(内容)
「私のことが、嫌いではないだろう?」
叔父のギャラリーで働く乾大和の前に、ある日、田宮と名乗る男が現れた。
対人関係が苦手で感情が顔に出ない大和は、これまで誰かに恋したことがなかった。
そんな大和に田宮はある提案をする。実験のつもりで恋愛してみないか、と。
怖くなるほど甘やかしながら、時折意地悪く焦らしてはまた優しくする。
そんな田宮に溺れていく大和だったが、あるきっかけで田宮の秘密を知り・・・!?
(内容)
二十歳になったら、
あなたの私のものになる
母親の庇護者であった宮原が亡くなった十七歳の夏、
宮原の秘書だった有木に、史哉はある取り引きを申し出た。
母さんにはなにもしないでほしい、
代わりに、自分を好きにしていいから、と。
病いがちな母親を守るため、必死に考えた結果だった。
有木と知り合ってからの時間は長いものの、
史哉は彼がなにを考えているのかまったくわからなかった。
そんな史哉に、有木は取り引きの意味を確認し、その証としてキスをする。
そこから先は二十歳になってからだと告げて。
有木がなにを考えているのかわからず苛立ちを抱えたまま、
史哉は二十歳の夏を迎えるのだが!?
(内容)
恋愛なんか、ただの錯覚だ・・・
そう思っていたのに・・・
サラリーマンの高平笙は、会社では野暮ったい髪に眼鏡をかけ、地味な服を着て目立たないように過ごしている。
けれど、プライベートでは「セイ」と呼ばれ、夜遊びする人の間では、見た目はいいけれど
恋愛が続かない男として知られていた。
ある夜、ゲイの友人に連れられていったバーで、笙は他の課ではあるものの社内の有名人で、
人嫌いと言われている守川と知り合う。
高平笙であることを隠し、守川と一緒に過ごすようになる笙だったが!?
椎崎さんのこのところ出た作品です。
題名が『好き』という言葉がすべて入っておりますし
挿絵がすべて葛西リカコさんということですので
シリーズ物かスピンオフ?と悩みそうですが、あんまりそういった関係性はありません。
世界観が同じというか、年上攻めのお話というあたりが共通しているでしょうか・・
愛とか恋を語っているような感じではなく
すこうし低体温気味なシリーズのような感じを受けてしまいました。
そのなかでは一番受けに人間味があるというか、勢いがあったのがこの作品です。
幼いころから恋多き両親のせいで愛情に触れることも少なく
付き合っていた彼女すら父親に奪われるという過去があるサラリーマンの高平笙は
遊びでしか付き合えない、恋に本気になれない自分にジレンマを感じながらも
誰も好きになれない、愛せれない自分を持て余すかのように生きてきたのでした。
ある夜、ゲイの友人に連れられていったバーで、
笙は他の課ではあるものの社内の有名人で、人嫌いと言われている守川と知り合う。
守川と過ごすうちに充足を感じる笙
愛することに真摯な守川には自分はふさわしい存在でないと気が付き
別れを選ぼうとするのですが
そうすることで守川にストーカーのように迫られることになるのです。
お互いに好きなのに自分にはふさわしくないと別れを選ぶところは
ほんと椎崎さんにやられて涙流してしまいました・・・。
あとで誤解も解けてほんとうに恋人になっていくのですけど
好きになったら他人には無関心な守川も執着してくるし
誰にもほんとうの自分をさらけ出すことができなかった笙も
自分の中の頼りなさや弱さをさらけ出しても恋人を手に入れようとがんばって
変わっていく姿はとても好感がもてました。
切ない恋に浸りたい方いかがでしょうか?
[2回]
PR