氷面鏡 (キャラ文庫) (文庫)
水原とほる (著)
真生るいす (イラスト)
(内容)
雨の日も風の日も、放課後はひとり公園のベンチで過ごす。家に帰るとまた、双子の兄・陸に抱かれてしまうから―。禁忌の関係に悩む郁に声を掛けてきたのは、大学講師の見城。「行く場所がないなら僕の家においで」と詮索もせず、温かい場所を与えてくれる。年上の男のそばで、郁は次第に癒されて…!?セックスは知っていても心は無垢な魂が、初めての恋に目覚めていく純粋な愛の物語。
痛みがない水原さんですが、やっぱり心の痛みは丹念に描かれていたような気がします。
幼い頃母の事情で双子の兄弟は引き離されて育ちます
より母に似た陸は親戚のもとで成績の良いいい子に
郁は母の手元で育ちますが、良い子じゃ無かったら母に陸のように捨てられるという不安感をもって
なによりもお互いが自分自身の半身のような存在だったので
引き離されるということが二人をどこかいびつに歪めてしまったようです。
やがて、母の仕事私生活も落ち着くころ陸は帰ってきます
喜びあいながらも、どこか母を許せないふたり
母の眼を盗んで背徳の関係を持ってしまいます。
兄弟としての情愛が深すぎる結果ですが、やがて、自我に目覚めた郁は
こういう関係に飽きてというか、兄弟がこういうことをしているということに疑問を持ち始め
陸から離れていく過程で知り合ったちょいかわった教授と知り合い
愛すること。
愛されることを知っていくのです。
離れることに不安になった陸にあんなことや、こんなことや・・
やや無体なこともされてしまいますが
兄弟としての情には変わりがないことをしることで
二人は本当の兄弟になっていくのです。
兄弟であれやこれやしている姿が多くて
肝心の郁の恋人である教授の優しさとか、
大人のようでいて子供のようなとことかがあんまり印象的ではないのですが
さらりと読める水原さんだったと思います
[1回]
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