ステノグラフィカ （一穂 ミチ）

ステノグラフィカ (幻冬舎ルチル文庫) [文庫]
一穂 ミチ (著), 青石 ももこ (イラスト)

ステノグラフィカ (幻冬舎ルチル文庫

)


（あらすじ）

国会で働く碧は、その「声」に耳をそばだててしまう。滑舌よく明瞭な声の主は新聞社政治部記者の西口。食堂の定位置―碧の隣のテーブルで忙しなく騒がしく食事して去る彼は、日々をひっそり重ねる碧とはまるで正反対だった。しかしある出来事を境に、西口は碧を何彼と構うようになる。彼の素顔に触れるにつれ、次第に惹かれていく碧だが…。

 

「off you go」の同僚西口のお話です。

「off」では請求書がいいかげんすぎると経理から叱られたり

くだらない駄洒落で周囲をわらかせたり

それでいて密が機嫌のいいときは「良時良時」と二度続けて呼ぶ転がしそうな甘い響きを

聞き取って至りと妙に鋭い一面もあってたりして～

今回は英語の題名じゃなくってよかったと思いながら

でも意味がわからなくて調べてみたら「ステノグラフィカ」って速記者のことなんですって

一穂さんっていろいろなことに対して薀蓄というか知識があるんだなと感心いたしました。


声から始まる恋のお話はしっとりと濡れていて大変甘くて美味しいお話でした。

お気楽で豪放磊落と思わせている西口です。

立法府で声高にＡＶのことについて語ってみせたかと思うと

選挙という究極のドラマを楽しんで仕事していたりしております。

過去に傷を持つ４０のおっさんですので繊細な面もあって

大人かと思うと子供で、子供かと思うとおっさんんで可愛いと思わせるところもあります。

そうしたアンバランスな魅力に富んでいる４０男に恋をした碧は両親が海外で仕事をしているために

祖父母に育てれらたせいか昭和の香りのする青年です。

おとなしくて目立たない碧の作るお弁当に惹かれて会話が始まる二人の出会いは

非常に静かに深く沈んだように恋が始まっていくので

仕事のとかそのほかの場面にくらべてちょっと印象が薄くなるのは仕方ないのかな・・

でも少しずつ少しずつあらわになっていくふたりの静かな恋は

ゆっくりとＢＬ充したいかたにいいのではないのでしょうか（笑）？



ふたりの恋が目立たなかった理由は

静かに進展していく恋よりところどころでてきては大いなる毒を吐いていく佐伯と

その佐伯にいつも一緒にいて寄り添いカバーしていく静の存在が

大きすぎたせいのようなきもします（笑）




 

ルチル文庫創刊7周年記念フェア/一穂ミチ「come on you」

ルチル文庫創刊7周年記念フェア

書き下ろしＳＳカード

一穂ミチ　「ｏｆｆ　ｙｏｕ　ｇｏ」より→感想はこちら

「come on you」　（良時×密）


毎年毎年高齢のフェアーなんですけど、ついつい振り回されて

出版社の手の中で踊りまくっておりますよ・・・(っ◞‸◟c)

でも、楽しく踊れるならできるだけ楽しく上手に踊りたいのです（笑）

というわけで既刊フェアーでいただいてきました。

今回は本屋で通販で待つ時間も惜しいとばかりに

娘の家の近くの本屋さんで購入いたしました。

本屋さんで探したものの既にもっている本ばかりなのが妙に悲しかったのですけど

もう躊躇もためらいもなく楽しく買いましたよ♪


幼馴染の大人同士の熟成されたというか、

妙に捻じ曲がっている佐伯の純情な気持ちが好きなので一番先に

これを手にとって読み始めました。

「is in you」で登場したときから非常にきれいに捻じ曲がっていた佐伯です

「off you go」で良時に抱いていた長年の恋愛感情が報われたあとも、

いい意味でも悪い意味でも基本的には全く変わらないようです（笑）

親知らずを抜いて肉体的にも精神的にもダメージを受けている良時に

「さっさと口を空けろ」とまたがったままこの上なく楽しげに促すのです。

良時にしてみればなかなか抜けずに歯医者さんすら苦労してした出来事は

悪夢に近く忘れてしまいたいものであるのですが

それすらも嬉しそうに聞く密

口が悪くて、下品で、皮肉屋で、それでいて子供のように無邪気な一面を持っております。

そしてそういう密の魅力にとらわれている良時ですから逆らえないのです。

そうそれがたとえ麻酔が切れて慌てて痛み止めを飲んだものの

まだ薬の効果が聞いていないときに頬を無遠慮につねられたとしても（笑）

血の味がする口づけに興奮した密がもたらすプロポーズにすごく興奮いたしました。

歯がない口淫は実にいいらしいぜと下品な会話を始めるのですが

自分の歯が全部抜け落ちたら良時のあれをしゃぶり倒してやるから楽しみにしていると

語るのです。

下品で下衆なプロポーズにため息がでながらも

密の欲望に答えていく良時

はたから見ればたんなるバカップルなんだけど

それが実に甘くて楽しくて下品でよかったです。



コメントレスです♪

miru-haさん
あたしの拙い写真で楽しんでいただけたらうれしいです。
１１巻全サの応募をできなかったというのはよくあることなんですけど
つらいですよね。
素早い各種情報できたらいいなと・・思っているのですがムリ・・です。
でもがんばりますのでまたよろしくお願いいたします。
あたしこそいつここっそりとmiru-haさんの情熱あふれるブログを楽しませて
もらっているのですけけどね。
またよろしくです♪

さなえさん
佐々木さんはあたしも確定です！
＞毎月毎月よくもこんなに買うもんだと思いながら躊躇ないですが、
＞フェアが重なる時期は気をつけないと大変なことに・・・
うんうんたしかに
これとこれを買うだけと決めて本屋さんにいくのですが
いつのまにかあらすじや挿絵で気になっている本を沢山抱えていますね・・
そういえばフェアーとボーナスって時期が重なってますよね。
これもお財布の紐を緩める罠があったんですね（笑）
でも、楽しく生きるための必要経費ということで
しょうがありませんよね～

まるさん
ペーパー楽しんでいただけて嬉しいです。
あたしのつたない文章力では伝わらないものがおおすぎるので
今回は写真にがんばってもらいました（笑）
このコミックスは読むたびに幸福な気持ちになれますよね。
志水さんはお互いがお互いにとって必要な人に出会えて
心が通じ合うことがどんなにまれで
幸福なことか知っている人なんだと思います。
＞他のカップルの邪魔をしたらどうなったのか？考えるのも楽しいです^^
たしかに（笑）

そして「ステノグラフィカ 」情報ありがとうございました！
同僚？？と再度読み直してみました（笑）
密のあの「良時良時」と二度呼びしてしまう癖を暴露しちゃった彼ですか！
そうか、自分が恋しているからほかの人の些細な感情を読んじゃうんですか
と納得いたしました（笑）
「優しくせめないで」は続編もあって攻めの執着が好きな本ですので
書き下ろしがあったら是非買いたいです！
そして朝丘さんといい日高さんといい楽しみすぎる月になりそうですね。
キャラはあたしもフェアーのために買い控えていたつもりでしたが
該当既刊になっているかどうかいまからドキドキです（笑）
フェアーがんばりましょうね♪

コメントありがとうございました！

off you go （一穂 ミチ）

off you go (幻冬舎ルチル文庫) [文庫]
一穂 ミチ (著), 青石 ももこ (イラスト)

off you go (幻冬舎ルチル文庫)



（あらすじ）

その朝、就寝したばかりの良時を突然、妹の夫・密が訪れた。海外赴任から帰国すれば自宅はなく、妻・十和子に離婚を言い渡されたという。折しも独り身の良時は密のペースに呑まれ、快適な同居生活へ。幼い頃から共に身体が弱く療養の日々を同志のように過ごしてきた密と十和子、ふたりの絆を誰より知る良時。ふしぎな均衡で繁がり合う彼らは…。

表紙がとても印象的なこの作品

「ｉｓ　ｉｎ　ｙｏｕ」で不思議で哀しい魅力をもっていた佐伯の 恋の物語。

先の作品も好きだったのだけど

幼馴染の大人同士の熟成された感情が好きなので

あたし的にはこちらの方が読み応えがありました。

ここではないどこかに惹かれていた佐伯

彼が闘病生活で読んでいた本はいつもいつもここではないどこかにいく本

そんな憧れを胸に持ちつつ

生きるためのパートーナーに選んだのは決定的な病気はないのだけど

どこもかしこも弱く、健やかには程遠い生活を追っている十和子

そしてどこもかしこも健やかで優しい十和子の兄の良時への秘められた恋心

良時への叶えられない恋心を秘めていた密にとって十和子という存在がとても大きくて

でも良時への恋情を抑えることができない。

決して手に入れれないものを追い求める佐伯のシニカルで皮肉屋さんなところが

なぜなのかこの物語を読むことでスコーンと疑問が解消されてすっきりしました（笑）

「off you go」でいきなさいと十和子に後押しされた恋は

「off we go」でふたりでいきましょうとなる過程が丁寧に描かれていて

とっても素敵なお話でした。

meet,again. （一穂 ミチ ）

meet,again. (ディアプラス文庫) [文庫]
一穂 ミチ (著), 竹美家 らら (イラスト)

meet,again. (ディアプラス文庫)



（あらすじ）

大学構内の生協で働く嵐（あらし）は、
飲み会の席で栫（かこい）という学生と知り合いになる。

どこか冷たい静けさを纏い、独特な言動をする栫と嵐はまったくタイプが違ったが、
つかず離れずの友人関係は意外なほど長く続いている。
そんなある日、嵐は心の内に抱え続けていた、
母の死にまつわる秘密を栫に暴かれて──？ 　

ゆっくりと落ちてゆく心を計る砂漏の恋。
その後の二人を描いた「hello,again.」も収録。

発売日に読みたくてコミコミさんで通販で買って

とうに読みきっていたのだけど感想がなぜか書けなくて放置のまま（笑）

「雪よ林檎の香のごとく」が好きで、

その当て馬という役割だけでは 収まりきれなかった印象的な存在は栫（かこい）でした。

この作品では栫という人間についてより深く書かれていて

その壊れかげんがとても静かで怖い・・と感じてしまいました。

幼いときというか、母の胎内にいるときからふたりでありひとりであった存在

体の一部も結び合わされて生まれてきたけれど

心もなにもかもがふたりでひとりのような、ひとりでふたりのような存在を

事故か事件かはっきりしないまま・・

ただ失われてしまったことにより様々な出来事の布石となってしまう。


心から共鳴できる存在を失ってしまった不幸を鏡の向こうから眺めているだけのような栫

愛する息子を失ってしまった喪失感に耐え切れず、もうひとりの息子を自分に縛り付け

様々な人や土地をさまよい歩いている栫の母

失ってしまった人やモノを探すことができる能力を持っていた嵐の母

その母を失う直前にひどい言葉を投げつけてしまった息子嵐

栫と嵐の恋のお話なのにちっとも甘さとかラブさはないので

そういうお話を読みたい方のはすすめられないのだけど

どこまでも割り切れることのない人生や生活を生きている人には・・

勧めれる・・かもというお話でした。


ありていに語ればどこまでも美しくって頭の良い子供が心を壊してしまい

初恋の少年に対して素直に愛を語れなかった物語・・とでもいいましょうか（笑）

初恋とも思わずについいじめてしまったお話かな・・(っ◞‸◟c)

嬉しい情報！

大好きな作品の「雪よ林檎の香のごとく」のスピンオフの 栫のお話を

デイアプラスの雑誌で読んであれ以来ずっと待っておりました。

そう彼のお話「meet,again」がとうとう文庫化されて 一月にでるそうです。

ゆうみさん情報ありがとうございました♪

彼のお話は雑誌の感想で書いたのですが

あの不思議な存在感と価値観の栫がどうやって形成されたのか

忘れ物捜し物を得意なお母さんを傷つけたまま失ってしまったことで

心の傷をやっぱり癒されないまま生きてきたあの子のこととか

そうしてもうひとり影の主役ともいいたい栫のお母さんの旅に終着点が着くのかどうか ・・

優しいひとたちの優しいお話・・・

楽しみに待っていようと思っております。


コメントレスです♪

ゆうみさん
今回はいち早く情報教えてくださってありがとうございます！
彼のお話がすきだったこと覚えてくださっていたゆうみさんに深い愛情を感じます♥
一穂さんの文章はほんとうにいいですよね～
あたしも大好きです。
同人誌ももちろんなんですけど
毎回作品発売の後ブログで公開されるＳＳもすごく楽しみですね。

まるさん
楽しく見てくださっているとのことありがとうございます(人(エ)-)謝謝(-(エ)人)謝謝
＞「雪よ林檎の～」と「is in you」が特に好きです。
あたしも好きな作品です！
あの本を読んで以来広東語を習いに行こうかと思っちゃいましたよ（笑）
一穂さんのブログは気持ち悪いくらい日参してます。
たしかにあの作品発売の後の短いお話よかったですよね。
また楽しい情報あればご指導よろしくお願いいたしますね。

コメントありがとうございました！