未熟な誘惑 (ディアプラス文庫)
渡海 奈穂 (著)
二宮 悦巳 (イラスト)
(内容)
家電量販店に勤める小川は、家族に虐げられてきた影響で超ネガティブ思考。ある日、本社からやってきた専務・志木に、閉店後の売り場で男といちゃついている場面を目撃され咎められる。人を人とも思わないその様子は大嫌いな義兄にそっくり。不満が溜まって振り切れた小川は仕返しを決意する。だが突然性器を銜えられた志木の反応は意外なもので ・・・!?オレ様な志木と自分に自信の持てない小川の恋とお仕事事情v
家電店に勤める小川は権力志向の義理の父親に虐げられてきた。
またその父親の影響か義理の兄となる存在も言葉と体で小川を虐げてきて
虐げられることで生き方も生活も自ら狭めてきて
息苦しいほどの生き方をしているのですけど
悲しいことにそういう生き方を強いられることに自分が悪いせい
そう思いこまされ抵抗することも思いつきません
仕事場でも、つい人の顔色を見てしまうがゆえに
ついおどおどとしてしまう傾向があり、
人に侮られたまま生きることがあたりまえのように思い込んでいます。
その小川を変えた存在は本社からやってきた専務の志木です。
横暴で傲慢で態度がでかい彼に
最初は兄の面影のようなようなものを感じて
腰が引けたまま対応しておりましたが
あるひ、そういう志木にぷつんと切れた小川は仕返しを決意するのです。
実は志木のも小川と同じように幼いころの性的な暴力がもとで
人とふれあうことが怖く感じるようになっており
そうした自分を克服するために柔道を習い
自分を変えるために努力した存在であったのです。
志木は小川の過去をしり、
そのままいじけたように生きていて、
それでも頑張って生きていこうとする小川に魅かれていき
肉体関係をもつのです。
守ることはたやすいけれど
守られるだけでは小川のためにはならないと
助けの手は小さくても、心の大きなささえになることを志木は選びます
志木に支えられるだけではなく
ともに成長していく二人のお話だと思いました。
過去は乗り越えられるんだよと
優しくともに生きていくふたりがさわやかな読後感でした。
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