この血の果てに (幻冬舎ルチル文庫 つ 1-4) (文庫)
月上 ひなこ (著)
奈良 千春 (著)
(内容)
大学生の木下葉月は、アパートの火事で家をなくし、頼った友人宅にもいられず一夜を外で明かす。風邪で倒れた葉月を看病してくれたのは、日本画家・一ノ瀬蒼。蒼の家に居候することになった葉月に、蒼は絵のモデルを頼む。やがて蒼は葉月に執着し始め、葉月も蒼を受け入れ関係を持つ。しばらくは蜜月が続いたが、急に蒼が葉月を突き放し…。
花丸文庫の月上さんを想像して読んだらひっくり変えるんじゃないと
思われるくらいイメージがちゃいます
普段ならたぶん買わない作家さんなんですが
奈良さんの挿絵と帯の
「だったら一緒に地獄に落ちるか」に心誘われて買っちゃいました(笑)
「花がふってくる」にいとこ同士は蜜の味とかかれていましたが
果たして父親と息子なら何の禁断の味なんでしょうか・・
まさか息子で試すわけにもいきませんが(笑)
母親から息が詰まりそうな執着と拘束をうけて育った葉月は
大学進学ともの上京してきますが、突然のアパートの火事と
親しいと信じていた友人から襲われそうになり必死になってにげたところを
日本画家の一ノ瀬蒼に拾われます
不思議な色香をもつ彼に心引かれながらモデルの仕事をしていくことで
二人は体だけでなく心も通じ合っていき
蜜月のような時間をすごすのですが、葉月の生い立ちをしってしまった
蒼は急に冷たくなり、葉月を突き放そうとするのです
実は葉月を捨てたというか、
葉月を妊娠したことをしった蒼は自分の血が残ることを恐れて
葉月の母親を蹴り飛ばして消えうせていた男だったのです・・・
蒼は自分も兄妹相姦によって生まれた存在であったし
心から惹かれた従姉妹と兄弟であったことに絶望したまま体だけのふれあいの関係を続けながら絵を描いていたのでしたが
葉月と知り合い触れることでようやくその呪縛から逃れるとおもっていたやさきの
親子であったという事実は重くのしかかり
葉月を突き放そうとするのですが、どうしても離すことも、離れることもできないまま
二人は二人だけの世界で生きていこうとするのです・・・・
最後の一文
この狂った血は、蒼と一緒に朽ちていくのだから。がやけに印象的な小説でした
[0回]
PR