吸血鬼と愉快な仲間たち Vol.5 (Holly NOVELS) [新書]
木原 音瀬 (著), 下村 富美 (イラスト)
吸血鬼と愉快な仲間たち Vol.5 (Holly NOVELS)
(あらすじ)
暁にアメリカに置いていかれたアルは、蝙蝠に変化するため一人では日本に帰れない。
キエフに冷凍蝙蝠にして送ってくれるよう頼むが、「暁は受け取らない」と断られてしまう。
悲しみに暮れながら、アルは暁の友人パットのエンバーミング施設を手伝い、
暮らしはじめる。
キエフとの同居にも慣れてきた頃、一人の男がアルを訪ねてきて…。
長編番外編を同時収録。高塚暁の過去が明らかに。
待望の一冊とでもいいましょうか・・
一人の女性の死と共におきた数々の事件も解明されました。
そのために負った傷は大きかったです。
死にそうになったアルの命を助けるために血を提供するキエフ
現存の吸血鬼であるキエフの血を吸ったおかげで
本物の吸血鬼マイナス10%程度になったアル(笑)
いまはもう二時間程度蝙蝠になる程度で毎日が過ごせます。
暁に置いていかれ、スタンに襲われ死に掛けて、
家が火事になるというさまざまな出来事を経て
さまざまな人たちに助けられ助けアルもようやく成長できたようです。
今まで暁のもとに帰ることに強固に反対するだけだったキエフも
ようやくアルが日本に暁のもとに帰ることに協力&同行してくれるようにまでなりました。
今までは暁の思いを声高々に叫ぶばかりであったアルですが
今回は暁が受け入れてくれるまでがんばる!
でももしそれでも暁の心がとけなかったらそれはそれでしょうがない。
自分の望むような愛情が帰ってこなくても
不器用で優しい彼のそばにいたいと願えるようになったのです。
いえいえ
そんなふうに思わなくても
用事がないのにパットにメールしてはアルのことを尋ねたりしてくれるんですもの
心配はないんじゃない?と声をかけてあげたいのだけど
それ以降は次まで待て!でした・・・
ええ・・待ちますとも(笑)
番外編として載せられていた暁の過去がもう凄く重くて悲しかったです。
人を信じたかった暁の柔らかい純真な心をなぜ人はこうも簡単に
裏切りを見せ付けることができるのでしょうか。
それでいながらも暁の心の奥にしまってある信じたい心を
アルが見つけてしまったから 暁はアルを手放す決心をつけたのではないでしょうか。
人は誰しも孤独のままには生きていけない
孤高で生きようとすればするほど苦しみや喪失感が大きい・・
誰よりもそのことを知っているからアルを仲間が多く
理解者の多い土地に送り込み、生きていく方法を手伝い
アルが生きやすくするために心砕いたんじゃないでしょうか?
そして自ら封印していたものを思い出し整理して見つめなおすことで
暁自身も一歩成長しようというか内部で変化が起きているような気がするのですけど~
重い内容でしたが
読み応えのある満足な一冊でした。
でも・・もうちょっと早めに今度は続きが読みたいのですがと呟かせてください(笑)
[2回]
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