁摩は過去の傷がなかったことにはできないが

癒されることはできて


愛することはできるようになることをしって、また新たな人生の階段を上っていくのです


そう・・蛇とワルツを踊りながら

人生のいろいろなことを乗り越えていくのではないのでしょうか・・・



今回のこのお話のシリーズにですけど

ほんとうに親に愛されていない人たちが多く出ていて

何不自由のない生活はしていても、愛のない生活はどこか虚無感に満ち満ちている

心にも体にも疵を負いながらも

愛すること

愛されること

そして触れ合うことがどんなに生きることに必要なのか問いかけたかったのでしょうか?



他のぺっとくんたちのあれからの生活とか動向が垣間見えて楽しさ倍増でした。








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「夏の子供 」(榎田 尤利)

夏の子供 (SHY NOVELS 234) (単行本)
 榎田 尤利 (著)
茶屋町 勝呂 (イラスト)

(内容)

大切な人を事故で失った魚住真澄は死を意識し、自分にとって久留米充がどれほど特別な存在かを知る。出会いと別れをくり返し、人は生きていく。自分の居場所を探しながら。誰かの幸福を願いながら。大切な人を得た時、世界が広がる---。
 
★書き下ろしを含む、「榎田尤利」初期の名作「魚住くん」シリーズ、上製本にて上下巻同時発売。

上巻→夏の塩
下巻→夏の子供
 



この巻では書き下ろし「ハッピーバースデイⅡ」が最後についておりました。
 
あとがきは上下ともにありません。

最後にこれをまとめた榎田先生の気持ちをちょっとほしかったような気もしますが・・・・


「ハッピーバースデイⅡ」

魚住がアメリカに留学して3年後のお話です。

アメリカでの生活は思ったより魚住にとって住みやすい生活のようで生き生きと?

というかあいかわらず魚住らしく生きているようです。

研究のほうもうまくいっているようで博士号を取るための試験も順調に進んでいるようすですが

今回は魚住の養母である実家の父

そうあのちょっとへんくつで可愛らしいおじいさんが亡くなっておりました。

病を得て手術しても完治することはないと知ったその人は静かな時間を過ごすことを選んでおりました。

容体が悪くなり入院した時点でいったん帰国し祖父と話し合っていた魚住はあんがい落ち着いており

濱田と語っておりました。

魚住の周囲にはあんまりにも突然の死が多く

今回の祖父のように覚悟のきく死は数少ないのだけど

それでも悲しみは変わらない・・・・・

悲しいことがことが多いのは好きな人が多いからと言う魚住

もしかしたら榎田先生がこの作品でいいたかったのはこれなのかなと思う。


葬儀の式典も終わり今は火葬場で皆が集まっている。

おじいさんの思い出話に花が咲く

魚住はなぜか泣けない

泣くまでに時間がかかる自分を知っている。

けれど久留米の顔をみた瞬間涙がぶわりと溢れてくる・・・


そしてその三日後

あいもかわらない面々が集まって楽しい時間を過ごす。

その最中にマリからのメールが・・・(笑)

相変わらずマリらしく生きているようで、半年ばかりみんなの前から姿を消していたようで

はじめましての件名とともに画像が添付されていたそのメールには・・・

そう可愛い赤ちゃんの写真が。

サルみたいでかわいいその子のためにマリは魚住に

「あんたみたいな優しい子になれるように名前を付けて」と言う。

死ぬものがいて、生まれてくるものがいて

幸福があり、不幸がある。

でも人生ってそう悪いものではないんだよとちょっと泣けました。


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「夏の塩」 (榎田尤利)

夏の塩 (SHY NOVELS 233) (単行本)
榎田 尤利 (著)
茶屋町 勝呂 (イラスト)

(内容)

味覚障害の青年・魚住真澄は、学生時代の友人・久留米充のアパートに居候をしている。味覚を失ったのは、生きる意味を見失ったから? インド人の血を引く隣人サリームに、久留米の元恋人のマリ。日常に潜む生と死、悲しみと喜びの物語。
 
★書き下ろしを含む、「榎田尤利」初期の名作「魚住くん」シリーズ、上製本にて上下巻同時発売。

上巻→夏の塩
下巻→夏の子供 


 
もうたぶん説明なんかいらないと思えるこの作品です。

読むのなら文庫本があるので買うのはやめようかなと思っていたのですけど

書き下ろしが読めないように包まれておりましたので

あいも変わらず堪えしょうがないので買っちゃいました(笑)

「夏の塩」に書き下ろしはハッピーバースデーⅠがついておりまして「プラスチックとふたつのキス」と

「彼女のWine、彼のBeer」のあいだにそっと載っておりました。


「ハッピーバースデーⅠ」


少しずつ少しづつ家族と暮らした幸福な日々を思い出していっている魚住

サリームとホームセンターに買い物にいったあと暑さに閉口してはいった小さな喫茶店で

想い出のシフォンケーキと出会います。

おかあさんの作ってくれたケーキは

きめが細かくてふわふわですかすかで雲みたいな味わいだったと思いだす魚住

今はいない家族の笑顔とともに思い出すことができたケーキの味を作ってみたいと言う

サリームの協力も得て魚住ががんばる魚住

そしてそれを試食するのはやはりいつもの面々で(笑)

味噌汁すら作れない魚住のケーキを試食する勇気ある方々とお呼びしたらいいのでしょうか、

久留米にマリに響子ちゃん、そして製作指導者のサリーム、濱田さん

いつものメンバーがそろったらなぜか飲み会で始まっていきます。

卵白がなんでかたまるか理論的にすらすら説明できる魚住ですが

ケーキはなかなか悪戦苦闘しているようで十日間のうちに失敗すること3回・・・

4回目の挑戦の今日不器用に切り分けられ生クリームで飾られたシフォンケーキを目の前に

魚住はクラッカーをはじけさせます。

「誕生日おめでとう」の一言を添えて・・・・

ほんとうの誕生日は正確なところわからない魚住

乳児院のひとたちによってたぶんここらとつけてくれた日ではあるのだけど

みんなに誕生日のケーキを食べてほしかったと無邪気にいう。

いままでたとえ誕生日だろうといい思い出も何もなくたんなる記号でしかなかったかもしれない

けれど今日はおかあさんや家族の思い出とともにみんなで幸福を分かち合いたい日となれた。

ささいな幸福ではあるけれど

心ひそかに誰よりも魚住が生まれてくれてよかったを喜び盛大に祝ってくれる男もいる

素直には口にだせないけれど

ケーキをもう一個を請求しながら魚住の柔らかい笑顔を幸福と感じれる久留米です。



本自体は文庫本が手軽で読みやすいし、

汚れなども気にしなくていいんですけど

買ってよかったと思わせる一冊です。

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プロフィール

HN:
Lianha
性別:
女性
自己紹介:
「風と木の歌」に触発され
juneで開花w?
一時はこの世界から脚を洗っておりましたが
またどっぷりとつかっております


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木原音瀬さん・可南さらささん・水原とほるさん
水壬楓子さん・ふゆの仁子さん・華籐えれなさん
剛しいらさんなどなど・・・

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