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Verger ―果樹園―

アタシの読んだ本(主にBl)の感想を 雑然とたらたらとつぶやいております

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幾千もの夜の秘めごと (華藤 えれな )


幾千もの夜の秘めごと (アルルノベルス) [単行本]
華藤 えれな (著)
梨 とりこ (イラスト)
 


 
 
(あらすじ)

内政不安の続く中東の産油国アムランで、王子イドリスと兄弟のように育った惺は、ある陰謀に巻き込まれ彼を傷つけたまま国を追われた。8年を経て、淡い想いすら抱いていた彼の元に護衛として招かれた惺。しかし、人が変わってしまったようなイドリスは「再会を祝い、今夜の伽を命じる」と、美しく微笑み―。熱を煽るかのように感じるところを弄られ、嬲られる。まるでプライドを傷つけて楽しむかのような彼に悔しさがこみ上げる惺だったが…。

アラブの物はにがてーーという意識があったので

これも買わずにするーしようかと思っていたんですが

つい買ってしまいました・・・(よくあること(笑)



傲慢で横暴でエロエロしい暴君攻めはきらいではありません。

今回は石油が豊富で母親違いの兄弟がたくさんいて

頼りの国王も第一王子に閉じ込められているという状態で

四面楚歌の第三王子が攻めでした。

受けは幼いころから攻めを守るために同じ場所で教育されておりました。

攻めが入浴しているときに毒蛇がいて、

攻めを守るために自ら蛇にかまれちゃうという事件をきっかけに

攻めの孤独と悲哀を知り、いつのまにか愛しあっちゃっているのです。


ある事件をきっかけとして惺(受け)はアラブの国から追放されちゃうのですが

王子様に対する愛と忠誠は変わりなく持っておりまして

いつかは王子様を守る立場になれるかもという期待を持ちながら

警備の腕を磨いておりました。

王子の養育係がお迎えに来てまた警備になれといわれて

ほいほいとついていって

王子のあまりの変容ぶりに驚きながらも淡々と仕事をこなしていっておりました。


暗殺とか、裏切りの中でついに王子様のほんとうの気持ちを知ることができ

ますます愛してしまうのですが

彼はこれから国の礎とる存在

自分のような存在が傍にいたら彼のためにはならないと身を引こうとするところは

ほんとうに切なかったです。


華藤さんのしっとりとした文章に梨さんの挿絵もよくあっていたとおもいます。

けれど、

これがアラブじゃなく・・・

日本のお話でもよかったんじゃないかなと思ってしまったのは

あたしだけでしょうか?

内政と内乱の時代の宮中で・・というのならもうちょっと萌えがあったような

そんな気がするお話でした。

アラブが苦手なだけかもしれませんが(笑)


手に入れてはないんですが、コミコミさんで購入したら王子様視点の小冊子があったそうで

本篇よりその小冊子のほうが王子様の気持ちがつたわってきていいという方もいらっしゃいました。

ああ・・・

あとから読んで手に入れれないって・・・

この悲哀をあと何度経験したらよろしいですか;;)

同人誌にいつか収録希望とお願いしちゃおうかな(笑)

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欲望と純潔のオマージュ (華藤 えれな)

欲望と純潔のオマージュ (ダリア文庫) (文庫)
 華藤 えれな (著)
三雲アズ(イラスト)


(内容)

芸術大学の職員・八幡蒼史は著名な陶芸家の母の私生児という境遇から、
目立たぬように生きてきた。
だが、チェコからの留学生で若き天才彫刻家のカレル・バロシュと恋に落ち、
新たな生き方を模索しはじめた蒼史はカレルとプラハへ行く決心をする。
だが、ある事件が起きて…。
みずから諦めたはずの恋。
しかし病に蝕まれ、先の見えない体になった蒼史は一路プラハへと―!?
 


一途ゆえの不幸が静かに降り積もっていく・・・・ そんな読後感でいっぱいです。
 
陶芸家として著名な祖父。

そしてその芸術性を引き継ぐとともにエキセントリックさも過剰なほど持て余す母
 
留学生と恋に落ち、妊娠したにもかかわらず捨てられることで

より狂気を孕んだ母より 生まれおち
 
母の心の糧となることで生きてきた青年八幡蒼史
 
母の影によりそうように生きていくことを

知らず知らずのうちに強いられてきたのだけど
 
チェコからの留学生で若き天才彫刻家のカレル・バロシュ出会とい

彼に魅かれていくことで自我に目覚め

彼とともの生きていきたいと望んだのだけれど・・・

心の病に蝕まれた母から逃げようとしたことを母に察知され

失うくらいならと殺される寸前の目にあうのだった。

別れの言葉は・・意識の失う寸前にカレルにあてた短いメールしかできなかった。

やがて祖父を失い、母の最後も看とり

ひとりになった自分にもたらされたものは・・・・すぐに手術が必要な病気だった。

手術が成功する可能性は低く

もはや成功したとしても余命がいつまでかはっきりできるものでなく

命の最後にもう一度カレルに出会いたいと望んだのだけど

カレルからは侮蔑に満ちた表情と裏切ったと思いこんでいる絶望のみしかなかった

それでもよいから少しでも彼のそばにいたくて

カレルの言うがままに過ごす毎日だけど

いままで感じられなかったほどの幸福感得られていたのだけど

病魔は静かに進行し、徐々に蒼史を追い詰めていくのです・・・



きみの手でオレを美しい亡骸にして・・・・・

なんて悲しい望みなんでしょう。

子が生きていく上で、いつかは親をも捨てて独り立ちすることとか

自我を育てることもしなかった母の愛を蔑むことは簡単にできますが

そうすることでしか愛することをできなかったというサンプルしか経験できなかった蒼史

ゆえに蒼史の人の愛し方もどこかいびつで歪んでいたのではないかと思うのです。

愛と狂気のリンクはどこまでも不幸でせつなかったです。



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アマンテ (華藤 えれな)

 

アマンテ (リンクスロマンス) (単行本)
華藤 えれな (著)
円陣闇丸(イラスト)
 
(内容)

もの狂おしいタンゴが流れる冬の夜、人生は大きく変わった―。孤児だったロベルトはマフィアのボス・ビクトルに引きとられたものの、裏社会にはいっさい関わらずに清廉な道を歩んでいた。だがある時、襲撃されて重態に陥ったビクトルの傍にいるため、ファミリーに入ることを誓う。それを知って激昂したビクトルに、愛人として扱うと宣告されたロベルト。かつて一身に注がれていた愛情が消え、冷厳な眼差しで抱かれても、歪な歓びを感じていたが…。


「サウダージ」のスピンオフ作品です。
 
相変わらず華麗で流麗な挿絵で、ためいきの連続としかいいようがない

円陣さんの挿絵と華藤さんのブエノスアイレスのマフィアたちが物悲しく生きておりました。

前作とちがって、マフィアの匂いとか、事件性は薄くて

孤児としてであったロベルトはマフィアのボスビクトルに引き取られたものの

裏社会には一切かかわることを許されなかったため、まっとうすぎる人生を歩んできました。

一緒に過ごすビクトルとの短い時間に幸福を感じてはいたものの

ビクトルのすべてにか変わることができないことに不安を感じていたロベルト

そんなロベルトの不安に付け込むかのようにビクトルが他のマフィアに襲撃され

大けがをおうことに・・・

ビクトルとともに生きてともに死ぬためにはマフィアになるしかないと決め

自ら裏社会で生きることを決意するロベルトにビクトルは激怒し愛人として扱かわれることに・・・



愛人としてでもいいビクトルのそばにいられるなら

そう思って暗い幸福に喜びを感じてはいたものの

以前のようにビクトルと家族になる幸福はとても遠いところだと知ってしまう

暗い幸福に心歪ませ、

ビクトルがファミリーとして愛している幼馴染レオンを陥れようとしてしまう

それが自分の身を滅ぼすことだとわかっていても・・・


恋する気持ちが満載のブエノスアイレスとタンゴのリズムがいっぱいです。

前作の「サウダージ」が男と男の戦いと事件と愛が絡んで波乱に富んでいたのとは

ちょっと違うのですが

こういう家族の愛と恋が絡んだお話もなかなかよかったです


円陣さんの華麗な挿絵とタンゴとマフィアを楽しみたい方かがでしょうか?


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罪深き吐息さえも愛おしく (華藤 えれな)

罪深き吐息さえも愛おしく (ダリア文庫)
華藤 えれな (著)



(内容)


発展途上国や被災地で医療活動をする蓮見祐紀は、帰国中の数ヶ月間大学病院で働くことになる。そこには「神の手を持つ男」と評判の心臓外科医・志岐栄司がいた。歓迎会の席で教授と衝突するほど金や出世に興味がなく不器用なくせに、医師としての崇高な理想を熱心に語る蓮見に志岐は苛立ちを覚える。志岐は、偽りの恋と快楽で、純粋な蓮見を篭絡して彼の志を挫き、傷つけようと企むが―。



純情な受けくん蓮見の夢や希望に満ちた生き方に憧れながらも

反発していく攻め志岐

腹黒いというか、悪辣なやり方で蓮見の夢を壊し、恋心を弄ぶのですが

その根底に「神の手を持つ男」ともてはやされながらも満足できない不安があったようです。

最後に姉に生き方を考えるようにと諭され、反発を感じながらも会いに行きたいと願うのは 蓮見のいる小さな島でした。

胸に銃弾を抱えたまま生きる蓮見

口では志岐の心を受け取れないと言い切りながらも

暴力で志岐が傷つくかもしれないときは身をもって庇おうとしてしまい

銃弾によって死ぬかもしれないというその時

志岐の腕に抱かれて死ぬならそれでいと思ってしまう切ない恋のお話でした。


医者不足であえぐ僻地の島でなんで医者が島人に暴力を受けなきゃいけないんだろうとか

小さな島で医者ふたりもやとってくれるんだろうかとか

突っ込みどころは満載でしたが、

我が身よりも恋しい人を守りたいと

恋に殉じるせつな系のお話は好きです。



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冥愛の鎖 (華藤 えれな)




冥愛の鎖 (SHYノベルズ) (新書)
華藤 えれな (著)
高階 佑 (イラスト)


(内容)

『胸にSPバッジをつけているとき、その命はこの世で最も軽くなる・・・』
警視庁警備局警護課SPの三神文弥は、来日するタハリール共和国大統領の警護にあたることになった。
その打ち合わせの場で、かつて自分を利用し裏切った男・近衛諒一郎と再会し、彼が公安幹部だったことを知る。
公安部と警備部・・・決して相容れることのない存在。
だが、その心の冥く深い闇に触れ、近衛に惹かれていく自分を止めることができなくなり・・・
追う者と追われる者、危険を孕んだ男たちの攻防が始る!!



華藤 えれなさんの作品では「フリージングアイ」とか、「花の檻」のように

日本語の美しさとか、情緒が醸し出されたものしか読んでいなかったので

この作品にはいい意味で裏切られたという感じです。

モロッコで出会った二人がお互いひきつけられ肉体を重ねるのですが

裏切りという結果で終わってしまいます。

そしてまた再会し魅かれあい愛し合い憎しみながら戦いあうというか

男同士の緊迫した愛し方がよかったです。

なんか、ちょっと英田さんの作品を読んでいるような気になったのは

挿絵さんのせいもあると思うのですが、

それくらいスリリングでせつない恋の話でした。

このかたの他の話も読んでみたいと思います。





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Lianha
性別:
女性
自己紹介:
「風と木の歌」に触発され
juneで開花w?
一時はこの世界から脚を洗っておりましたが
またどっぷりとつかっております


好きな作家さん
木原音瀬さん・可南さらささん・水原とほるさん
水壬楓子さん・ふゆの仁子さん・華籐えれなさん
剛しいらさんなどなど・・・

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