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Verger ―果樹園―

アタシの読んだ本(主にBl)の感想を 雑然とたらたらとつぶやいております

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親友の距離 (杉原理生)


親友の距離 (キャラ文庫) [文庫]
杉原理生 (著), 穂波ゆきね (イラスト)





(あらすじ)

親友だと思っていた男から突然の告白!?応えないまま忘れてくれと告げられ、そのまま距離が遠くなって6年―。大学時代の親友・七海と仕事で再会した進一。動揺する進一と裏腹に、七海は気まずい過去など忘れた様子。何の屈託もない笑顔は本心なのか…?七海との過去を思い返しては、真意が掴めず戸惑う進一。けれど二人で飲んだ夜、酔った七海が「もう失敗したくない」と呟くのを聞き…。
杉原さんらしい綺麗な文章で

切ない気持ちがぎゅうぎゅうと押し込められております。


一話目は攻めの進一視点でお話が進みます。

グループ会社にいる綺麗な男の人のことが話題に上がってきております

綺麗でホモでやたら女受けはいいのに男に対しては受けが悪いその人のことから

昔の友人の存在が頭を掠めていく。

そして予感はあたりそのひとが実は高校からの友人で過去に思いを告白されていた

七海だと気が付く。

高校大学と同じだったのに卒業を機会に疎遠になってしまったふたりは

再開して以前とかわらないかのような付き合いが再燃しているのだけれど

それはやはり以前とはちがっていて

二人の間には七海が告白したこと、

それに進一が応えることができなかった事実があって

ふたりの関係はなぜか薄氷を踏むかのごとく進んでいくのです。

会うたびにさまざまな表情を見せる七海

そのもろさが妙に気にかかる進一なのです

七海が問うのです。

「おまえと再会してから俺は上手くやれているか?」と

失敗したくないからとさりげなくつぶやく七海の気持ちを考えると

進一のようなにぶい人間は叱り付けたくなるのはあたしだけではありませんでしょう(笑)

進一がやっと七海へのじれったたいと感じていた気持ちが恋だったということに気がついても

七海は抵抗を緩めません。

ゲイになるということで進一の家族をくるしめたくはなかっただろうし

自分が恋しい人の100%でなかったとしてもかまわなくて

ただただどこまでも進一の幸福だけを考えて行動します。

もう七海がほんとうにいじらしくって可愛くってすごくいいです!

拍手[4回]

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ハニーデイズ (杉原 理生)


ハニーデイズ (幻冬舎ルチル文庫) [文庫]
杉原 理生 (著)
青石 ももこ (イラスト)




(あらすじ)

国巳は、自宅の離れに下宿している12歳年上の諒一郎のことが大好き。
しかし、小学生のときに、兄のように慕っていた諒一郎の同性の恋人とのキスシーンを見て、自分の「好き」が恋愛感情だと気づいてしまう。国巳は自分の気持ちを諒一郎に告げるが、弟としかみてもらえない。それでも諦められず、高校生になってもずっとずっと好きでいるが―。


年の差もののお話です。

年季の入った恋のお話ですよ。
 
なんせ小学生のころから甘い想いをたくさんくれた自分家の離れに下宿していた

12歳年上の人(男)

兄のように慕っていると自分でも思っていたのだけれど

その諒一郎が同性の恋人とキスするシーンを偶然見てしまい

好きで好きで好きでの気持ちにあふれかえってしまって

告白したけれど見事に玉砕・・・・

それからも好きな気持ちはたくさんあって

何度もアプローチしているけれど、その思いが平然とかわされてばかりで・・・

想いを胸一杯に暴走できる国巳の純真な想いにすごく共感できたお話でした。

これだけの思いを知っているくせに

返したくてたまらないほどの好きの気持ちを持っているくせに頑なに想いを口にしない諒一郎が

ちょっとじれったく感じましたが

12歳も年上で、しかも同性で、下宿していた大家さんの小さな大事な子となれば

おおっぴらに気持ちを出すわけにもいかない大人の分別があって当然なんですけどね・・・


大人の分別なんてものがあるから人間って簡単に幸せになれないんじゃないかな・・

などと呟いておきますね(笑)


個人的には諒一郎の昔の恋人であった立花の存在がすごく気になります。

人に対して自分のいやな面を見せるのが得意で

傷つけるのは得意でも、傷つけられることに弱くて

そういう自分の脆弱さを知ってて逆手にとって皮肉に生きている彼

諒一郎との恋を自分の手で踏みにじってしまった結果になってしまったことに後悔はないのだけれど

まだ心のどこかで諒一郎が好きで好きで好きでしょうがないひとです。

これど、諒一郎を誰よりも理解していた人なので

諒一郎がほんとうは誰を心の中で思っていたのか知ってて

それを許せなかったんじゃないかなと思います。

同人誌でもいいので、彼の救済の恋のお話を与えてほしいです~



拍手[4回]

羊とオオカミの理由 (杉原 理生)

羊とオオカミの理由 (幻冬舎ルチル文庫) (文庫)
杉原 理生 (著)
竹美家 らら (イラスト)




(あらすじ)

玩具メーカーに勤める久遠章彦は「王子」と呼ばれるほどの美形なのに、自他共に認める極度のブラコン。弟・太一を中心に世界が回っているため、恋人もできないありさま。ある日、困っている友人をしばらく泊めてやってほしいという愛する弟からの頼みを断ることなどできず、その友人・高林亮介を居候させることにした章彦だが、やがて高林の妙な視線に気づき―。





ホームラブコメデイと杉原さんがなかなかイコールにならないで

感想が書けずに熟成させておりました。

ようやく時間がとれて丁寧に読み直してみたところ

さすがは杉原さんとでもいいましょうか

テンポのいい会話と、

ちょっと変な・・・それでいてかわいらしい大人たちとと

可愛いお子様の出現にすごく心が癒されました。



お話は玩具メーカーに勤める章彦が心から愛している義理の弟が

ある日居候を連れてきたところから始まります。

弟をひじょーに愛している章彦にとってその居候が目障りで邪魔です(笑)

けれどふとしたことがきっかけで

その居候君(高林)がゲイであることをしり

もしかしたら愛する小さな弟がその毒牙にかかるんじゃないかという

非常にまったくもって全然ありえないだろうという妄想に駆られた章彦は

弟の身代わりになって高林に口説かれて

隙をみせたらキスされる毎日が続きます。



高校のころに友人だと思っていた男に無理やりキスされて

あまつにはその現場を弟に見られた過去がある章彦ですが

不思議と高林にそうされることに不快感を覚えません。

いつのまにか高林に魅かれていっていく自分になんかとまどいを感じている

章彦が不思議系で可愛かったです(笑)


リアルでこんなに綺麗で不思議系の男の子がいたら

襲っちゃうかもしれません(笑)


設定自体はどこかで読んだ感じという感覚でしたが

会話のテンポと言い

感情の細やかな表現と言い杉原さんらしい雰囲気がすごくよかったです。


竹美家さんのかわいらしい挿絵もこのお話の雰囲気とすごくあっていて

よかったです。

絵の色調が水彩画のようで綺麗です。


可愛い雰囲気でいて、

それでいて筋肉とか骨格なんかきちんと書いていくれるので

このお話とベストマッチでした。


癒されたい方いかがでしょうか?


ちなみに帯には・・・


あんた、ほんとに

かわいいひとだね。

ちょっと変だけど。



と書かれておりました(笑)



拍手[2回]

音無き世界 (杉原 理生 )

音無き世界 (SHYノベルス) (新書)
杉原 理生 (著)
宝井 理人 (イラスト)

(あらすじ)

「―妬いてるの?」フリーの映画ライターとして活躍している水原英之は、ある日、かつてひと月だけ一緒に暮らした笹塚遼と再会する。十年前、無口な子どもだった遼は、その頃の面影を残しながらも、印象的な青年へと変貌していた。けれど、遼は子どもの頃の経験から、誰も好きにならないと決めていた。でも、それでも遼は英之に惹かれていく。英之もまた遼にやましい思いを抱いていて…ひそかに、熱く、恋は生まれてくる―。




いまさらレビューの意味なんてないとは思いますけど

とりあえずは自分の備忘録を兼ねているからと開き直っています(笑)




父親に見捨てられた過去を持つ小さな少年が

幼い時の一ヶ月間を過ごした青年と恋に落ちるお話です。

幼い時に自分の心の傷をさらけ出されることを恐れるあまり

言葉を発することのなかった小さな男の子

その子が言葉を取り戻していくために青年であった男の子は非常に心を砕きます。

その過去があったからこそ

再び出会ったもと少年と青年は心を結び体を結んでいくんですが

生きることに不器用なもと少年は恋にも不器用で

過去の父親による心の傷が原因で自分が生きていることにどこか引け目を感じています。

けれど元青年と出会い、

恋して、愛されて、人間としても成長を重ねて

幸福をつかんでいく過程がとても繊細な文章でデリケートに描かれております。

杉原さんの静謐な文章の影に見え隠れするこのふたりの執着が

とても好きなんだなあと思います。


すこうし残念なのは挿絵がお話のイメージと違うことです。

漫画的な挿絵を描かれる宝井 理人さんではなく

もうすこし幻想的な感じで描かれる方ならよかったんじゃないかなと

思います。

BLって挿絵効果すごく大切なんです~。

とわがままいっていいですか(笑)?








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夏服 (杉原 理生)


夏服 (幻冬舎ルチル文庫) (文庫)
杉原 理生 (著)
テクノサマタ (イラスト)


(内容)

高校1年生の茅原は、毎日朝食を買うコンビニで見かける先輩・坂江のことが気になっていた。やがて、坂江の大人びた外見とは違う意外な一面を知るたびに、どんどん彼を好きになっている自分に気づいた茅原は…。出会い、初めての恋、先輩の卒業、そして数年後のふたり―。甘くやさしく、そして切ない。恋する気持ちを丁寧に描いた、珠玉のラブストーリー。





寒さにうちふるえながらこの感想を書いております(笑)。

ちょっと時期外れなこの小説でしたが

杉原さんにはめずらしく饒舌な受けが、会話を楽しみながら

恋を楽しみながら

ふたりの生活をいきいきと活動しております。

夏のワイシャツのあの洗いたての香りがするような本でした。

まかりまちがっても、汗と体臭の講堂を思い浮かべちゃいけません(笑)。

あくまでも、爽やかに、清潔感たっぷりなお話ですからね。(笑)


お話は大学生で就職活動中の茅原が

うまくいかない就活にちょっと嫌気がさしていて

すでにその波を乗り越えて就職し落ち着いている先輩坂江に

やきもち半分

やつあたり半分で苛立ちをぶつけてしまうところから始まります。

高校の時の2年の年の差は大きかったと思うのですけど

大学生と社会人としての差も大きかったようで

なんとなく甘えて八つ当たりしちゃうところが、可愛かったです。

一緒に暮らしていて、慣れているつもりでも

お互いの感情のすれ違いはいっぱいあって

せれを大人びた態度で受け止めているかのような坂江も

いろいろがんばっている姿は好感がもてました。

ふたりでいることが大切だときちんと認識して努力しているふたりが

表紙のイラストのように自然体で

読んでいてほわわんと幸福になれるお話でした。

杉原さんの小説ではあたしの持っているイメージでは

ウジウジと悩んだ挙句、

攻めにすべてをまかしきるというイメージがあったのですが

こういうポンポンとはじけたようにしゃべってくれるのも

新鮮でよかったですし、とても好感がもてました。

青春の甘酸っぱい思い出を心の中で反復されたいかたいかがでしょうか?

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プロフィール

HN:
Lianha
性別:
女性
自己紹介:
「風と木の歌」に触発され
juneで開花w?
一時はこの世界から脚を洗っておりましたが
またどっぷりとつかっております


好きな作家さん
木原音瀬さん・可南さらささん・水原とほるさん
水壬楓子さん・ふゆの仁子さん・華籐えれなさん
剛しいらさんなどなど・・・

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