寄せては返す波のように (ガッシュ文庫) (文庫)
六青 みつみ (著)
(内容)
“エリィは、おれの好きな人。でもエリィが好きなのは別の人。おれは身代わり”記憶障害を持つルースは、忘れないようにそれを手帳に記した。研究所所長のエリィにとって、一時間程度しか記憶が保てないルースは、都合の良い存在なのだ。だからエリィは、去った養い子に似た容姿のルースを気まぐれに所長室に呼びつけ、身代わりに抱く。一方的で身勝手だけど、あなたが好き―。切なくも愛おしい恋物語。
ほんとうは、ファンタジー系はあまり得意ではなかったというか 積極的に避けていました。
コミケとかでも六青さんが絶賛されているのは知っておりましたが
ファンタジーにまで首を突っ込んだらとめどがなくなりそうな気がしておりましたので
できたら手をそ染めないままで・・とおりましたが
リンクスで金ひかるさん挿絵の「
ruin-傷」に一目でやられてしまい
いま買えそうな同人誌まで集めてしまいました・・・
ほんとうに人間の欲望ってこわいなぁと思うのはこんなときです(笑)
不思議なんですけど、このかたの現代ものは何冊か集めていましたが
ファンタジーものほどは心ひかれませんでした。
ファンタジーの壮大な世界観を作りながら
お話をつくっていくほうがこのかたには合っているのかも
長い前置きになりましたが本篇感想です。
前作「
蒼い海に秘めた恋」で可哀そうな役どころのまま終えた
エリイの救済物語としてだされた同人誌「寄せては返す波のように」を何倍にも膨らまして
なおかつ書き下ろし作品までつけてくださっていますので読み応えがありました。
お話は可愛い養い子であり、
研究材料でもあったショアをほんとうに失ってしまったエリイが
偶然そのショアににた少年ルースに出会うことから始まります。
ルースは15歳の時に事故にあい、記憶障害をもっています。
記憶を一時間程度しか持てないショアを知り、ここの機密事項などをしられないためにも、
エリイの秘密を他者に洩らされないことにも便利だと感じて
研究所の所長という特権をいかしさいさい仕事中のルースを呼び出し、
「ショア」と呼び身代わりのルースに優しくすることで心癒されます。
記憶を保つ時間が短いルーズでしたが、
だんだんその孤独な魂をもつエリイが好きになり心魅かれていき
身代わりにされていることに胸の痛みをもっていきます。
ほんとうの自分を愛されたいと心の奥で願いながらも
自分が好きなエリイは好きなのはショアで自分はその身代わりなのだと
毎日メモに記載した部分を読みながら思い知るのです。
毎日毎日忘れていく喪失感
毎日毎日愛する人にとって自分は身代わりでしかないと思い知る絶望感・・・
かなしくてせつないこの恋のお話に前所長であろ、エリイに恨みをもつサンミルと
エリイの養い子であるショアとその恋人も絡んできて読みごたえありありでした。
さぁファンタジーが苦手だと思っているかた!!
ぜひぜひこの一冊手に取って見てください~(笑)
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