花色―君をこそ、想ひ初めしか (リンクスロマンス) (単行本)
栗城 偲 (著)
佐々木 久美子 (イラスト)
(内容)
男の身でありながらある事情で、密かに亡くなった母・小野小町の身代わりとして生きる小町。ある日、暴漢に襲われた小町は、危いところを精悍な面持ちの公達・深草少将に助けられる。男であることが露見してしまうが、深草少将は秘密を共有し、自由のない小町にさまざまな遊びを教えてくれた。不器用ながらも優しく、唯一小町を男として扱ってくれる深草少将とともに過ごす時間に安らぎを感じていたが、突然くちづけられ …。
歴史ものが、特に平安の物語が好きなので購入
一度は読んだのだけれど、“小町”という存在の意味がよくわからなくて感想は放置のままでした。
小野小町という巫女がいて、
ふとした行事で帝に見初められ子までも成すのだけれど
自分の出自が巫女なので、
子供は親王としての出自ををあきらかにせず我が身の身代り?として続くべき存在として育てる。
藤原氏の権力が異様に強かった時代でしたので
おそらく親王として育ったとしても殺されるか、
まったく存在を無視されるかのようにしか生きることはできなかったでしょうが
代々続いているわけでもない“小町”として育てる必要性が全然感じられない・・・
逆に巫女としての神格性を高めるのなら、
他の血のつながりのある女の子に“小町”として存続させるんじゃないかなぁ。
などということは考えずに読んだら面白いお話ですよ♪
男の子としての小町はすごく可愛いので、帝はもとより兄の東宮まで猫可愛がりしております。
出自も秘密も明らかにはしたくないためにできるだけ存在を外に出したくはないのに
でも可愛いからおそばによんで舞を舞わせたり、
歌を詠ませたりしたくなる気持ちがよくわかります。
恋のお相手の深草少将もなかなかいい存在です。
すこうし小町より年齢が上なので大人ぶって小町を守りたくて
でも若さゆえの暴走で勘違いで嫉妬して小町を無理やり強姦しちゃったり・・・
まったくもっていいとこが書けていないような・・・
それでも購いのために百日小町のもとを訪れるその情熱と真摯な気持ちは
小町を守りたいと思っていた周囲の人たちの気持ちまで揺り動かします。
最後の百日目に落馬して風邪をひいてかわいそうな少将でしたが
可愛い恋が実ってよかったと思えました。
あー
でもその暴走が原因で小町に恐怖感を与えちゃったので
一年間のお預けをくっちゃったのはすごく可哀そうだと思ったのですけど
まぁ身から出たさびとでもいいましょうか(笑)
これがデビュー作ということなんで、これからが楽しみです。
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