夏服 (幻冬舎ルチル文庫) (文庫)
杉原 理生 (著)
テクノサマタ (イラスト)
(内容)
高校1年生の茅原は、毎日朝食を買うコンビニで見かける先輩・坂江のことが気になっていた。やがて、坂江の大人びた外見とは違う意外な一面を知るたびに、どんどん彼を好きになっている自分に気づいた茅原は…。出会い、初めての恋、先輩の卒業、そして数年後のふたり―。甘くやさしく、そして切ない。恋する気持ちを丁寧に描いた、珠玉のラブストーリー。
寒さにうちふるえながらこの感想を書いております(笑)。
ちょっと時期外れなこの小説でしたが
杉原さんにはめずらしく饒舌な受けが、会話を楽しみながら
恋を楽しみながら
ふたりの生活をいきいきと活動しております。
夏のワイシャツのあの洗いたての香りがするような本でした。
まかりまちがっても、汗と体臭の講堂を思い浮かべちゃいけません(笑)。
あくまでも、爽やかに、清潔感たっぷりなお話ですからね。(笑)
お話は大学生で就職活動中の茅原が
うまくいかない就活にちょっと嫌気がさしていて
すでにその波を乗り越えて就職し落ち着いている先輩坂江に
やきもち半分
やつあたり半分で苛立ちをぶつけてしまうところから始まります。
高校の時の2年の年の差は大きかったと思うのですけど
大学生と社会人としての差も大きかったようで
なんとなく甘えて八つ当たりしちゃうところが、可愛かったです。
一緒に暮らしていて、慣れているつもりでも
お互いの感情のすれ違いはいっぱいあって
せれを大人びた態度で受け止めているかのような坂江も
いろいろがんばっている姿は好感がもてました。
ふたりでいることが大切だときちんと認識して努力しているふたりが
表紙のイラストのように自然体で
読んでいてほわわんと幸福になれるお話でした。
杉原さんの小説ではあたしの持っているイメージでは
ウジウジと悩んだ挙句、
攻めにすべてをまかしきるというイメージがあったのですが
こういうポンポンとはじけたようにしゃべってくれるのも
新鮮でよかったですし、とても好感がもてました。
青春の甘酸っぱい思い出を心の中で反復されたいかたいかがでしょうか?
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