ruin―緑の日々 (リンクスロマンス) (単行本)
六青 みつみ (著)
金ひかる(イラスト)
(内容)
親友への報われない恋の辛さ、そして政敵から受けた手酷い暴行により、心身ともに深い傷を負ったカレスは、隻眼の公爵ガルドランに連れられて、森の都ルドワイヤにやってくる。公爵の深い愛情に包まれたカレスは、傷の癒えとともに、自らの中に確かに存在するガルドランへの想いを自覚していた。彼の立場を慮り、想いを告げることをためらうカレスだったが、ガルドランに結婚の話が持ち上がっていることを知らされ…。『光の螺旋』シリーズ第四弾。
待ち焦がれていた作品をやっと読むことができました。
光の螺旋シリーズ第四弾ということになっていますが
第一弾と第二弾は同じ世界観ということですが、この作品だけ読んでも
まったく支障がないと思われるのですが
文中に皇国の王子が誘拐され行方不明になっていたのですが
とうとう発見されたそうですが、大きな穢れを背負わされており・・・
とあるので、もしかしたら次の作品当たりでは関連性が出てくるかもしれませんね。
前作「
ruin-傷」では心の底から幼馴染に愛されることを望んではいたけれど
愛する幼馴染は兄弟というか、家族の情愛しか持ちず
別の恋人を手に入れてしまった。
その恋人が妬ましくて・うらやましくてつい彼を傷つけてしまう
そのことによって自分をもより傷つけてしまうカレスの痛みというのがせつなかったです。
今回はそのカレスの救済物語として楽しく読めることができました。
人を傷つけた以上の力で自分自身をも傷つけたカレスの心は
儚くも壊れました。
ガルドランから幼子のように守られ、愛され
心の底から安心して生きていくことを知っていきます。
そして、自分の心の中に、自分が思うより強くガルドランを愛していることに
気が付いてゆくのです。
愛の存在に気がついたときには、もとの自制心の強いカレスに戻ってしまっているので
ガルドランの公爵としての役割に自らの存在が汚点となりかねないことに気が付き
心のままに愛を告白することはできません。
六青さんいわく、甘甘のお話ということでしたが
甘い場面もありますが、心の切なさは他のお話と変わりがないような気がします。
そうしたなかでガルドランが事故に巻き込まれ行方不明になるわ
ようやく見つけることができたけれど半死半生のめにあっていますし
心配でたまらないカレスでしたが
ガルドランの母により見舞いさえできない状況に追い込まれ・・・
ガルドランがやっと動ける状態になり、
愛を確認することができたふたりになりました。
どうかこのふたりの幸福がいつまでも続きますようにと祈りたいです。
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