この本で初めて沙野 風結子さんを読みまして一気に好きになったあたしです
沙野 ファンと言い切るほどには読み込んでいないですし
数も読んでおりませんが、この作品は本当に好きでしたので
リンクスさんから続編が出ると聞いた時は心弾んだ記憶があります
好きな作品ほど入れ込んでしまうというか、想いがつくので
冷静な感想を書けないし
心の片隅に置いときたいと思うものですけど
これはぜひ楽しみを共有していただきたいです(笑)
蛇淫の血 (f‐ラピス文庫) (文庫)
沙野 風結子 (著)
奈良 千春 (著)
(内容)
「お前は俺に与えられた玩具だ」凪斗を平穏な大学生活から引きずり出し、監禁した男は言い放った。その男・角能は、岐柳組組長の隠し子である凪斗が跡継ぎ候補になったこと、凪斗のボディガードを自分が務めることを告げてきた。だが、冷めた目、嬲るような扱いは、凪斗を護る者のものとは思えない。そして凪斗は催淫剤のせいで浅ましく角能を求めてしまう。弄ばれるたび、凪斗は屈しまいとしていた心が壊されていくのを感じる。
普通の美大生であった凪斗でしたが、
実の父である岐柳組組長によって、次期組長となるように仕向けられるのです
自分の心の二律背反した思いを絵を描くことによって、昇華し
普通に平穏に生きるように母に刷り込まれていた凪斗にとって、
信じられないような出来事が次々と起こっていき
やがて、その内面に隠されていた 蛇 としての本性を表面化していくのです
やくざの組長として生きてきた岐柳の心を揺るがせた、凪斗の母は
別れてくれなければ腹の子とともに死ぬと脅かし、ひとりで凪斗を育てていくのです
心穏やかで凪のない平安な生活をとわが子に臨みたかったという思いはあるでしょうが
自分が岐柳にとって、愛されてはいても2番目でしかないという事実が許せなかったのではないでしょうか?
その彼女の想いを汲み取り、母子ともに穏やかな日常を過ごせるように
見守ってきた組長(親蛇さん)ですが
凪斗の絵の見るにつけ、次期跡取りと目につけ、その教育係として角能を送り込んできます
乱暴なやり方で凪斗を変えて教育していこうとした生活の中で
恋を見つけて静かに激しく思いを募らせていく凪斗です
その心の変遷は本当にせつなくてよかったです
最後に兄の策略で貶められようとしたその時に
子蛇(凪斗)は本性をさらけ出していきます
「父さん」
「俺は岐柳組四代目になります」
「だから、俺に角能さんをください」やくざの世界を垣間見つつ、自分に秘められた内面を暴かれる痛みを堪能しつつ
過去の傷に心囚われている男を取り込んでいきたいと思える方いかがでしょうか?
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