積木の恋 (プラチナ文庫) [文庫]
凪良 ゆう (著), 朝南 かつみ (イラスト)
積木の恋 (プラチナ文庫)
(あらすじ)
これが「好き」という気持ちだろうか──
恵まれない生い立ちから恋愛詐欺師となった蓮は、恵まれすぎている男たちの金を巻き上げることに、なんの罪悪感もなかった。次のカモにと狙ったのは、総合病院の長男である医者の加賀谷。呆気なく騙され蓮に夢中になる加賀谷を、内心馬鹿にしていた。なのに──生真面目で真摯な愛情、穏やかな逢瀬。加賀谷と過ごす優しい時間に、知ることのなかった感情が湧き起こるが……。
小説「花丸」で掲載されたときは「恋愛詐欺師」という題名だったそうですが
よくある題名ということで改題されて発売されたこの文庫
雑誌掲載作はまさにあらすじどおりのパターン化された内容です 。
白い凪良さんらしい良いお話でした。
恵まれない生い立ちゆえゆえに愛されないことに慣れきって
孤独に生きる青年蓮(れん)が選んだ道は
自分の容姿に魅かれてくる男達を騙して生きていくこと。
彼の望みは田舎の小さな家を買って犬と暮らすこと
純真であるがゆえに堕ちていくことを選んだ青年の今度のターゲットは
鷹揚でお金持ちの医師加賀谷でした。
偽の恋愛で騙してお金をむしりとってやるそう思っていたはずなのに
無口で人なれしていない生真面目な加賀屋との逢瀬の時間のたびにどんどんと癒されていく
逆に加賀屋に惹かれていることに気が付いた蓮に手痛いしっぺ返しが・・
蓮に似た容貌をもつ加賀屋の後輩の写真をみてしまい
加賀屋もまたこの後輩の身代わりに自分をしていたと気が付くのでした。
やっぱり幸福は自分お手の中にいつかない・・
そんな蓮に過去の騙された男達が告訴したため警察に囚われることになり
刑務所に服役するのです。
やがて出所した蓮に初めて声をかけた人は・・・
悲しみが白い雪のように積もっていく・・・
そんな静かで暖かいお話です。
生きていくために人はやっぱり支えられたり、愛されたり、必要とされることが
とっても重要なのだと再認識させられました。
書き下ろしの作品は2つ
出所した連に世間の風当たりはきつくなかなか思うようにはいきません。
人とのかかわりがうまくいかない場合もありますし・・・苦い結末で終わる場合もあります。
それでも加賀屋と暮らすだけで幸福なのですが
やはり過去に愛された経験の薄い蓮にはこの幸福が長く続くような気がしません。
いつかは壊れてしまうかもしれない・・
そのときにできるだけ自らが負う傷とか痛みのことを考えて生きてしまう習性をぬぐえません。
そんな蓮に加賀屋は壁を感じてしまいます。
ある事件とかカップルに遭遇しその出来事を経て
少しづつですが蓮も思いを加賀屋に打ち明けていけれるようになります。
題名にあるように幸福な日々をすこしづつ確実に積み上げていってもらいたいです。
積み木が簡単に壊れないように瞬間接着剤でくっつけていくのはどうでしょうか(笑)?
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