征服者は貴公子に跪く (新書館ディアプラス文庫 219) (文庫)
いつき 朔夜 (著)
金ひかる(イラスト)

(内容)
両親、そして財産を失い、先祖代々の居城を手放すことになったパウル。ところが契約書にサインを済ませたとき、売却先である日本のホテルチェーンから来た牟田は、かすかな笑みを浮かべて告げたのだ。「あなたも込みで買ったのですよ」と。男の倣岸さに最初は反発を覚えたものの、無表情ながら冷血漢ではない牟田と徐々に心の距離が近づいてゆき…?日本人ホテル王×ドイツ青年貴族でおくる、古城の恋物語
とうとうあの本がでないまま、この作品がでちゃったんですね・・・
でも、ひさびさにいつきさんらしい作品が読めてたのしかったです。
両親を飛行機事故で失い、そして今また先祖代々の財産でもあるべき土地や城までもなくしてしまう。
自分から見たら簒奪者にも近い存在が日本のホテルチェーンから来た男牟田
最初は習慣や価値観の違いとかも大きかったせいか、反発の毎日であったのだけど
ささいなことから無表情ではあるけれど冷血漢ではない牟田にだんだん魅かれていくようになるパウルでした。
世間知らずでいたために叔父に財産のすべてどころか借金まで背負わされて
それでいて領主たるべき自尊心と優しさのたっぷりあるパウル
お金はあれども、父と母の愛情のない生活のなかで、愛情というものを知らずに育った牟田
ふたりがふたりでいてお互いに足りない部分を補い合い助け合い、
そして成長していくというか
満たされることを知っていく場面の数々は読んでいてあたしまで幸福な気持ちになれました。
簒奪者からパートナーになり
そしてついには王子を守る騎士になるまでが丁寧に描かれております。
そういうところはデビュー作の「
コンテニュー」と雰囲気が似ていましたような気がします。
コンテニューに魅かれたみなさん、同じようでいて、ドイツのおとぎの国のお城や王子様堪能なさりたいかた
いかがでしょうか(笑)?
[1回]
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