恋について (プラザCOMIX Hollyシリーズ)
大竹 とも (著)
木原音瀬(原作)
(内容)
ブライダルコーディネーターの朝霞武史(あさかたけし)は、初めて結婚式を担当したお客様、笹川吉郎(ささがわよしろう)と一年ぶりに再会した。朝霞のミスを笑って許してくれた、矢咲く敷く、互いを慈しみ合っていた笹川夫婦は、朝霞にとって理想の夫婦だった。再会をきっかけに、笹川と居酒屋で顔を合わせるようになった朝霞は、黙って話を聞いてくれる穏やかな男と過ごす時間が好きになった。そんなある日、泥酔した笹川を送っていったマンションの部屋で朝霞が見たものは…。
大人の恋の切ないラブストーリー。ergo掲載原稿に大幅改稿+ラブラブ描き下ろし収録。
収録作品は、「ergo」1~5に掲載された「恋について 1&2」+書き下ろしショート2編「暗い帰り道」「台風一過」。
挿絵で拝見していたかたですし、
雑誌で掲載されていた時も木原さんの原作のイメージを損なうことなく
うまくまとめていたなあと思っていた記憶があります。
あたしはもともとが小説の心情をたっぷりと書いていてくれるほうが 好きなので
ちょっとマンガになると、
しかも単行本一冊程度にめとめるとなると ものたりない感はいなめませんが
木原さんの世界観を不特定多数の方にしってもらう 入門書には最適なんではないでしょうか。
好きだというだけでレズビアンの方と偽装結婚した笹川
恋しているというだけで、
もしかしたら幸せになれるかもと思いこんだんでしょうね
その思いが報われることはなかったし
自分がこんなに痛手を負うことも想像もついていなかったんでしょうね。
恋の残酷さについて十分痛い目にあっているからこそ
朝霞と恋していたときも
キスはよくても体はいやなんだと誤解した時も 諦めようとして・・・
でも、せめて友人としてのポジションは手放したくないと思い込んで
自分は女の人とつきあっているから
これは恋じゃないからと言いはって
朝霞との縁を切りたくないとあがいたんでしょうねえ 。
人間って弱くて愚かな生き物だから
恋で痛手を負ってしまったことをなかなか忘れることができなくて
でも、そのときに恋していたときめきも忘れることができないから
あほな行動をとってしまうしょうもない生き物なんだということでしょうか(笑)
優しくて不器用で、でも思い込んだら突っ走ってしまう優柔不断な男
そんなひとだからこそ愛した朝霞の優しい強さも印象的でしたが
今回漫画では不思議と存在感が強かったのは
朝霞の勤める会社でゲイ婚をすることになった池上さんでした。
朝霞が待つ時間の重荷に耐えきれなくなりそうなくらい疲れているときに
居酒屋であった彼
普段だったら自分が男とつきあっていることなんか絶対に口にはしないんでしょうけど
酒のせいか、または池上という存在のせいか
男とつきあっていて、それが泥沼である状態であることを告白しています。
弱り切っている朝霞に池上はやさしい
なにもできないけれど話だけはいつでも聞くからと語りかける。
池上もまたゲイ婚できるほどの彼と出会うに至るまでの恋で傷ついた経験があるのかもしれなし
今回ゲイ婚することで周囲の思惑に痛みきっていたのかもしれない
その痛みをかかえてなおともに生きる存在に出会えたからこその優しさなのかもしれないと思いました。
人はけっして一人で生きていくことはできなし
恋のあまやかさのうらには様々な痛みとか傷を抱えていきていくしかできないから
でもだからこそ人にやさしくできることが大切なんだな・・・・
とちょっとしみじみとしたお話です(笑)
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