内容紹介
大学で助手をしている亮一郎は、年上の口のきけない使用人・徳馬に、密かに想いを寄せていた。幼い頃に母を亡くした亮一郎にとって、物心ついた頃から傍にいてくれた徳馬は、誰よりも欠け替えのない存在だった。自分の想いで関係を壊したくなくて、亮一郎は想いを告げぬまま、女との結婚を考えるが…。 口のきけない男の秘められた過去と思いとは?互いを想い合う、切ないラブストーリー。
商品の詳細
新書: 253ページ
出版社: 蒼竜社 (2007/6/29)
ISBN-10: 4883863247
ISBN-13: 978-4883863242
商品の寸法: 18 x 11.6 x 2.2 cm
大分前に購入して感激したままバックに入れて持ち歩いておりました
痛いといえば痛いといえますが
木原さんにしては、甘く切ないラブストーリーだったと思います
『牛泥棒』という題名もともかくですが
鬼が当たり前にいて、生活と人生に簡単に関わってくるような
幻想的で美しいファンタジーでした
BLにありがちなセックスに逃げることなく
コレだけの甘さと切なさを書ききれる人はこの方と
可南さんだけではないでしょうか?
とアタシは思います
[0回]
幼い主人公(亮一郎)の命を助けるために母が自らの命を
沼神に捧げることによりすべてが始まっていきます
その場面を見ていた徳馬はせめて形見をと神様にお願いし
20年間牛を捧げることと、自らの声を犠牲にします
牛泥棒の罪で捕まった牢屋の中で、徳間は静かに語ります
その事実をしった亮一郎は
母親出奔の真実が自らの命を助けるためとしり、恨んでいた過去を
恥ずかしいと思いながら
それでも目の前にいる、徳間が愛おしいし、気になるのです
嬉しいけれど、悲しい。
ありがたいけど、悔しい。
このとき初めて親を乗り越えて大人になっていく徳馬の感情の揺れが
実に奇麗に書き込まれています
徳馬のために、長きにわたり 自分の恋心を封印しただ仕えることに
喜びを感じていたその純愛もすごく切なく良かったと思います
抑えた表現の中に
キラキラとした彼らの想いが実にシンプルに切なく伝わってくる話です
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