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Verger ―果樹園―

アタシの読んだ本(主にBl)の感想を 雑然とたらたらとつぶやいております

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is in you (一穂 ミチ)

is in you (幻冬舎ルチル文庫) [文庫]
一穂 ミチ (著)
青石 ももこ (イラスト)





(あらすじ)

香港からの転校生・一束は、日本にも教室にもなじめずに立入禁止の旧校舎でまどろんでばかりいる。そんな一束だけの世界を破ったのが、二つ先輩の圭輔だった。まっすぐな圭輔にやがて心を許し、どうしようもなく惹かれていったのに、向けられる想いを拒んでしまった一束―十三年後、新聞社香港支局長になった圭輔と仕事相手として再会し…。



一読したあとは、高校生で知り合ったふたりが出会い

一束のもつ身体的・精神的な劣等感ゆえにお互いの恋の芽生えに

封印してしまった幼い恋

そして十三年後ふたりは偶然に再会し、また恋に堕ちるのですが

すでに一束には体の関係を持っている恋人がいて・・・

恋とか愛とかの甘い感情で関係を持っているわけではないので

ふたりが恋心に気づいてしまったときには障害になるものではなく

簡単に別れを選んでしまえる恋なので

当て馬の意味が釈然としないままでした。

一束が香港に住んでいて、そのせいか日本での生活習慣や言語に馴染めなくて

憂鬱に日本での高校生活を送っていたのですが

そのアンニュイさとか、心情は繊細な文章で書かれていたので

その当て馬がいないほうがいっそすっきり読めたんじゃないのかと思ったり・・・(笑)


ですが何故か惹きつけられるものがあって何回も読み直すうちに

その当て馬の佐伯という男が実に人間的で魅力的でした。

幼い頃から病弱で喘息の持病を持つ彼は入院生活おくるうちに

本が好きだったと寝物語で語るのです。

彼の好きな本は「オズの魔法使い」「ガリバー旅行記」「不思議の国のアリス」

闘病生活をおくる彼にとって「ここでなないどこかにいく」という物語が

非常に惹きつけられていたということがわかるエピソードなのですが

この一文がこの物語の非常に重要な根幹なのだと思うのです。

同じようにここでなないどこかに惹きつけられていた一束の二つ先輩の圭輔

自分とは違って健康でたくましく生きていく力に溢れている男の存在に

一束がどんなに惹きつけられていっているのだろうかと不安になります。

そして自分にない若い生命力に嫉妬もするのです。

一束にとって自分との関係は愛とか恋でななくて

似たものをもつ同士のような関係でした。

でもそれを一束が簡単に切って離れて行こうとすることは許しがたいのです。

自分には同じ闘病生活を送った妻がいて愛情を感じているのですが

圭輔にはあふれるようなこれからがあるのに

自分は出世と共に日本に閉じ込められるという

恐ろしいほどの空虚さに気がついてしまったのです・・

その閉塞感に対抗するかのように一束と圭輔のいるテーブルで自分たちの関係を広東語で

会話したりする人間味がすごくうまく表現できていると思います。

BLとしての評価で言えば最初に書いたとおり当て馬がちょっと邪魔と感じてしまいましたが

恋愛小説の人間模様として読めばすごく余韻のあるいいお話だった思います。



おやすみした理由は今回の震災にあたり災害ボランテイアに手をあげていたのです。
いつでていくようになるかわからないので準備をしておくようにいわれていたので
寝袋とか毛布(災害用の銀色マット)食料とか準備は万端にしておいたのですが
希望者が多いため今回はボランテイアに出て行くかたがたの勤務を代わりにするという
後方支援の役割をさせてもらっておりました。
実際に参加された方々から現場の声や話を聞くにつれ
災害の大きさに被害の大きさにただただ驚くだけでしたが
被災者の方々の辛抱強さや明るさを聞くにつれ
生きるということの大切さを再認識できることができました。
急ににおやすみなどとかくことでご心配おかけしました。
荷物の中に・・・一冊だけBL文庫をいれちゃったのは誰にも言えません(笑)
みなさんなら荷物にいれるなら何をいれますか(笑)?


コメントレスです♪

あきりんりんさん
>明けない夜はないのですから
すごく励まされました!
ほんとうに明るい朝が早く来るように微力ながらまず自分も明るく楽しくあろうと思っております。

桜花麻琴さん
地震の被害を受けたわけでもないのに、何故か暗くなってしまって・・
慰めとご心配ありがとうございます。
それでもみんなで楽しく明るくBLを楽しめる日が来ると思って
がんばりたいです

ありがとうございました♪

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さみしさのレシピ(一穂 ミチ)

さみしさのレシピ (新書館ディアプラス文庫) [文庫]
一穂 ミチ (著)
北上 れん (イラスト)
 


(あらすじ)
 
フードスタイリストの卵・知明は、ある雨の日、叔母の夫だという男・慈雨からの電話で叔母の死を知らされる。墓参り代わりに家を訪ねると、そこで出会った慈雨は、華やかだった叔母とは対照的に、もの憂い翳りを宿していた。同棲中の彼女に裏切られた知明は、慈雨宅に居候することに。生活を共にするうち、慈雨に心惹かれ始める知明だが…?
 
ふたりぼっちのレイニー・ロマンス、オール書き下ろしで登場。
受け攻め両方ともというか、
 
周囲にいる人たちもほんとうに寂しいひとたちが多いお話でした。
 
攻めは愛情の薄い両親、特に母親から育てられていて

世間的なことはしてくれるものの愛情には薄く生きてても死んでもどうでもいいという

雰囲気の中で育てられ

もしかしたら自分は母の実子ではないのかという疑心に囚われていました。

冷たい感触の親戚の人たちの中で唯一愛情と優しさを与えてくれた叔母

その叔母の夫であった慈雨もまた寂しい人でした。

ゲイであることに理解と愛情を示しているつもりの母は慈雨はかわいそうなこだからと

一方的な愛情を寄こされて育てられたようです。

恋しいと思っていたひとからも結婚して子供をほしいからと一方的に別れを告げられます。

藍も憎しみも経験し永い年月で熟成させているうちに恋に似た友情で終わりを告げたのです。

寂しさを分け合うように出会って共にくらした叔母実華子とも

病により共に生きることができなくなりました。

実華子の死を告げる慈雨の電話によりふたりは出会います。


まったくもってネタばれになっているのですが

寂しい人がやたらてんこ盛りで

とても重いもの、テーマを突きつけてくれるのですが

そこに萌えがないとBLじゃないような気がします・・・・



ふたりがであって、ともに暮らすうちに情がわいてきてのお話の主軸自体は

とてもよくわかります。

愛されたい人・愛したい人のその思いで暮らすうちにまとまっていくふたりの会話とかは

テンポがよくてよかったです。



百合のふたりの愛情も

ゲイの2人の濃い友情もよくわかります。

家族間の問題とか、

その周囲のひとたちの寂しさというか受け入れられないことへの困惑とか

いろいろなものを詰め込んだお話にしてはちょっと取り上げ方が薄いようなきがします。

これだけてんこもりのお話は文庫よりも新書で、しかも二段組みでがっしり書いたら・・・

ドロドロした人間模様の昼のメロドラマになっちゃうんだろうなぁ(泣)

それとも、こんなドロドロの人間関係の中で芽生えた恋をこんなに

センチメンタルにかけたことに感服するべきでしょうか(笑)?



一穂さんのブログにこのお二人の後日談が載ってます。

興味がある方はどうぞー ⇒♪♪


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おとぎ話のゆくえ (一穂 ミチ)


おとぎ話のゆくえ (幻冬舎ルチル文庫) [文庫]
一穂 ミチ (著)
竹美家 らら (イラスト)



(あらすじ)
 
ふらりと東京を出て、北の地方都市へと流れついた来杉隼人。そこに未だ息づく「お殿様」の存在に驚き、ばかばかしいと嘲って町の人たちから眉をひそめられるが、彼らが慕う若様―高校生の野衣湊にはどういうわけか懐かれてしまう。あまりにまっすぐな湊に苛立ち、どこかであわれみ、面白がっていた隼人は、いつしか湊を大切に思い始めて…。
なにも持つことを選ばない来杉と

何もかも持つことを選ばずにして持っている湊との恋のお話でした。

こんな旧家なんていう意識いまどきと考えそうでいて

田舎のあたりじゃごろごろと転がっている意識なんですよね。

持たざる者と

持つことを強いられた者と

立場はまるで違うようでいて同じような不自由さと苦痛と幸福があるような

そんな気がしました。


そんなふうにまるで違った立場でいて、それでも一目あったその瞬間から

お互いに魅かれ、恋に堕ちて行くのでした。

いったんは冷静に湊のために別れることを選び

また大都会東京で以前と同じように暮らしているようでいて

すでに食べるものからして違和感を感じている来杉

運命のめぐりあわせか、はたまた湊の想いが神さまに通じたのか

二人は再会し

離れようと努力はしますが、

湊を離すことはできないとエレベーターで降りていく彼の後をおって

階段を駆け下りていく来杉が素敵でした。


再会した彼らは湊とともに過ごした街に似た京都と言うところで

愛を育んでいています。

ちょっと?焼きもちや木の若様こと湊は天然のたらしのような才能を発揮して

なにも持たないことを選んで生きてきた来杉に

持つことを選ばせ、あまつさえ湊の誕生日を祝おうと考えさせている。

これは来杉に普通の幸福と感覚を与えれた湊の想いの強さの粘り勝ちのような

そんな気がします。

このおとぎ話が永遠に続いてほしいと祈りたいところなんですが

来杉を得て、ある種の強さを得た湊がいるから

なんとなくだいじょうぶそうな気がします(笑)




コメントレスです♪

ゆうみさん
>同人誌を読んで世界が深まる作家さんですよね
うんうん、まさにその通りです。
ゆうみさんも好き作家でしたか~
でも、商業作家さんとしては、同人誌で補完されないと魅力が半減というのは
はたしていかがなものなんでしょうか・・と悩むとこですね。
そうそう、考えないことは大切なポイントかもしれません(笑)
「爆破もの」は神さまとか調律師とはまた違った世界なのかもしれませんが
その危機感にせまった世界で主をすごく大事に愛している受けくんたちが
すごくすごく素敵なんです。
また勇気があればチャレンジで!

コメントありがとうございました!

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Don't touch me (一穂 ミチ)

Don't touch me (ディアプラス文庫)
一穂 ミチ (著)
高久 尚子 (イラスト)




(あらすじ)

製薬会社でオゾン消臭剤の研究をしている連は、同僚の代理で無理矢理合コンに参加させられる。
潔癖症ぎみなせいもあり、悪酔いしたところを、やはり代理で合コンに参加していた長谷川に介抱される。
翌朝、長谷川宅で目覚めた連は気まずさを覚えるが、彼の笑顔も家も居心地がよくて、思いがけず楽しい時間を過ごす。
そして数時間後、仕事相手として長谷川と再会するけれど――?
大人たちのイノセント・ロマンス。


一穂さんはデビュー作「雪よ林檎の香のごとく」のときからすごく好きな作家さんなんです。

でも、ここ最近はなぜかのめり込めないという感じの作品が続いているような気がします。

雑誌掲載時の時も思ったのですが

ふたりの個性と言うか、生きていくうえでの疵などは綺麗に描き切っているのですが

なぜそういう二人がで出会って、恋に堕ちたのかというあたりが

描き切れていないんじゃないかなぁという感じです。





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藍より甘く (一穂 ミチ)

藍より甘く (幻冬舎ルチル文庫) (文庫)
 一穂 ミチ (著)
雪広 うたこ (イラスト)
 

(内容) 夜景、港町、観覧車。完璧すぎるロケーションで入江暁行は「好き」と告げられた。三年間も友達として側にいた柘植遙から。実家が藍を作っていて、爪の先をいつも青く染めている遙。笑うと寂しげな顔が明るくなる遙。男なんて絶対ありえない、でも居心地いい彼の隣は手放したくない。誰にも言えない困惑を、暁行はブログに綴ることにするが―。

抒情的でいい作品だと思いながら・・・

なぜか今一歩入りきらず。



玄上さんよりぶっちゃけ文章も上手だし、読みにくさもなく・・・・

小道具の使いかたもうまいと思う。

告白されたノンケの攻めが自分の戸惑いとか困惑を誰かに語りたいと思った気持を

一番仲のいい友達は実際に告白してきたやつには言えず

周囲の人に語ってその告白してきた友人を傷つけるような気がして語れない

でもだれかに聞いてもらいたい気持ちをブログで発表しちゃうとこも

今の若者らしいとおもう。


遥があれだけ抑えてきた積年の想いをふとした拍子で語ってしまうというか

告白してしまう。

彼女がいて、

男同士の恋なんて絶対に受け入れてくれないだろうと知ってはいたのだけど・・・

告白した時点で友情という関係が終わってしまうことを期待していたのか

告白しても友情という関係性は変わらないと踏んでいたのか

もしかしたら奇跡がおこって恋がかなうことを期待したのか

そこらに対する気持ちの起点はよくわからない。


告白に対してリアクションは期待していなかった遥だけど

告白された暁行のなかでたしかになにかが伝わっていたようで

いつもと同じように時間を過ごし

心地よい友情という枠の中でいたようで

それでも気持ちだけはなにかが変わっていく

という微妙でセンシテイブな感情の変化をほんとうにうまく書いているなぁと思います。






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Lianha
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自己紹介:
「風と木の歌」に触発され
juneで開花w?
一時はこの世界から脚を洗っておりましたが
またどっぷりとつかっております


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