サミア (CITRUS NOVELS) (シトラスノベルズ) (新書)
須和 雪里 (著)
門地 かおり (イラスト)
(内容)
「好きだよ、私の特別な人・・・・・・」
ごく普通の高校生・友則が出会った謎の美形外国人は、なんと宇宙からやってきたエイリアン。しかも、友則に「殺してくれ」と頼んできて・・・・・・。
困惑しつつも彼に “サミア”と名付けて一緒に暮らすうちに、サミアを好きになってしまう友則だが・・・。
『サミア』『いつか地球が海になる日』『ミルク』ほか、書き下ろし『ミルクの後で』を収録。
この本が実際に出版されたときは
ジュネとか耽美の世界から離れていたので(年齢ばればれ・・・)
この本は初めて読んだのですが、ちまたの評判道理本当にいい作品でした。
この本と出会えたことに感謝で。
内容だけではたんなるトンキワもの・・・
いいえ・・内容とか、設定はいまでもとんきわな作品なんですが
一言で凝縮させるなら
孤独としかいいようがありません
過去の罪により「死ねないこと」がきまった宇宙人サミア
彼の思いはただひとつ
自分を殺してくれる人の存在だけ
何年も何百年も何億年もただ一人生きていかなければならない存在の
自分を救ってくれる存在・・・
でも、彼の孤独は死ねないことではなく
殺してくれるというか、
自分を消滅させる存在を愛したときにはじまるんですよね。
愛している・・愛おしい存在
自分より先に死んでしまうことが決まっている運命
できることなら最後までその存在と共にしたいという当たり前のことは
永遠にかなわない夢なんですよね
なぜならその存在が消滅したあとサミアに待っているのは永遠の孤独なんですから・・・・・・
たとえば自分が誰とも語ることなく一日過ごせるかという孤独感を考えたら
サミアのように永遠の孤独をあたしは受け止めることはできない
でも自殺することも許されない罪(死ねないこと)はすごく恐ろしい終身刑だと思います
結局サミアを消滅させることのできる期限のぎりぎりがきた瞬間
友則は琴に爪を当てました・・・
サミアは本当にやっとこれで救われる救われたのですが・・・
残されたものは悲しさとやりきれなさと安堵でした・・・
いい作品でした。
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